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第47回配信「銀望都市」


「ラジオの前の皆様、こんにちは

 さちです。」


「……ノワよ。」


「本日もウィッカラジオをご視聴いただきありがとうございます

 本日の放送は銀望都市トラスコプよりお送りいたします。」


「今回も……最後まで聴いてくれると、嬉しい。」


「前の街でしっかりパワーをチャージしましたからね

 今日も頑張って放送しますよ。」


「じゃあ、今日はさちが、盛り上げてくれる……と言う事で。」


「いや、過度に期待されても何も出ませんからね?

 いつものノリで押し付けられてもその手には乗りませんよ。」


「ふむ……本を読んで、少しは、賢くなったか。」


「えぇ、そんなんじゃなくても分かりますよ。」


「まぁいいわ、とりあえず……始めましょう。」


「分かりました

 ウィッカラジオ、本日も張り切ってスタートですっ。」






「改めましてこんにちは

 ウィッカラジオ、本日は銀望都市トラスコプより放送中です。」


「まずは、いつも通り……現地紹介。」


「はい、この街は北部の雪原地帯との境目辺りにある街で

 今は夏なので大丈夫ですが、時期によってはこの街もしっかり雪が降るそうです。」


「半年前は、南部に入ったところだったから、随分、遠くまで、来たものね。」


「そうですね、そしてぴったり夏に北国に入りますから寒さも多少ましならいいですね。」


「まぁ、私は、普段通りに、遮断してるから……寒暖はあまり、分からないのだけれど。」


「適度に涼しくていいですよー

 まぁ、夏なのにこの気温だと思うと冬はちょっと遠慮したいですが。」


「さて……そんなこの街の特徴だけど、最初に目に付くのは、あの丘ね。」


「街に着く前から目立ってましたからね、遠くからでもはっきり分かりました。」


「街の横には、小高い丘があって……

 その上に、背の高い、塔の様な建物が、立っている。」


「はいっ、あの建物は一体何なのでしょうか?

 最初は灯台の様にも見えましたけど陸地の真ん中には必要ありません。」


「あれは、監視塔ね。」


「監視塔、何を監視するのでしょうか?」


「私たちが、この帝国に入って来た時に、最初に行った、防塞都市トロホードが、東の国境の、守りなら

 ……この街は、北の国境の、守りになる。」


「つまり北の国から攻められないか見張っていると。」


「そうね……もっとも、今は隣国とも、友好的だから、大した意味は、ないのだけれど。」


「今はって事は昔は違ったんですか?」


「帝国として、独立した当初は、周辺国から、余り良い顔は、されてなかった、みたいね。」


「それで東も北も国境沿いは他の国に比べて物々しい街になってたんですね。」


「昔の、名残ね……。」


「ふむふむ

 では、今はこの街はどんな街なのでしょう?」


「今は、北側の玄関口として、普通に、開かれているよ。」


「まぁ、開かれてなければそもそも私達もどうなってたか分かりませんしね。」


「見るからに、怪しいからね……どうなっていたかは、あまり考えたくない。」


「門前払いを食らった街は少ないですけど、それでも何処で何があるか分かったものじゃないですからね。」


「ちなみに、そう言う来歴だから、特別、農業や、製造業等に、力を入れている、みたいな事は、ないね。」


「そうですか、人が来るなら観光方面は?」


「観光に向いた施設も、後から作られた事もないし

 いざと言う時には、最前線になる事は、変わりないから……そこまでは、してないね。」


「あの塔とか見学できたりしないんですか?

