第6話 新米捜査員は、仲間と観光をする。
昼食を終えた僕達は、チエが手配したマイクロバスで都内へ向かった。
そして冒頭の場面となり、少年皇帝とそこで合流したのだ。
なお、コウタは体調不良との事で、夜の宴会まで寝ておくそうだ。
代わりにコウタの精気を存分に吸いとったナナ、いつも以上にお肌がピカピカテカテカとしているのは、決して僕の気のせいではあるまいて。
「では、次の場所に行くのじゃ。今度は、国会議事堂と皇居に行くのじゃ」
「ほう、日本の政治の中枢だな。余も興味あるのだ」
「此方、お城を見たいのじゃぁ!」
チエの案内で、都内を観光するのだが、到るところで僕達を囲む群衆が発生する。
……まだ異世界人、魔族種とかエルフ種、ドワーフに獣人種は日本では珍しい存在だものね。しかし、美人に美少女に美幼児。これだけそろったら話題になっちゃうのもしょうがない、SNSでもどうやら注目になっているっぽいよ。
SNSのタイムラインに、僕達の写真が流れているのが見える。
「今日は、わたし目立たなくて助かるの」
「そうだよね。リタちゃんも、この間までは姫様ブームで凄かったけど、今回はマムさんにフェア君、リーヤちゃんに陛下、そしてギーゼラさんとフォルちゃん。異世界美男美女さんいっぱいだもん。あ、キャロリンさんも女優さんみたいに美人さんですよ」
リタとナナは、笑いながら話し合う。
リタは青いラインが入った白の半袖ワンピース、そして大き目の麦わらで長耳隠しつつ可愛く着飾っている。
ナナはデニム半袖シャツと白Tシャツ、薄茶色スキニーズパンツでスリムな身を飾る。
「ありがとうね。でも日差しが強いわね。帽子にサングラスでも眩しいわ」
キャロリン、薄手のサマーカーディガンで腕をカバー、萌黄色のカットソーに白スカートと夏サンダル。
大きめの帽子に色濃い目のサングラスで、実にアメリカ女優っぽい。
「フェア、地面が暑いから気をつけてね」
「はあい、おかーたまぁ」
マム親子の周囲には、人だかりが特に多い。
フェアがとてとて歩くたびに、「かわいー」「なにあれ、本当にエルフっていたんだぁ」「妖精さんなのぉ」「天使がいるのぉ」等という声が多く聞こえる。
「日本の皆様、お写真は構いませんが、わたくし達はオフなのでお静かに御願いしますね。」
「は、はーい!」
マムの笑顔ながらも迫力ある日本語での警告で、群集もピタリと動きが止まる。
しかし皆、「お母さん日本語話せるんだ」「でも美人さんに怒られるの良いかも」などなど、これはこれで好評。
しかし、フェアが動くたびに、シャッター音がしてしまうのはどうにもならないだろう。
……僕でもいきなりエルフ幼児が目の前にいたら、保護欲刺激されちゃうよね。
「タケ、この人達悪意は無いんですけど、わたくしやフェアが気になるのは困ったわ」
「日本の人は恥ずかしがりやですけど、マム日本語話しちゃったから、気になって見ちゃうんです。マムは美人だし、フェア君はとっても可愛いし」
「あら、お世辞でも嬉しいわ。タケちゃん」
「お世辞じゃないです。マム、日焼けには注意してくださいね」
僕はマムに日焼け止めをそっと渡す。
「ありがとうね、タケ」
周囲からの視線が僕に突き刺さるけど、もうしょうがない。
マム、淡い水色のフレンチ袖のワンピースと真っ白いサマーカーディガンが金髪によく似合っている。
そしてフェア君も水色半袖ポロシャツとチェックの半ズボンが、とっても可愛い。
「アタイ、ここの雰囲気好きだね。なんか人の視線が痛くないんだ」
「そうでござるね。拙者に対しても好意の視線だけでござる」
「わたし、学校時代にも嫌な事殆ど無かったの」
ギーゼラ、おしゃれなTシャツ、半袖デニム上着にショートパンツ、ニーソックスと活動的な姿で、これまたスポーティで可愛い。
周囲に対して、いつもにっこり笑っているので、皆笑い返してくれる。
どうやら、「あのコ、小柄だけど良いよね」「トランジスタグラマーだぁ」「ドワーフ娘萌え」等、これまた人気のようだ。
アロハシャツを粋に着たヴェイッコ、最初は怖がる人が多かったけれども、驚いて風船を離してしまっていた子供に高くジャンプして掴まえた風船を戻して、日本語であやしていたのを見た人達から拍手喝采を受けて、これまた人気者だ。
「ござるってかっこいいかも」「わんこ、可愛い!」等声援も多い。
猫娘フォルも注目を受けている。
白色フレンチ袖のブラウスに白いミニフレアスカートとお嬢様系可愛さ爆発だ。
どうやら過去のニュースで話題になっていたのを覚えていた人も居る様で「あ、あのコ、天才猫娘だ」「可愛くて賢いってさいこー」「猫耳もぇー」等と聞こえてくる。
……僕もぼんやりとフォルちゃんがニュースに出ていたのを覚えていたんだ。天才飛び級猫少女ってキャッチだったよね。
なお、言うまでもなくリーヤも大人気。
到る処から「のじゃ姫もぇぇ」「悪魔っこ、サイコー」等との声とシャッター音が止まらない。
「此方、少し恥ずかしいのじゃ。褒めてくれているのは嬉しいのじゃが……」
……僕としてはリーヤさんを独占したいけど、可愛いは正義だからしょうがないか。
「陛下、今日は目立たなくて良かったですね」
「そうだね。さすがに僕の顔は、地球でもこの間の放送で知られちゃったからねぇ。タケ、この優しい雰囲気は良いね。異邦人でも優しく受け入れてくれるのは」
少年皇帝は力を抜き、僕に対して「ニコライ君」として話してくる。
「お人好しな日本人でも異人に対してはどうしても警戒しちゃいますよ。何考えているのか分からないとか、言葉が通じないんじゃないかとか。でも皆カタコトでも日本語を話して好意的な対応をしたら、日本人は簡単に受け入れちゃうんです。『郷に入れば郷に従え』という諺がこちらにはありますが、お互いに歩み寄る態度が大事なんですね」
僕は、簡単に日本人の器質を説明する。
基本、島国器質お人好しの恥ずかしがり。
愛すべき人達だと僕は思う。
「そうか、タケやコウタと同じだね。キミ達は僕から見ても、バカがつくお人好しだもの。今、エレ達を囲んで仲良くしようとしている人々も同じなんだ。こんな、お気楽お人好し国民では指導者も大変だねぇ」
少年皇帝は苦笑いしながら、政をする立場として発言をする。
「そうですね。日本人は騙しあいが苦手なのと、とことん辛抱してから突然キレるから厄介と海外から見られていますね。後、大抵は気にしないけど食品関係では、すぐ怒るとも」
「なるほど、タケを通じて日本の食事情を知ったけど納得だね」
こうしてドタバタ都内観光は続くのだ。
女の子達の服装を考えるのに困りました。
「あれ、ワシの服装書いておらぬぞ」
ごめんなさい、チエちゃん。今回は省略で御願いします。
「まあ、良いのじゃ。ワシはあくまでゲストじゃからな。因みにワシはアニメ柄Tシャツに短めのキュロットスカートじゃ!」
はい、補足説明ありがとうございました。
では、明日の更新を宜しくです。




