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第5回配信「憲兵」

「ラジオの前の皆様。こんにちは

 さちです。」


「・・・・・・ノワよ。」


「ウィッカラジオ、第5回放送をやっていきますので

 よろしければ聞いて下さい。」


「聞いてくれたら・・・・・・嬉しい。」


「さて今回の内容ですが、その前に。」


「・・・・・・その前に?」


「私からノワさんに質問があるんですよ。」


「・・・・・・何かしら?」


「この世界にラジオってないんですよね?

 だとしたらこうやって放送してても誰も受信できないのでは?」


「その点は、抜かりない。」


「ほっ、まさかこれだけ放送しておいて

 誰も受信できてないとかあったら泣いてましたよ。」


「通信用の魔道器で受信できるよう、調整済み。」


「おぉ、よく分かりませんが凄いです。」


「つまり、通信に割り込んで、この番組が聞こえる仕組み・・・・・・。」


「えっ・・・・・・。」


「どうかした?

 面白い顔してるけど・・・・・・。」


「いや、通信に割り込むって何か危ない感じがしましたので。」


「・・・・・・どうせ短時間の放送

 一時的に一般の通信が使えなくも、問題ない。」


「いやいやいや、大有りですよ。」


「・・・・・・そう?

 私は気にしないわ。」


「いたぞ、こっちだ!」

「隊列を整えろ!」

「よし、突っ込むぞ!」


「何やら廊下が騒がしいですね。」


「おいっ、お前ら!」


「誰・・・・・・何か用?」


「お前らだろ、勝手に国の通信帯を乗っ取って

 変な音声を流しているのは!?」


「今は放送中、邪魔しないで。」


「えぇい。お前ら、こいつらをひっ捕らえるぞ!」


「えぇ、ちょっとノワさん

 これどうするんですか!?」


「大丈夫・・・・・・下がってて。」


「え、あ、はい。」


「・・・・・・深淵への鍵は我が手中にあり

 開け・・・・・・奈落の門(アビスゲート)!」


「え、何だこれは!?」

「うわあああぁぁぁ、吸い込まれる。」

「何かに掴ま、ぎゃああぁぁぁ・・・・・・。」


「えー・・・・・・押しかけて来た人たちが皆いなくなりました

 ノワさん、何をしたか解説をお願いします。」


「奈落の入り口を開いて、うるさいのを全部吸い込んだ。」


「えぇ、それって色々と良くないのでは?」


「・・・・・・大丈夫、しばらくすれば帰って来る。」


「いやいやいや、そういう問題じゃないですよね

 街の人に手を出した時点でアウトですよね?」


「・・・・・・過ぎたことは、仕方ない。」


「おいっ、第三憲兵小隊の奴ら、いるかっ!?」


「どどどどどうしましょう!?

 次の方が来ちゃいましたよ。」


「さち、落ち着いて・・・・・・まずは深呼吸。」


「はいっ

 すー、はー、すー、はー・・・・・・。」


「おい、そこのあんたら

 憲兵隊の連中を見なかったか?」


「わわわわわ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいー。」


「さち・・・・・・全然落ち着いてない。」


「お、落ち着いてなんていられませんよ。」


「で、あなたは・・・・・・情報が必要?」


「おぅ、知ってるんなら教えてくれや。」


「代わりに・・・・・・私たちに必要な情報、出して。」


「えぇ、ノワさん

 一体何を言い出してるんですか!?」


「まず、あなたは・・・・・・誰?

 信用していい?」


「俺はこの街の第三憲兵小隊の隊長よぉ

 十分信用できる肩書きだろ?」


「信用・・・・・・する

 でも何で憲兵なんて、重要な仕事をしてる?」


「憲兵っつったら偉い奴の代名詞みたいなもんだろ

 一般の連中にやりたい放題ってもんよ。」


「えぇ、それって権力の悪用ですよね?」


「あぁ? 俺のやり方に文句があるって!?」


「悪用じゃない。持てる力の・・・・・・有効活用。」


「そうだ、有効活用だ!

 そっちの嬢ちゃんは分かってるじゃねぇか!」


「それで、有効活用して、どれぐらい成果は出た?」


「そりゃもう色んな連中をとっ捕まえたぜ。」


「色々な人・・・・・・私たちでは想像がつかない

 具体例が、欲しい。」


「まずは当然、悪いことをした奴だな。」


「憲兵さんとしては当然の相手ですね。」


「他には、酔っ払って俺に絡んで来た奴とか

 やたらと騒がしい冒険者や行商の奴らとか。」


「私も以前は冒険者だった

 参考までに・・・・・・どういうのが騒がしい?」


「あれだな、あれ

 中央の広場に集まってやたらと物を広げたりしてる奴らだ。」


「今私たちがいる街道都市は様々な国からの人が通るので

 それぞれの国の物品や情報を取引する露天商が盛んですね。」


「あいつらはうるさかったり臭かったり

 邪魔な連中が結構な量混じってるからな。」


「モンスターから取れる素材、魔術の道具、異国の料理

 どれも慣れないと、独特の香り・・・・・・。」


「私は露店巡りとか好きですけどね

 見たこともないような掘り出し物とかに出会えた時は嬉しくって。」


「何だぁ?

