表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

第1話 覇気の使い方。

ゆっくり読んでってください!

 俺は高校生にて、とあるゲームを始めることにした!

 名前は印南(いんなみ) 空良人(そらと)。16歳だ!


 俺はかなりのゲーマーだ。

 だが、俺はまだ手を出したことのないジャンルのゲームがある。


 そう。それは、


『VRMMO』だ!


「中学生時代にはなかった資金がここにはある!」


 高校生になってまず始めたのは友達作り。


 ではなく、バイトだった。


 まぁコミ障の俺には友達作りはハードルが高い。

 というか作る必要もないので...etc


 とまぁ話は逸れたが俺はバイトをして金を作り、遂に『VR』を購入できた!


 と、言っても中古品だが。


 まぁ俺はあまりそういうのは気にしないタイプだ。

 かなり安く販売されていたのでジャンクでないことを願うばかりだ。


 とりあえず箱を開け、説明書を読み。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 数十分後。


「完璧すぎる。さすが俺様だ」


 設置、接続は完璧に完了した!


「さぁどうすれば遊べるんだぁ?」



 .........。

 ..................。



 そして俺はあることに気付く。


「肝心の遊ぶゲームがないッ!」


 生まれて此方(このかた)ゲームしかやってこなかったのにッ!


 ここに来てッ!ここに来てッ!痛恨ッッ!


「そ、そうだ!最近のゲームはハード自体に予めなにかしらのミニゲームは登録されているはず!」


「とりあえず、そのゲームで遊んでVRに慣れるところから始めよう!ウンウン」


 よく言った俺氏。それでこそ俺だ。


 そんな訳で俺はVRゴーグルを被ってみることにした。


 ジャンクではなかったようで、すんなり起動した。


「.........!!おおっ!こいつぁすげぇや!」


 圧巻だった。

 俺の小さな部屋から広い白い部屋に放り込まれた感覚に陥っていた。


 そしてその白色がだんだんと草木や水のグラフィックに近づいてゆく。


「うおっ!うおぉっ!!」


 そして俺の目の前に広がったのは草原だった。

 綺麗な緑。綺麗な空。綺麗な川。


「やべー!これやべー!」


 この世界から抜け出したくない。

 本気でそう思った。


 それから俺はVRのミニゲームに没頭した。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 数時間後。


「ふぅ.........」


 しかしここで気付く。


「俺はこのハードのゲームを持ち合わせていない.........ッ!」


 悔しい。悔しすぎた。


「VRでRPGとかしたら面白いんだろうなぁ.........」


 そんな事ばかり考えてしまう。


 ん?ないなら買いに行けば良いだって?


 そんな金はもうない。

 全てVRに使い切ってしまった。


「はぁ。昔の自分を殴りたい.........」


 まぁ仕方ない。来月になれば金は入ってくる。


 そう自分を慰めていた。


 その時だった。



【ゲームを読み込んでいます。】


「んぉ?んん?んんー!?」


 俺はVRにカセットを入れていないはずだ。


 というか、カセットは入っていないはずだ。


 俺は確認したのだ。

 カセットスロットが空であることを。


 俺があちこち考えて混乱していると.........


【初期ロッドミニゲームへようこそ。】


 なるほど。全ての謎は解けた!


 このVRはどうやら初期ロッドで初期ロッドにはVR用のミニゲームがダウンロードされていたのだ!!


「おお!ラッキー!」


【ゲームを読み込んでいます.........】


「ローディングタイムッ!至福のときッ!」


 俺はこの時間が結構好きだ!

 冒険に出る前のワクワク感というか、なんというか。


 俺の奥底の心に響くものがある!


「これはどんなミニゲームなんだろなぁ〜!」


 シューティングだろうか。

 はたまたアクションだろうか。

 作り込まれてるRPGでも良き!


「ゲームをスタートします。」


 パソコンのファンの音が聞こえる。


 さぁどんなゲームなんだ!?


 .........。

 ..................。

 ...........................ッ!


