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第2話 覇者のやり方。

覇気にタス全振りされてた人の第2話です!

 あれから俺はぐっすり眠った。

 初めてのVR体験は俺に最高の熟睡をも届けてくれたのだ。


 そして朝7時。

 いつもの様に目覚ましが俺の鼓膜をくすぐってきた。


「ふぁ〜あ。もう7時か」


 昨日は土曜日。つまり今日は日曜日だ。


 ん? 日曜日なのに何で朝7時なんかに起きるか?


 そんなことは簡単だ。


 またVRの世界に潜るためである!


「昨日の初期ロッド用のミニゲーム。もう1回遊べるかな?」


 あのゲームはクソゲーかと思わせておいて、とんだ神ゲーだった。


 俺の心はあのゲームの虜になってしまっている。


「とりあえず、飯でも食うか」


 俺は一人暮らしである。だから部屋も一つだけ。


「チッ!シケてやがるぜ」


 これは冷蔵庫を確認した時の音である。


「しゃーねぇ。コンビニでも行くか!」


 無いなら買うしかない。

 俺は白のTシャツに茶色い短パンを装備した。


 そして俺はドアノブに手を掛け。捻った。








「え、え、え、えぇぇぇぇぇ!?」


 俺の目の前に広がっていたのはいつもの住宅街ではなかった。


「ジャングルだ。」


 思わず口からこぼれ落ちた。


 そう、そこには色鮮やかな緑が生い茂り、見たこともないような奇抜な色をした動物達がいたのだった。


「これ、どうなってんだ!?」

「というかここ、どこだよ!?」


 頭の中は疑問でいっぱいだった。


 だがしかし。


 それ以上に、期待している心が俺を震わせた。


 まさか。まさかな。


「俺、異世界来ちゃったのか!?」


 ここまで独り言が出たのは初めてだ。

 それぐらい興奮していた。


 恐らく、俺は平凡な世界から追放されたのだ。


 そして気付く、

 ゲームで見たことある生き物がこちらをずっと見ていることに。


「キシャア!」


「こ、こいつは.........!」


 ゴブリンだ。それも『あのゲーム』のゴブリンだ。


 ということは.................


「キシャアァァァ!!」


 ゴブリンが奇声を上げながら俺に攻撃を仕掛けてきた。


「おい。これってまさか。」


 まさか。そんなことは有り得るのか?