 お前らもあの冒険者連中の肩を持とうってか?」


「肩を持つも何も、私たちも冒険者ですし。」


「おぅ、何だったらお前らまとめて牢にぶちこんでやってもいいんだぜ?」


「・・・・・・罪状は?」


「そうだな、憲兵への妨害行為でどうだろうか?」


「なるほど、なら協力する意思があることを表明

 あなたの欲しがっていた情報を、渡す。」


「ほぅ、そいつはありがてぇ。」


「あなたの部下の居場所は・・・・・・ここ。」


「ぎゃふっ。」

「へぶっ。」

「うひゃぁぁぁ、死にたくないぃぃぃ。」


「なっ、お前ら

 こいつは一体どうなってるんだ!?」


「私が魔法で、探し出して、連れて来た。」


「おぅ、そいつはすげぇじゃねぇか嬢ちゃん

 んじゃ、部下も見つかったしずらかるとするか。」


「・・・・・・私も、情報貰えたし、満足。」


「じゃあな

 よし、お前ら行くぞっ!」


「こんな場所にいられるか。」

「早く帰りましょう、隊長。」

「この魔女め、覚えていろよっ!」





「ふぅ、とりあえず憲兵さんたちは帰りましたけど。」


「・・・・・・以上、わが街の職業インタビューのコーナーでした。」


「えぇ、そう言う趣旨だったんです!?」


「予想以上に、面白い話が、聞けた。」


「面白いと言うかなかなかにアウトだった気がするんですが

 これ放送して大丈夫です?」


「一部憲兵の素行の悪さは、街でも有名だった。」


「あー、何か聞いたことある気がします。」


「街道都市に来る人は、こう言うのがいるから

 目を付けられないように・・・・・・気を付けて。」


「それにしても怖い人でしたね。」


「大丈夫、あの手のは格下にしか強くないから

 下手に出なければ、問題ない。」


「私はノワさんが交渉し始めた時からずっと冷や冷やでしたよ。」


「さちは顔に出やすいから・・・・・・。」


「でもどうするんですか?

 今日は帰ってもらいましたが、これからも放送するとなると

 また取り締まりに来ますよ。」


「たしかに、これ以上邪魔は・・・・・・されたくない。」


「と言うか、私はとしては法に触れるようなこと事態したくないんですが。」


「その辺りは、考えておく

 今日憲兵が来たのも、予想外だった。」


「その予想外を番組に組み込んだ方が予想外でしたけどね。」


「ゲストを呼んでインタビュー

 ・・・・・・みたいなのもやりたいから、ちょうどよかった。」


「出来れば次はもう少し普通のシチュエーションでやりたいところですが。」


「とりあえず、結果オーライで、今日は終わろう。」


「まぁ、何か色々有耶無耶になったまま帰って行きましたしね

 でも、よかったのでしょうか?」


「・・・・・・何が?」


「あの人、たぶん世界中に放送されてると思わずに喋ってましたよね?」


「考えてたら・・・・・・あんなこと言えない。」


「生放送で編集とかもしてないし

 止める暇もなかったですから

 あの発言全部流れてしまった後なんですよね?」


「そうね。権力を傘に来て、好き放題してたのは

 聞いてた人全員に知れ渡った。」


「・・・・・・騒ぎになったりしませんよね?」


「なったとしても、自業自得・・・・・・。」


「えぇ、それでいいんですか?」


「深く考えすぎても、よくない。

 過ぎてしまったことは・・・・・・変えられない。」


「た、たしかに

 今更どうしようもないですからね。」


「うん・・・・・・だから、今日はそろそろ終わろう。」


「分かりました。今日はこの辺りで締めましょうか

 とりあえず次までに今後どうするかを考えておきましょう。」


「番組の終了は、避けたい・・・・・・。」


「そうですね、せっかくですから続けたいですね。」


「じゃあ、次回も放送できることを期待して

 今日は、さようなら。」


「今回も聞いてくれてありがとうございます

 お相手はさちと。」


「・・・・・・ノワでした。」


「また次回お会いいたしましょう。」


「・・・・・・またね。」


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