初めて…2
ポタッポタッ
頬に水滴のようなものが落ちてくる
あぁ私はお兄様や皆に助けられて…
ガバッ
目を覚まし布団から上半身を勢いよく起こすと
私の寝台のまわりには大勢の人々がいた
「皆様どうされたので…?」
困惑しながら問いかけると泣き腫らした目をしたお母様に勢いよく平手打ちをされた
「何をしたのか分かっているの!?フィーナ!」
「母様…フィーナは起きたばかりです…」
「エリザっ気持ちはわかるが…」
「フィーナが犠牲になって私が助かったとして、それがいいとでも思っているの?!私がどんな気持ちだったか!?」
訳が分からない
助かったでは無いか
この世界には魔法もある
治癒魔法で見たところ私の怪我も治っている
「お母様が助かったら私はそれでいいのですが。」
「まだ分かっていないの!?私たちは女神様に貴女の前世を見せてもらった。私たちは大事な娘に二度と悲しい思いをさせないよう、ずっと愛情を注いできたっ、なのにっ!」
お母様は何が不満なのだろう。私の前世では蹴られる的にされたり暴力的な遊びの盾にされたことも何度もある。決して自分の意思ではなかった…
だけど今回は自分の意思だ
なぜ自分があそこでしがみついたかは自分でも分からない
私が犠牲になりお母様を助けることが出来たのならそれはいいことではないか。お母様が幸せになれる
長考をしていたら
「フィーナ、私達皆はあなたを愛しているのよ?」
「お母様、愛とはなんですか?私はお母様の幸せを祈り自分は犠牲になってもいいと考えました。」
「私の幸せはあなたなしでは、考えられないのよ?私はあなたが目覚めなくてとても心配していた。」
「エリザの言う通りだ。まだ愛とは何が分からないかもしれないが私達はフィーナを愛している。だから二度と自分を犠牲にしないでくれ…」
お父様やお母様はとても苦しそうな顔をしていた
「フィーナ、俺はフィーナの兄だ。家族なんだぞ?俺はこれからもフィーナを、守り続ける。だから、いつでも頼ってくれ…」
「フィーナ様、私共も同じ気持ちでございます。」
なぜだろう目が熱くなってきた
なぜ私は泣いているんだろう
近くにいたお母様を抱きしめ、私は声を上げて泣いていた
私に抱きしめられたお母様は驚きはしたが抱きしめ返してくれた。
その他大勢の羨ましそうな視線を無視して
読んでくださった方ありがとうございます!