 真っ白の部屋だ。


「それでは、ゲームを始めます。」

「飛んでくる弾を避けてください。」


「お!玉避けゲームか!VRならではの遊b.........」

「おい。嘘だろ?あれってまさか.........!?」


 目の前にはハンドガンを構えた男がいた。


『パアン』


『ダン』


 俺の体に着弾した音だ。


 白い部屋に俺の鮮血が現代アートを描いた。


「痛ってぇ!!!な、なんなんだこれ!?」


 普通に考えて痛みなんて感じないはずなのだ。


 某アニメのように頭の神経的な部分にVRは触れていないのだ。それなのに何故だ!?


「失敗を確認。再トライ!」


「馬鹿じゃねぇのお前!誰が再トライするかよ!」


 俺はVRを外そうとした。すると


「ぃでぇぇぇぇぇ!?」


 ありえない痛みが全身を駆け巡った。


 VRを外そうとする気力を無くすほどの痛み。


『パアン』


『ダン』


「嘘.........だろッ」


 痛みが俺を襲う。


「失敗を確認。再トライ!」


「お、おい!やめてくれ!」


 無機質な声。銃声。着弾音。


 そして、


「痛っでぇぇぇぇぇ!」


 痛み。


「失敗を確認。再トライ!」


 ダメだ。このままじゃダメだ!


「こ、こいつを避ければいいんだな!?」


 俺は意を決して避ける道を選んだ。


 黒服の男は25mほど離れている。

 大丈夫。弾を見て避けるんじゃなくて、

 適当に体を動かすだけでも効果はあるはずだ。


『パァン』


 俺は全力で全身を仰け反らせた。


『ダン』


 ダメだった。


「クッソ痛ってぇなぁ」


 大分慣れてきたが、これはキツイな。


「失敗を確認。再トライ!」


「次は避けてやるッ!」


 弱い心を追い出すように大声で怒鳴り、

 俺は全身を丸めた。体勢的には三角座りに近い体勢だ。

 そこから右に転がったり左に転がったり、

 できるだけランダムに近い動きをしてやった。


「これならどうだッ!」


『パアン』


『ダン』


「痛っでぇな!」


 これはダメだ。

 精神にダメージが入っている感覚だ。

 肉体的破損はない。

 再トライの度に治癒されている。


「失敗を確認。再トライ!」


「かかってこい!次こそは避けてやるッ!」


『パアン』


『ダン』


 .........。

 ..................。

 ....................................。


「失敗を確認。再トライ!」


 あれから何回撃たれたんだろうか。

 もう痛みを声に出すこともなくなってしまった。


『パアン』


『ダン』


「.........ッ!」


 この黒服.........許さねぇからな。


「失敗を確認。再トライ!」


 俺は恨みや憎しみ、負の感情を全て込めて黒服野郎を睨み付けてやった。


 そんなことをしても意味が無いのは分かっていた。


 たが。しかし。


『パアン』


『.........。』










 なんと俺は避けていた。


 体を動かした覚えはない。


 だが。


 何故かは分からないが、やつの攻撃から避けることに成功したのだ。


「よ、よ、よっしゃ!!」


 心の底からの喜びの声だ。

 やっとだ。やっとこのクソゲーから解放されるッ!


「成功を確認。第2ステージへ移行します。」


「は?」


 第2ステージとか許されんのか!?


「第2ゲーム。開始します。」


 絶望。まさにそれが似合う。


 無機質な声とともに始まったのはさっきと全く同じゲーム。



 だが。変わったことが一つだけあった。



 黒服が、

 異様に近くに来ていた。


 黒服は俺と2〜3mの距離まで近づいてきていた。



 こんなの避けれる訳ないだろ.........ッ!


 もう無理だ。

 このゲームに解放されることはない。


 諦めの意味も込めて俺は目を瞑った。


『パァン』


 はぁ、俺はもっとファンタジーなゲームを遊ぶ予定だったのになぁ。


 どうせまだまだステージ残ってるんだろうし、

 いざとなれば救助隊か何かが俺を助けてくれるだろう。


 はぁ。俺は何してんだろうなぁ。





『ダン』






 痛みと共に意識が覚醒する。


 いや、待てよ。

 なんで俺は最初のステージの弾は避けられたんだ?


