第48回配信「深谷都市」
「ラジオの前の皆様、こんにちは
さちです。」
「……ノワよ。」
「本日もウィッカラジオ、放送していきますよ
なお、本日は深谷都市ダルフットよりお送りしております。」
「今回も、最後まで、付き合ってくれると……嬉しい。」
「それにしても結構間が空いてしまいましたね
前回放送頻度が落ちるとは言いましたが。」
「まぁ、予想以上に、トラブルが、多かったから……仕方ない。」
「たしかに、まさか雪国地方へ入ってから街と村と一つずつ立ち入り禁止食らうとは思ってませんでした。」
「そうね。その辺りも含めて、詳細は、近況報告で。」
「分かりました。とりあえずオープニングを済ませてしまいましょうか
ウィッカラジオ、スタートですっ。」
「改めましてこんにちは
ウィッカラジオ、本日は深谷都市ダルフットよりお送りしております。」
「まずは、少し間が空いてしまったから、近況報告から。」
「はい、前回の放送後銀望都市を出た私達はついに雪国地方へと足を踏み入れました。」
「この季節でも、雪に覆われている、厳しい地方。」
「真冬に比べたらこれでもかなりましらしいですけどね。」
「その辺りは、経験がないから、何とも言えないけど……生活自体は、厳しいでしょうね。」
「ノワさんは相変わらず環境操作で雪や寒さをしのげるので楽そうですが。」
「まぁ、正直なところ、普段とあまり変わらないわね。」
「普通の冒険者さんなら雪に足を取られるし寒いしでかなり苦戦するはずなんですけどね。」
「とは言え、さちはともかく、機材を運んでくれている、あんみつも、普段の様には歩けないから、足を合わせる必要があるけど……。」
「そうですね、爬虫類だから寒さに弱いかもしれませんし要注意ですね。」
「重い荷物を、持って貰っているから……足を取られるだけでも、大変なはずよ。」
「私達が手分けして持つってわけにもいきませんからね、機材のサイズと分量を考えると。」
「それでさちの足が止まる方が、よっぽど面倒ね。」
「えぇ、まぁ無茶はやめておきます。」
「さて……そうやって進んだ私達を待っていたのは、予想外の、出来事。」
「帝国側から一番近い街の入り口で見事に呼び止められまして
どう見ても人間じゃないから入るなって言われたんですよ。」
「ここに来て、人外お断りは、想定外だった。」
「この寒くて厳しい環境に適応した強力な魔物が多い地域らしいですから
魔物への警戒は他の地域に比べてかなり強いようですね。」
「とは言え、見境なく、通るものを襲う、好戦的な魔物と比べたら
意思の疎通も出来るし……外見だけで排斥する理由には、ならない。」
「その辺りは前の世界でも人間に友好的な魔物ってだけで驚かれると言うか何と言うかだったので
よっぽど理解がある方以外には通用しないかと。」
「そもそも、羽が生えているぐらいで、人間と外見の大差はないから……同列に語るのは、失礼。」
「私は人間の姿を取れるけど本体があれなので何も言わないでおきます。」
「とにかく、その偏見のせいで、まともに、物資の補充すら出来ずに、次の街を目指す事に……。」
「しかし、ここで次の問題が起きてしまったんですよね。」
「まさか……次に寄った村も、門前払い。」
「仕方がないのでノワさんはあんみつを連れて近くの安全な場所でキャンプをしてもらって
私一人が村に入って買い物とかを済ませることに。」
「食料を含め、色々不足していたから、仕方ない。」
「私が人外だと分からないレベルに人間の姿を取れてよかったですよ。」
「最悪、身体変容の魔法で、人間の姿を取る事は、出来たけど。」
「万が一事故で魔法が解けた時に言い訳出来ないのでノワさんには待機してもらいました。」
「さて……そう言う感じで、いくつかの街を諦めて、やっと辿り着いたのが、この街。」
「深谷都市ダルフットですね。」
「この街は、それまでの、面倒な街と違って、人外への、偏見もなかった。」
「えぇ、これまでの国と同じく普通に私達でも歓迎してくれましたね。」
「この街は、高い山に囲まれて、谷底に張り付くように、作られた、街。」
「山は上に行くほど気温も低くなって地形も険しくなるので
必然的にまだ安全の取れる下の方に街が作られたようですね。」
「とは言え……雪崩など、危険が全くないわけでは、ない。」
「どっちの方角を向いても山ですからね、崩れて来ると思うと非常に恐ろしいです。」
「その辺りの問題を除けば、寒冷地に強い、作物を育てたり、山の中腹で、牧畜をしたり
……それなりに、生活水準自体は、悪くない。」
「これでも悪くない方なんですね、パッと見た感じは厳しそうに思えますが。」