 もの凄く目を引きますし景色も良さそうですよ。いや、私は高すぎるので遠慮したいですが。」


「残念ながら、監視塔は、使用はされていないし、関係者以外、入れないようにしてある、みたいね。」


「えぇ、勿体ないです。せっかくあるんですから有効利用しましょうよ。」


「それを私に言われても……どうしようもない。」


「そうですね。ノワさんに言ってもあれなので諦めましょう。」


「まぁ、この街の、概要としては、これぐらいかな?」


「分かりました。では、現地紹介はこれぐらいで。」






「さて、まだ時間はありますがどうしましょうか?」


「さちに、毎回何かやらせるのは、流石に悪いし……雑談ぐらいで、紛らわせる?」


「珍しいですね。こう言う時こそ無茶振りをしてくるノワさんが大人しいなんて。」


「そう言う気分じゃない日ぐらい……たまには、あるのよ。」


「ではお便りとか何か来てないでしょうか?」


「勿論……空っぽね。」


「そうですよね……。」


「仕方がないから、適当に、時間を潰せる、話でもしましょう

 さち……これから、雪国へと向かうわけだけど、雪は、どうなのかしら?」


「どう? と、言われましても……。」


「寒いから嫌だとか、景色がいいから好きだとか、何かしら、感想は、ないの?」


「そうですね……

 前の世界で一年中雪が降ってるような寒い地域へも冒険に出た事はありますけど。」


「その時は、どうだった?」


「全速力で雪原を駆け抜けて屋根のある街へ一直線だった記憶しかありません。」


「……そう。」


「寒いし足元歩きにくいしで長居したい場所とは思わなかったですね。」


「まぁ……普通は、そうよね。」


「一応魔法の番傘で飛べば足元の悪さは回避できますし、鬼火を作れば暖も取れるので

 砂漠に比べるとましだなぐらいの印象はありますが。」


「それは、比較対象が、悪すぎたね。」


「あっ、そう言えば街からさらに寒い地域にある極寒の洞窟に行った事もありますが。」


「そこは……どうだった?」


「街から遠くて非常に行きにくい、しかもさらに寒くなるから出来ればあんな場所に居たくない

 ついでに洞窟の中は好戦的(アクティブ)な魔物が多くて鬱陶しい

 かと言ってそこまで希少種の魔物(レアモンスター)がいるわけでもないから戦利品も望めない

 と、ろくな印象がありません。」


「……相当ね。」


「同じ寒い地域でもまだ氷結の洞窟の方がましだったぐらいです。」


「そっちは……どうだったの?」


「最高レベルの冒険者の修行の場として有名だったのでご一緒したことはありますが

 えぇ、命の危険しか感じない場所でした。」


「……。」


「とにかく強い魔物がうじゃうじゃいますし、凍結攻撃みたいなのも多くて事故が起きやすいですし

 あんな場所で毎日鍛錬してる冒険者さんをどうかと思いました。」


「基本、強くなるには、実戦あるのみ、だからね……。」


「それにしても酷いですよ

 防御魔法をかけながら何部屋か駆け抜けて、魔物が集まったら範囲魔法で一掃

 これを洞窟1フロアぐるっと何週も繰り返すんですよ。」


「いい経験には、なったでしょ?」


「あまりしたくない経験でした……。」


「まぁ、冒険者の、日常は、こうなっているみたいね

 ……私? 出来ない事はないだろうけど、今は、興味ないわ。」


「えぇ、一度ぐらいやってみて下さいよ。」


「以上、フリートークの、コーナーでした……。」






「さて、程よく、時間も、消費出来た。」


「では、次回の予定の打ち合わせに行きましょうか?」


「と、言われても……ここからだと、雪国へ入るしか、もう選択肢がない。」


「ですよね。国境まで来てるんですからね。」


「雪国に入ると、その先、どのような街があるかは、まだ知らない。」


「何にせよどこか放送できる場所に着いたら配信って感じですね。」


「ただ、その事に関して、一つ、お知らせがあるわ。」


「何でしょうか?」


「大人の事情につき、放送頻度が、少々落ちるから、ご了承下さい。」


「ちょっと待って下さい、大人の事情って何ですかそれ?」


「私達じゃ、干渉出来ない、未知の力が、働くのよ。」


「えぇ、納得出来ません。」


「多少、間が空くだけで、放送は、続けて行くつもりだから

 ……それまでに、お便りとか、貰えると、嬉しい。」


「再確認として、現在募集強化中のお題は

 今年になって自分のここを変えたい場所

 冒険の疲れを取るための視聴者さんお勧めの方法

 ノワさんの女子力をどうやって上げたら良いか

 の、3つとなっております。」


「あくまで、放送頻度が、落ちるだけで……

 旅は、続けるし、放送自体はやって行くから、これからも、よろしく。」


「はい。私からもよろしくお願いします。」


「じゃあ……今日のところは、これぐらいで。」


「ノワさんも視聴者の皆様もお疲れ様です

 お相手はさちと。」


「……ノワでした。」


「とりあえず次回もお会いいたしましょう。」


「……またね。」


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