 ひとつの疑問が残る。


『なぜ、自分が弾を避けられたのか。』


 自分で避けたのだ。ならば

 自分自身でどうやって避けたのかは分かるはずなのだ。


「失敗を確認。再トライ!」


 先程のように意識を集中させて黒服を見る。

 すると.........


『パァン』


『.........』


「.........」


 避けられた。


 というか、弾が俺を避けていた。


「え、あ、ん?」


 俺の頭の中は困惑していた。

 ゲームとは言え、俺は今何をしたんだ?


「成功を確認。第3ステージへ移行します。」


 あぁ。まだステージあるのねやっぱり。


 先程とは打って変わって絶望なんて感じなかった。

 それ所か俺は無性にワクワクしていた。


「第3ゲーム。開始します。」


 無機質な声がそう告げると、黒服は目の前から消えた。


 その代わり、25mほど先に3人の黒服が現れた。


「おいおい。3発ってマジかよ.........」


 でも、もしも、


 相手を凝視することと、弾が俺を避けること。


 関係があるのならば.........


 俺は黒服3人を凝視した。


「「「パアン」」」


「「「.........」」」


 今度はハッキリ見えた。

 1発目は俺の胸を貫く予定だった。

 だがその予定は大幅に変更され、俺の脇に逸れて行った。

 2発目、3発目も同様に俺に当たる直前で俺を避けて行ったのだ。


「こ、こいつはすげぇ.........!」


「成功を確認。第4ステージへ移行します。」


 この言葉に俺は絶望とは真反対な感情を覚えていた。


「さぁ!どんどんかかってこい!!」


 楽しいぞ。このゲームは。


「第4ステージを開始します。」


「ん、なんだこれは.........!?」


 無機質な声と共に世界が作り替えられた。


 真っ白な部屋から作り替えられた世界。


 それは起動時に見た。VR本来の表情だった。


 綺麗な緑。綺麗な水。生き生きとしている動物達。


 もはやVRを付けている感覚はなかった。


 というか、付けていなかった。


「え、え、なんでねぇんだ!?」


 困惑している俺の目の前には1匹のゴブリンが現れた。


「キャシャァ!」


 そういうとゴブリンは俺を殴りかかろうとしていた。


 俺は困惑していたが本能的にやることは分かっていた。


 凝視。

 ただ見つめるだけ。それだけのことだ。


「シャァ!」


 案の定ゴブリンの攻撃は俺を避けた。


「てか俺のVRどこいったし。」


 いやホントにどこいったし。


 そんなことを考えながらもドンドンステージをクリアしていった。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 ..................


「お疲れ様でした。これでゲームを終了します。」


 なんとこのゲーム。第100ゲームまであった。


 最後の方はドラゴンの攻撃までおも避けさせていた(笑)


 かなりのボリュームだ。

 さすがの俺でも疲れた。


【お疲れ様でした!】


 という文字が表示された。


 すると急に頭に重みを感じるようになり、


 俺は慌てて頭を確認した。


「お前、いつからそこにいたんだ?」


 ってゴーグルに話しかけても無駄か。


 そんなことを思いながら俺はVRゴーグルを外す。

 俺の見知った部屋に帰ってきたようだ。


「なんだったんだ全く。」

「でも楽しかったぞ!VR!」


 かなり怖い思いをしてゲームをしたが、

 俺はVRをかなり気に入った!


「てか今何時だよ!?」


 始めた時間からかなり時間が経っていた。

 まぁこういうゲームは仕方ないかな!楽しかったしOK!OK!


「もう遅いし、寝ちまおう.........zzz」























ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【チュートリアルクリアおめでとうございます。】


【ここからはVRゴーグルを外してお楽しみください。】


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 彼はまだ知らない。

 部屋の外の景色がどうなっているのかを。


 彼はまだ知らない。

 自分が異世界転移していることを。

最後まで読んでもらえて嬉しいです!

良ければレビューや感想もお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