第31話 新米捜査官は、事件の真相に近付く。
「どうやら、ここがバケモノの発現地の様ですね」
僕達の目前には、大きな穴が最近開けられた遺跡が佇んでいる。
「タケ、貴方の予想通りだったの?」
「はい、いきなり異空間から呼び出すよりは、あらかじめ設置されていたシステムを使うのが楽ですからね」
マムは、僕にバケモノ達がどうやって出てきたか、予想していた結果との答えあわせをしてくる。
僕は、そう異界邪神神話について詳しい方では無いが、それでも彼らの「王」たる邪神が異界に存在していて、時折道化師役がこちらに「ちょっかい」を出してきている事くらいは知っている。
「たぶん、この遺跡内に異界への『門』が過去にあって、それを利用したのでしょう。宇宙転移ネットワークの中枢はお城の地下深くにあると聞きます。それを狙った犯行でしょうね。ただ、それが今までの事件と、どう繋がるかは分かりませんが」
僕は、持てる知識で推理をした。
「そこは、遺留物を見て判断でしょうね。さあ、ここからは注意していきますよ。全員戦闘装備を。フォルちゃんはC3システムからサポート御願い。ドローンやオートマトンを先行で遺跡内へ突入、強行偵察してちょうだいな。キャロリンは、フォルちゃんの警護兼、シームルグ号の運転・砲撃を御願い」
「はいですぅ」
「シームルグ号は、おまかせ!」
「さて、武器を選んでちょうだいな、タケ。CQB距離用のを御願いね」
「はい!」
僕は持ってきた銃火器から、皆にあったのを選んだ。
「まずマムは、使いやすい PDWを。リーヤは、えーっと念の為に拳銃、日本の女性警官も同型を使っているコレを持ってください」
僕はマムに僕が良く使っているPDWを、そしてリーヤに小型自動拳銃を渡した。
「これ、一応使い方は習いましたわね」
マムは、ちょっとおっかなびっくりでPDWを扱っている。
「タケや、コレ重いのじゃ! 此方には必要ないのじゃ!」
リーヤは、手の中にある鉄の塊の重さに文句を言う。
確かに銃本体だけでも500gほど、そこに小型拳銃弾とはいえ9発も入っていたら、そこそこの重さになる。
制服警官の腰痛の原因が、いつも腰に下げている銃の重さにあるとも聞いている。
「リーヤさん、これはお守りみたいなものです。もしリーヤさんが呪文を使えなくされた時に最後に自分の身を守るものです。まあ、出来る限り僕がリーヤさんを守りますが、これも僕と思って持っていてくださいな」
僕は文句を言うリーヤに言い聞かせた。
「タケがそう言うなら、しょうがないのじゃ。最悪重石になるのじゃ、もって行こうぞ」
リーヤは少し頬を赤く染めながらも僕の意見を聞いてくれ、拳銃を大事そうに胸に抱いた。
「次はヴェイッコさん、いつもの軽機関銃で御願いします。流石にまだガトリング砲の出番じゃないですよね」
「了解でござる!」
ヴェイッコには、使い慣れた武器を手渡した。
……軽機関銃の手に追えないバケモノが出た段階で逃げなきゃね。確かオートマトン装備の機関銃も同じやつだし。
「最後にギーゼラさんと僕はこいつ。僕がいつも使っている狙撃ライフルのカービン版です」
僕は銃身が短めのアサルトカービンをギーゼラに渡した。
「タケっち、これはいつもの銃よりもちょっち重いね。でも威力はありそう。使い方も、そう大きく変わんないんでしょ」
「ええ、本来遠くの敵をぶっ飛ばす弾を使っていますから、威力抜群です。そして銃身を短めにしているので取りまわしも十分ですね。安全装置まわりだけ確認してくださいね」
僕も、銃を持って振り回す。
これが今回、マムが追加で送ってくれていた銃だ。
いつも同系統のライフルを使っているので、思ったより手に馴染んだ。
「後は、余裕がある人は、攻撃型手榴弾を持っていってください。こいつは、あまり破片が飛ばないので、ちょっと離れたくらいで使えます。でも間違っても目の前で使わないで下さいね。痛いじゃすまないですから」
僕は苦笑しながらヴェイッコとギーゼラに手榴弾を渡した。
「皆さん射撃訓練でやったとおりにすれば、大丈夫ですからね。では、鬼退治に参りますか!」
「おー!」
◆ ◇ ◆ ◇
「マム、通路が荒れていますねぇ」
「そうね、足跡が一杯奥の部屋から伸びてますわね」
ヘルメットについたライトからの灯りが遺跡内を照らす。
砂埃まみれだったであろう通路は、多くの足跡?で一杯だ。
大きな足、ずるずると這った跡、そんなのが奥から出口へと続いている。
「フォルちゃん、奥の方はどう?」
「はい、マム。偵察ボット達の観測では、敵はもう居ませんです。この先に祭壇らしいのがあって……、あれ? 赤外線反応あり! 人型、身長180cm程度、大柄。瓦礫の中に埋まっています。エコーより心臓音あり、ただ弱いです!」
僕達は、顔を見合わせた。
「皆、行くわよ! 要救助者が居たら助けるわ!」
「アイ、マム!」
通路にあるであろう罠を避けながら、僕達は遺跡奥の祭壇へ急いだ。
……絶対助けるんだ! 助けられる命は、見捨てないぞ!
タケ君達は、とうとう魔物の発生源に到着。
そこには、要救助者が居ました。
埋まっている人は何者なのか?
そしてタケ君達は無事に救助できるか!?
しかし、リーヤちゃん。
タケ君だと思って拳銃を抱くのが可愛いですね!
では、明日の更新をお楽しみに。




