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第二話 出会い

出会います。

気がつくと、俺は見知らぬ空間にいた。

教会のような、神殿のような。

一体ここはどこだ。


おそるおそる起き上がってみると、見知らぬ二人の女の子がいた。


「あ、あなた・・・一体?」


一人は、綺麗な金髪のロングヘアーに緑色の瞳の女の子。

大きな瞳をさらに大きく見開いてこちらを見ている。

服は白を基調としていて、いかにも外国のお姫様といった出で立ち。

一体、誰なんだ。


「な、一体どこから・・・」


もう一人の女性は、黒髪のショートヘア。

瞳は青く、切れ長の目をしたクールな印象の女性だ。

女性だが黒のベストとパンツを着て、いかにも執事っぽい格好をしている。

そして、金髪の方の女の子の前に立ち、明らかに敵意を持って俺を睨みつけている。

一体、誰なんだ。


「ねぇ、あなた一体どこから入ってきたの?」

「話しかけてはいけません、シーナ様!」


まったくもって状況がわからんが、ここは率直な疑問をぶつけてみよう。


「あ、あのここはどこですか?あなたたちは誰ですか?」

「はぁ?それはこちらの台詞だ!貴様、一体何者だ!どういうつもりでここにいる!?」

「待って、アニス!」


部屋の外に向かって人を呼ぼうとした黒髪の子を金髪の方の子が止めてくれた。


「シーナ様!?いけません!」


シーナと呼ばれた女の子が俺に近づいてくる。

慌てて、俺と彼女の間に割って入る黒髪の子。


「あなた、お名前は?」

「栄太郎といいます」

「エータローね。私は、シーナ。こっちの彼女は、アニスよ」



「はぁ、どうも。で、あの、ここはどこなんでしょう?」

「ここは、イーヴロンド王国の首都フェネルヘイヴにあるフェネルクリーグ城よ。そして、あなたが座っているのが、豊穣の女神イーシュを祀る祭壇なのだけど・・・」


全くもって意味がわからない。

俺は夢の続きを見ているのか。

イーヴロンド?フェネルヘイブ?イーシュ?

全然ついていけな・・・ん?イーシュ?


「イーシュ?あいつのこと知ってるんですか!?」

「あいつ?私が言ってるのは私たちが信奉する女神様のことなのだけど」


俺は、さっきまで見ていた夢のことを説明した。

突拍子も無い話だけど、何故かこの人(黒髪じゃなくて金髪の方)なら俺の話を聞いてくれる気がしたからだ。

そして、自分が彼女たちにとっての異世界から来たということも全て話した。


「貴様、そんな話我々が信じるとでも・・・」

「やめて、アニス」


またも怒鳴りつけようとするアニスをシーナが止めてくれた。


「私、エータローの言っていること、信じるわ!エータローはイーシュ様が使わせてくださった天使なのよ!


そう言って、アニスに微笑みかけるシーナ。

だが、そう言われても俺は元の世界ではただのアラサーのサラリーマンだ。


「待ってくれ、俺はそんな大層なものじゃない。元の世界でも普通の・・・なんていうか、ただの平民みたいなもんだし、なんの為にここに来て、何をしていいかもわからないんだ!」

「いいのよ、エータロー」


真っ直ぐと俺を見つめ、微笑みかけるシーナ。

やばい、ドキドキする。


「エータローはエータローでいいの。この世界に来た意味もきっといつかわかるわ。焦らないで。すべてはイーシュ様のお導きのままに」


また、ニコッと笑うシーナ。

この笑顔を見ているだけで、安心する。

こっちの世界で初めて出会えたのがシーナで良かった。

(一人、余計なのもいるが)

しばらく、シーナの笑顔を見つめていたかったが


「というか、おい貴様、手に持っているそれはなんだ」


畜生、せっかくいいムードなのに水を差されてしまった。

シーナに天使認定された俺に対して、未だに対不審者モードのままのアニス。


手に?・・・あ。


「これは・・・」

「なになに!?見せて見せて!」

「これは、カレーっていう俺の世界の料理の材料なんだ」

「カレー?何なのそれ!異世界の食べ物!?私、すっごく興味があるわ!」

「ダメです、シーナ様!こんな得体の知れないもの!」


シーナの期待に輝く笑顔を見ていたらなんだか俺も嬉しくなった。

特別な力もない俺だけど、もしかしたらシーナを喜ばせてあげることができるかもしれない。


「よかったら、カレー作ろうか?」

「いいの?ありがとう、エータロー!」

「ダメです!シーナ様!」


カレーについてあーだこーだ言い合う二人。

この二人、仲いいんだな。

にしても、チートが無いのは残念すぎるけど(本当に)、シーナが喜んでくれるのならカレーの材料でも持っててよかったかもな。


「よし、じゃあ作るよ、カレー!」


俺の異世界に着いての初仕事は、カレー作りに決まった。

次回、カレーを作ります。

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