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魔導学園の衛生科  作者: 黄土色 紫
7/8

第7話

前書き編集

誤字・脱字などありましたらぜひ、ご指摘・アドバイスください。


楽しんで読んでくれたらうれしいです。

 アリス先生はかなり慌てていた。

「ちょ、ちょっと待ってください!話が違うじゃないですか!」

 服の袖を掴み男性教諭を引き留めている。

 白と水色のストライプ柄のYシャツ。天然パーマでそこそこ若い。小脇にタブレットを抱えながら後ろをかいている。

「すいませんね~。こっちも忙しいのですよ~」

 少し嫌味ったらしく突き放そうとあがく。

「そんな~」

「それでは」

 力が緩んだ隙に腕をひりほどき歩き去っていった。

(ど…どうしよ………)

 落ち込む先生の後ろから足音が聞こえた。振り返ると1人の女子生徒が歩いて着た。

「そうだ!」

 アリス先生は生徒の方へ走って行き両手を握り頼み込む。

「ちょっといいですか?」


(なぜこうなった………)

 時刻は9時過ぎ。真護は前日と同じ部屋で補習を受けていた。

 本の塔が崩され軽く掃除し少し綺麗に整頓され中央に置かれた机が動かされホワイトボードが持ち込まれていた。

 昨日とあまり変わらない空間だが1つ違った。それは————————————————————目の前にいるのがクラスメイトだった。

 小柄のそのせいか袖から手が見えないほど制服がかなり大きめに感じる。その上にダボっとしたベージュのカーディガンを身に着けスカートも床に付きそうなほど長い。

 髪は黒く短いが前髪だけ長く顔が隠れ全く窺えない。

 少し見える肌はまるで死体のように白い。

「            」

「え?」

 声が小さく真護は聞き取れない。

「だ……ってます?」

「え?ごめん聞こえない」

「だ、だだだ」

 緊張のあまり少女は噛んだ。

「だから————————————聞いています?」

 精一杯大声で発した。

「あ、あぁごめん。

 ちゃんと聞いてるよ真空寺(しんくうじ)さん」

 少女は数回息を深く吸いホワイトボードへ振り返り文字を書き始めた。

(どうしてこうなった)

 それは数時間前に溯る。


 7時半過ぎに起床、リビングの隣部屋にあるシャワーを浴び、テレビ近くの棚から本を取りソファーに座り読み始める。

 しばらくすると若葉が部屋へ入りドアが閉まる。

「おはようございます。真護君」

「お、おはようございます」

 少し驚く真護の中、目の前のテーブルに朝食を素早く並べる。

 パン数個、スクランブルエッグにコーンスープそれと瓶に入ったジュース3種。

 早く食べ終え、ベッドルームからトートバックを取りに行った。

「真護君!」

「は…はい」

 若葉はドアップで近づき人差し指を真護に向け、ゆっくり下げる。

「これ昨日着てたシャツだよね!ちゃんと着替えてください!」

 言われるがまま新しい物に替えに行く。戻ると若葉は首を2回上下に振りサムズアップをする。

 カバンを再び持つと誠一郎が入ってくる。2人を見て無言で振り返りエレベーターへ向かうと2人も後を追うように乗り込む。

 1階へ着くと従業員から「いってらっしゃいませ」と言われ若葉がうなずく。

 車へ乗り、学園へ向かう。

 車中では若葉が何回か話しかけるも真護があまり興味を抱かずへこむ。

 数分後到着。2人は前日と同じように対応し去っていった。

 まだ春休み中のため昨日の賑わいが嘘のようにかなり静か。

 昇降口から職員室へ行く。しかしアリス先生はいなかった。すでに補習教室にいるらしく小走りで移動した。

 教室へ着くと先生と別にもう1人見覚えのある女子生徒がいた。

 真護は凍り付くように動かなくなった。


「落ち着きましたか?」

「は、はい」

 状況が全くつかめず目も合わせられないくらいオドオドし始めた。女子生徒は真護の隣に座り緊張し小さく丸くなっている。

「突然ですが、今日午前中は真空寺 花実(かさね)さんが補習を行ってくれます」

「え?……………」

 再び固まる。花実も驚いたのか真護の方を見る。

「ちょ、ちょっと待ってください。ちゃんと説明しますから」

 アリス先生は落ち着かせつつ話を続ける。2人は無駄に身構える。

「本日の補習は魔術の実技。内容は魔力コントロールの復習と護身術分かりやすく言うと防衛なのですが、本来行うはずだった講師の方が急遽来られなくなってしまったのです。

 でですね何で先生が代わりをやるはずだったのですが私も用事がありまして、真空寺さんに頼んだんです」

 花実は疑問が晴れるも同時に少し怖くなって行く。

「それではこれを」

 アリス先生は花実の前に1枚のプリントを出した。

「この通り進めていただければ構いませんので。それでは」

 スケジュールを渡すと急いで部屋を後にした。

「……………」

「……………」

 長い沈黙が続く。しかし、それを破ったのは花実の方だった。

「そ、それでは——————————」

「え?何て?」

「で、ですから——————————」

「え?ごめん聞こえないんだが…」

 大きく吸い込み渾身の力を籠め発する。

「それでは始めましょうか!?」

「お、おう」

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