第44話 新米捜査官は、一安心する。
「あれ、チエさん。僕の仲間達はどうなっていますか?」
僕は邪神(多分オリジナルからは凄く弱いヤツだったのだろうけど)を倒して、謎の部屋から脱出した。
そして、元居た門、遺跡へ続く扉の前に僕は出てきた。
そこにはチエ、コウタ、ナナ、リタが居た。
「まだ戦闘中じゃな。まあ、大丈夫じゃろう。ワシが本体を倒したし、6分割もしたのじゃ。邪神端末と言えど、はっきり言えば、そこいらの上級悪魔クラスじゃて」
チエは、簡単げに邪神の事を言う。
……あのね、簡単に言いますけど、満足に魔法も剣も使えない僕は、普通悪魔には勝てませんから。
「あ、対物ライフルありがとうございました。とても重かったですが、それだけのパワーはありました」
「そうじゃろ、そうじゃろ。今個人で使える火砲では最大級じゃからな。その上、バリア貫通属性も付与済みじゃから、今後ドラゴンですら撃ち落とせるのじゃ!」
このライフル、使っている弾が本来ならグレネードランチャー用の弾で、主力戦車以外なら大抵打ち抜き抜くゲテモノ、ロマン溢れる銃だ。
「おかげで邪神も撃破できました。ナナさんやリタさんが無事なのは当然でしたか」
「うん、ボクはらくしょーだったよ。アイツ、今まであった邪神の端末で最弱だったもん」
「わたしも、いっぱつどーんだったよ!」
異種族姉妹、2人は大暴れ出来たのが嬉しかったのかニコニコなのが、少々怖い。
……とても可愛い女の子達がとっても強いのは、嬉しい事なのか? 若しくは恐るべき事なのか? とりあえず僕としては、喜んでおこう。うん、気にしたら負けだ。
「まあ、役立たずがココに1人居るがな」
「えー、俺ちゃんと一匹はし止めたよ」
「でも、こちらに来るのが遅いのじゃ。どうせ一気に勝負キメナンだのじゃろうて」
すまなそうにしているコウタをヒジで突くチエ。
「そうも言うのでない、チエ殿。我も油断せずに攻めたのだから。邪神相手に手抜きも油断も出来ぬだろう?」
今まで聞いた事が無い低い金属音っぽい日本語が聞こえる。
どうやら魔剣「影砕き」の声らしい。
超古代、「古のもの」の監修の元作られた知性剣。
僕からしたら、是非ともゆっくり拝見したいものだ。
……今は、まだ戦闘中だから辛抱ね。
「おお、タケ。無事だったのかや!」
そうこう話していたら、リーヤが戻ってきた。
「お帰りなさい。リーヤさん。限定解除使ったんですね」
リーヤは、魔神形体に変身していた。
その外見は美しく豊満なので、眼のやり場に少し困る。
「楽勝とまでは言わぬが、無事勝てたのじゃ! チエ殿、アドバイスありがとうなのじゃ!」
「うむ、ワシの2Pじゃから勝ってもらわねば困るのじゃ。これからの計画にも支障が出るのじゃ!」
チエは、また意味不明な事を呟く。
……チエさんって悪意は無いけど、イタズラ心多そうだから、何か企んでいそう。
「タケや、怪我はしておらぬのか? 痛いところは無いのかや?」
リーヤは、僕を心配してペタペタと触りに来る。
……ちょっと、その大きな御胸を僕にくっつけるのは勘弁して欲しいんですけどぉ。
「リーヤさん、僕は大丈夫ですから。頼みますから、ムネ押し付けないで下さいぃ!」
「ほう、タケ。此方を見て欲情したかや? では、ホレホレ!」
僕が苦情を言うも、逆に豊満なバストを僕に押し付けるリーヤ。
「もー、やめてぇぇ!」
「これは面白いのじゃ。シャッターチャンスなのじゃ!」
僕は悲鳴を上げたのだが、それをチエは面白がって撮影をしていた。
それを楽しそうに見るナナとリタ。
「今度はキミが犠牲者か。大変だけど頑張れ!」
コウタは、僕達の様子をため息ついて見ていた。
どうやらチエによって、コウタも恥ずかしい思いを多々してきたのだろう。
……どこからカメラ、それもハイビジョン撮影用のプロカメラなんか持ってきたのぉ。はずかしー!
僕は、このまま数分間2人の美幼女に弄ばれたとさ。
◆ ◇ ◆ ◇
「では、これで一見落着ですか?」
「うみゅう、どうじゃろうて。一応、邪神端末は分かる範囲全部撃破したし、屋外でも母様達が制圧した様じゃしな」
僕が2人に気が済むまで弄ばれた頃、ヴェイッコやギーゼラも無事に帰還した。
ヴェイッコは闘気法が上手くいった事、ギーゼラは精霊装着法で戦えたのが嬉しかったようだ。
……ギーゼラさん、戦隊ヒロインのブラックぽくてカッコいいね。それにカンナちゃんと仲良くなれて良かったね。
チエの話によると、帝都周辺に現れた邪神やその配下達はナナの母達によって殲滅されたそうだ。
……この娘達の母親となると、もう僕の常識を当てはめたらダメだね。味方なんだから気にしないでいこう。
「おい! こっちでは外側の情報が入らぬ。どうなっておるのか知らせろ!」
イルミネーターから少年皇帝の声が聞こえる。
「ごめんなさい。陛下、暇持て余しているのよ」
マムから陛下をフォローする内容の通信が入った。
「こちら、チエ。陛下、放置プレーをしてすまなんだのじゃ! 一応、外側は片付いたのじゃ。ゴールポストでの待機、お疲れ様なのじゃ!」
陛下、最終防衛ラインとして遺跡のシステム前に、マムと共に待機をしてもらっていたのだ。
「なら、余は穴倉から出てきても良いな」
「はい、なのじゃ!」
そして、轟音を立てて僕達の目の前に聳え立つ巨大な扉が開いた。
さて、これで無事に終るのか。
明日の更新をお楽しみに!