「衣食住が、最低限揃うと言う意味では……それなりなんじゃ、ないかな?」
「むしろそれが揃わない地域の方がイメージ付かないんですが。」
「そもそも……大きく欠けるような、場所なら、そこに住む人は、いないだろうね。」
「まぁ、私もそんな場所なら嫌ですね。」
「それでも、どれか一つぐらいは、一般的な水準から、低くなってしまう
……それぐらいなら、ありえるから。」
「じゃあここはどれも一般的ぐらいにはあるってことですか?」
「雪崩と言う、厄介な現象を、除くと、比較的、ましだと思う。」
「なるほど。久々の街ですし美味しいご飯を食べておかないといけないですね。」
「そうね……休めるうちに、休むのは、大切
この先も、私の様な人外の、扱いが、どうなってるかは、分からない。」
「ちょっと羽が生えてるぐらい大目に見てくれてもいいと思うんですけどね。」
「……同意する。」
「ところでせっかく久々に街でゆっくりするんですから
観光名所とかそう言う系の話は何かないんですか?」
「周囲を山に囲まれてて、風がさえぎられるから、本来なら風に吹き散らされる、軽い雪の層が
谷の中に停滞する……雪霞と呼ばれる、現象が、あるらしい。」
「ふむふむ、それって観光になるんです?」
「街より、高いところに、層が生まれるから……見上げると、不思議な光景に、なるらしい。」
「なるほど。そう言う意味ではここならではの景色なんですね。」
「ただ、いつ起きるかとか、その辺りは、まだまだ未知の部分が多いから……見れるかどうかは、期待しない方がいい。」
「うーん、残念です。せっかくならそう言うのは見て行きたいですけど
無駄に滞在期間増やしても仕方がないですしね。」
「まぁ、出発までに、見れたらラッキー……ぐらいね。」
「ついでに他に何か面白そうなお土産とかそう言うのはないんですか?」
「残念ながら、そっち方面に関しては、分からないわ。」
「そうですか、久々の街ですから面白いものがあれば見たかったですけど。」
「言っても山奥だから、観光関連は、力を入れてないとは、思う。」
「えぇ、私達は全国回ってるからあれですが、普通の冒険者さんならこんなところまで来るか微妙ですからね。」
「さて、それじゃあ……近況報告と、現地紹介は、以上かしら?」
「そうですね、大体話尽くしたと思います。」
「分かった……では、ここらで、一度切ろう。」
「さて、かなり中途半端な時間です。」
「まぁ、これ以上コーナーを入れる時間はないから、早めに切り上げる……しかないね。」
「じゃあ今後の予定に行きますか?」
「……そうしましょうか。」
「で、実際のところ決まってるんですか?」
「正直なところ、どの街が、入れる街かも、分からないから……ほとんど、予定が、決められない。」
「たしかに、事前に人外でもオッケーですとか書いてる街ないですからね。」
「だから、ルート上の街を、いくつか覚えておいて、入れたところで、放送して行くしか、ない。」
「随分と面倒になってしまいましたね。」
「仕方ない……種族の問題が、こんな場所で、出て来るとは、考えてもなかった。」
「とは言え種族なんて変えれるものじゃないですしね、諦めて受け入れてくれる街を探しましょう。」
「そう言うわけだから、次回の放送は、未定……
とりあえず、入れそうな街があれば、そこから放送する。」
「申し訳ありませんが気長に待って下さい。」
「また……前回言った通り、大人の事情によって、少し間が空くと思うから、そこは了承して欲しい。」
「間が空いた割にはお便りも来てませんし、まだまだ募集しておきますよ。」
「気が向いたら、放送後にある、感想フォームから、私達への、便りを送ってくれると、嬉しい。」
「現在募集強化中のお題は
今年になって自分のここを変えたい場所
冒険の疲れを取るための視聴者さんお勧めの方法
ノワさんの女子力をどうやって上げたら良いか
の、3つとなっております。」
「さて、久々の放送……どうだったかしら?」
「結構間が空いてしまったので緊張しましたね、皆様私達の事を忘れてないといいですけど。」
「そもそも、リスナーの人数は、把握する手段がないし、誰も聴いてない可能性だって、ありうる。」
「それは冗談にならないのでやめましょう。」
「そうね……誰かに届いてると、仮定して、続けて行くべきね。」
「と言うわけで皆様これからもウィッカラジオをよろしくおねがいします。」
「私からも……よろしく。」
「と言ったところで本日の放送は以上です
お相手はさちと。」
「……ノワでした。」
「次回の放送で会いましょう。」
「……またね。」
 