 俺は昨日のようにゴブリンを凝視した。


 すると、オーラの様なものが俺を覆った。


 そして、


「キシャア!?」


 やはりゴブリンの攻撃が俺を避けていた。

 そのまさかだったのだ。


「ここはゲームの世界ってことか.........!」


 俺は理解した。

 ここがどういう世界で、俺は何が出来るのか。


「次は俺の番だぜ! 喰らえッ!」


 俺はゴブリンに殴りかかった。そしてそれは命中。

 ゴブリンの顎をえぐった。


「キャシャッ!」


 ゴブリンはその場に膝から崩れ落ちた。


「さすがに顎えぐられたら立てないよな!」


「キャッキャッキャッ。」


「顎えぐられすぎて鳴き声おかしくなってんぞ〜」


 俺はヤツを煽ったつもりだった。


 だが、ヤツは何事も無かったかのように立ち上がり、

 俺にもう一度攻撃を仕掛けてきたのだ。


「え、今の攻撃効かなかったわけ!?」


 煽られているのは俺の方だったのだ。


 ヤツは崩れ落ちた訳ではなく、

 俺を馬鹿にする様に笑っていただけだったのだ。


「てめぇ!人を馬鹿にしやがってッ!」


 まるで悪者のセリフだ。


 そしてゴブリンの攻撃。


 もちろん攻撃は俺を綺麗に避けた。


 攻撃は全て俺から避けてくれる。

 そして俺の攻撃は全く効かなかった。


「俺の攻撃力低すぎねえか!?」


 さすがにドン引きするほどの攻撃力だ。


「あ、そうか!」


 俺はとある事に気付いた。


「武器だ! 素手じゃだめだ!」


 俺は家の台所から『包丁』を手に入れて装備した。


「さぁさぁ! かかってこい!」


「キシャア!!」


 ゴブリンは飛び掛るような攻撃を繰り出した。


 そして俺は攻撃に避けさせ、ゴブリンの隙を突いた。


「あの世に行きやがやれ!」


 こんなセリフと共にゴブリンの喉を掻っ切ることに成功した。


「.........。」


 さすがのゴブリンも喉を切られては堪らないようだ。

 それからヤツは動くことはなかった。


「さて、これからどうしたものか.........」


 俺はこれからどこに行き、何をして、どう生きればいいのか。


「まったく。チュートリアルぐらい寄越せよ.........」


 何が神ゲーだ。

 やはりクソゲー。クソの世界に飛ばされたって訳だ。


 そんな文句を垂れていると、


「キャー! だ、誰か! 助けて!!」


 甲高い女性の声。それも助けを求めていた。


「とりあえず、助けに行くか。」


 それから声の聞こえる方に俺は走った。



 そこにはただ泣く事しかできない茶髪の女の子。

 森に似つかない派手な服装をしている女の子だ。


「今助けてやるから離れてろ!」


「え? あなたは誰なの?」




「通りすがりの人間だ!」


「グルルッ!」


 今度は犬型のモンスターだ。

 高く伸びた鼻。

 鼻の下の口には尖った牙が生えており、

 ゴツゴツした腕には鋭い爪が生えていた。


「グルルッ!!」


 犬っころの攻撃など俺には当たらない。

 というか、どんな奴の攻撃にも俺は当たらないんだと思う。


「キャンッ!」


 犬っころは自分の体の動きに驚いていた。

 そりゃそうだ。

 俺を攻撃するはずが自分から避けたのだから。


「すまんな。犬っころ.........」


 俺は現世の犬は好きだ。

 というか、動物が好きだ。


「キャウン.........。」


「.........。」


 犬っころは動かなくなった。


「あ、ありがとうございます!」


 彼女は涙ぐんだ瞳を輝かせて感謝の気持ちを伝えてくれた。


「お、おう!」


 これはイカン。童○には強すぎる。まるで覇気だ。


 よく見るとかなり可愛い女の子だ。


 歳は俺と同じぐらいだろう。

 クリっとした大きく黒い目。

 茶髪の髪は短く揃えられていて、まるで人形だ。


「と、ところであなたは何故こんな所にいるの.........?」

「そして、今私が見たものは何なのですか.........?」


 やはり、俺のできることは普通じゃないようだ。


「まぁ説明すると長くなるんだけどね.........」


 それから俺は全てを話した。

 現世のこと、VRのこと。

 そしてよく分からない能力のことも。


「.........!?」


 彼女は静かに驚いた。

 というか、声が全く出ていなかった。


「お、おい。大丈夫か?」


「そ、そんなこと! し、信じられるわけないですよ!?」


「うわッ!急に大声出しやがって.........って仕方ないか」


 そりゃそうだ。

 俺が、

『ゲームしてたらこの世界に来た!特殊能力持ってんぜ!攻撃当たらないぜ!』

 みたいなやつが現世に来たら真っ先に疑うだろう。


「で、でも敵の攻撃が当たらなかったのも事実だし.........」

「で、でもでも! 異世界なんて信じ難いし.........」


 半信半疑といった様子だった。


 そこで俺は思い付いた。


「そ、そうだ! これを見てくれ!」


 そう言うと俺はポケットから携帯を取り出し、彼女に見せた。


「わ、わわわ!? な、何なのですかこれは!?」


「これはね、携帯と言って文字や音を電波に変えて他の携帯に送ることができる凄い機械さ!」


 これで俺の事情を信じてくれるだろう。


「俺が異世界から来たって信じてくれた?」


「まぁ、とりあえずは.........」


 納得は行かないようだが.........

 まぁとりあえず信じてくれたようだ。


「それじゃ、この森がどんな場所か知らないのですか?」


「うん。全く知らないけど.........?」

「その言い方、この森にな何かあるわけ?」


「何かだとかそんなレベルじゃないですよ!」


 え、なになに何なの?


「この森に何があるんだ?」


「この森は昔から『覇者の森』って呼ばれている森です」


「この森を制したものは全てを制する。って言われてて」


「魔物がうじゃうじゃいるんですよ。んで奥には洞窟があるらしく」


「その洞窟にはドラゴンが居るって言い伝えられているような森です.........」


「なるほど。危険な森ってなわけ?」


 彼女は呆れた顔で


「もうそんな感じでいいですよ.........」


 と言っていた。


 あぁ、そういやVRでもドラゴンとかいた気がするな。



 そして俺は1つの疑問が浮かび上がった。


 ん、あれ?んじゃこの状況おかしくないか?


「んじゃさ、何で君はそんな森に1人で.........」


 そう言いかけた時、奥の方からぞろぞろとゴブリンの群れが出てきた。


 こいつら、さっきの奴の報復にでも来たのか.........?


 20匹。いや25匹か。

 俺の能力は何匹止められるか分からない。


 この状況はかなり危険だな.........


「あわわわわ.........」


 そして彼女は恐怖でまた涙目になってしまっていた。




 よし。決めたぞ!


「君!ここから逃げるぞ!」


「え、に、逃げるって!? 走ってですか!?」


「そうだ。近くに街か村はないか?」


「私の故郷の村ならありますが.........」


「よし、そこに行こう! ほら! 行くぞ!」


 そう言って俺は彼女を抱き上げてゴブリン達から逃走を始めることにした。


「俺の名前は印南 空良人だ!」

「村までの案内、任せたぞ!」


「あ、はい!私の名前はアリサです!」

「アリサ・バンドールです!」
















 彼は気付いていなかった。

 彼女が足から血を流していた事に。


 彼は知らなかった。

 その血が魔物を誘き寄せる事に。

第2話も読んでくださり感謝感激でございます!


実は私、最近Twitterアカウントを作成しました!


詳しくは活動報告に記載しておきましたので、

良ければ活動報告からTwitterアカウントへのフォローお願いします!!

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