第6話
誤字・脱字などありましたらぜひ、ご指摘・アドバイスください。
楽しんで読んでくれたらうれしいです。
茶会が開かれてすぐ、アリス先生が机の引き出しから紙コップを取り出しお茶を入れ真護に渡した。
「いや~やっぱりすごいですね竹宮君」
「そ…そうですか?」
「まだまだ粗削りですが呑み込みは早いです。
これなら3日~5日で終わるかもしれませんね。本当は1週間の予定だったのですが」
思いのほか掛からない事に驚きながらも長く2人きりでいなくて済むことに安どする真護。
(ふ~さすがにそこまでは持たなかったわ………)
「どうかしましたか?」
「いや別になんでも…。ただ結構早い方だったんだな~と」
「いえ、1・2日もっと早い方は半日で終わりますよ?まあ、そんなに早く終わっても意味ないのですけど」
あっさり返事にたいした反応のない真護は唐突に入学式での出来事を思い出す。
「あの先生、聞きたいことがあるんですがいいですか?」
「はい何ですか?」
「さっきの、講堂でのあの模擬試合って」
アリス先生はまた何か言いにくそうにする。
「すいません竹宮君…。変なことになってしまって…。
あれはですね毎年、新入生と在校生が行う言わば決闘のようなものです」
「え!?決闘ですか!何でまた?」
「ああ、でも安心してください。そう言っても別にこれと言って何かあるわけではありません。
先輩たちの胸を借りると思ってやればいいですから」
そういう先生の瞳は少し寂しそうだった。真護は理解し口を開く。
「なるほど~わかりました、そういった行事って言う認識でいいんですね?別に勝ち負けとか関係ないんですよね?」
「はい。そう思っていただければ…」
お茶を飲み終えた真護はおもむろに着けていたブレスレットを触り深呼吸をし立ち上がる。
「それでは先生いつでもいいですよ」
「え?もういいですか?」
「別にこれと言って準備するものとかありませんし、それに長く休憩しているとこの感覚忘れそうで…」
5分くらいで再開することにし、真護は水晶を前に持ってきて構える。
「それでは始めてください」
意識を集中させ魔力を込める。
「落ち着いて…さっきの感覚を思い出しながらゆっくりと…」
アリス先生の心配とは裏腹にあっさり成功するも、まだまだ不安定。
「ま、まだまだこれからです。時間ももう少しありますから」
下手なフォローを受け流し集中する真護。
何回か小休憩を挟みながら行うもなかなかうまくいかないも徐々にできるようになっていき少しづつではあるが点滅の間隔が短くなっていく。
「結構できるようになってきましたね!先生今日1日では成功しないと思いました」
「そ、そうっすか」
袖で汗を拭きながら時計を探す真護。壁に立てかけられているのを見つけると17時を示していた。
「え!5時!?そんなに経ってたんですか!?」
「あ~言おうか迷ったんですがあまりにも集中していて伝えられませんでした。
では、今日の補習はここまでにしておきましょう」
「あ…はい…」
文房具をしまいカバンを持ち教室を出ようとした時、ふと道具を片付けていたアリス先生が慌てて話しかける。
「あ!明日の補習は9時からです。忘れず来てくださいね」
「分かりました」
いきなり声をかけられたため真護は慌てた様子で教室を後にした。
(ふ~不意打ちだった~)
落ち着きながら携帯を取り出そうとポケットも触るがない。
「んぁれ?携帯どこやったっけ?」
歩きカバンをあさりる中、ふと渡り廊下から下を見ると1人の生徒が実習棟の前を走って通り過ぎたのが見えた。
(確かあいつって同じクラスの~誰だったっけ?)
特に気にすることなく探しているとようやく見つける。
「は~何でたいしてデカくもねえのに…」
呆れながらも見つかったことに安堵し二折り携帯を開き若葉に電話をする。
【はいもしもし真護様】
「はい。今帰る所です」
【分かりました。では、すぐに参ります】
1分にも満たず会話が終了し、カバンにしまい小走りに昇降口へ向かう。
校門前にはすでに2人がいた。
「お待たせしました真護様」
「いえ、今来たところです」
「左様でございますか。でわこちらへ」
朝とは違い若葉は真剣な眼差しで対応し車内へ誘導する。
「ん?」
「どうかしましたか川崎さん?」
何かに気付いたのか辺りを見渡すも、何もなかったのか無言で車に戻る。
若葉も車内へ入り出発する。朝とは違いかなりすいていたおかげで南区画へ移動できた。
「今日はどうでしたか?何かありましたか?」
「いや別にこれと言って」
「あ…そうでしたか…。
そ、そういえば帰宅時間の時間帯なのに結構すいていますね~」
車内に入った途端かみ砕いた喋り方になる若葉。正一郎は一瞬後部座席の方を見るも誰も気づかない。
(――――――――――ダメだ全然話が続かない)
少し苦しくなる若葉に全く真護は気づかない。
(と…とにかく話題を………)
無理に話題を探す中真護は何かを考えているのかいないのか俯いていた。
あたふた周りに目をやる若葉。そんな中目的地であるホテルへ着いた。
正面はビルのような縦長のシンプルな形の建物だが全てが金色に塗られかなり派手。地上100mもないがかなりの奥行きがあるため客室数が結構多く見てろれる。
「ホテルキングへようこそ」
ドアマンに若葉は会釈しロビーを抜け、荷物を持とうとするホテルマンに正一郎が断りを入れエレベーターのボタンの下にカードをかざす。
すぐに扉が開き3人は乗り込み何もせず最上階へ上がった。
上に表示されている階層が数字からアルファベットへ変わり乗り込んで1分もしないうちに部屋に着いた。
赤いカーペットや白い壁は綺麗に金色で装飾され、テーブルや本棚など豪華な家具が並ぶかなり広い部屋。
インテリアのためか奥に暖炉が特に意味のなくついている。部屋入ってすぐ左にはキッチンがある。
真護が部屋へはいると若葉が「それでは真護様。明日の朝にまた参ります」2人は部屋を後にした。
左隣のベッドルームに荷物を置きに行った。
リビング同様かなり豪華な内装だがベッドとクローゼット、壁際に棚などの数点の家具以外奥にトイレしかなくかなり広いく感じる部屋。
「は~疲れた…」
深いため息をつき天蓋付きの白いキングサイズのベッドに腰かけ俯きネクタイを緩める。今日あった事を思い出しへこむも太ももを2回たたき「よし!」と意気込み、バッグからタブレットを取り出し部屋を出て正面にある赤を基調とし縁を金で飾られたソファーに寝そべりながら読み始める。
(は~復習でもすっか~)
今日習ったところを復習し始める。周りを見ても水晶らしきものがなかったため魔術はイメージトレーニングでする。
夜も更けてきて若葉が夕食の時間を告げに来る。真護は体を起こし振り向くと、すでに銀色のカートで運ばれて来ていた。
タブレットを眺めながら箸を進める真護の横で若葉は目を細くし立っている。いつもの光景で慣れているため何も気にしなかった。
食べ終えると若葉が素早く片付け部屋を後にする。
「は~~~」
深いため息をつき、勉強を再開する。
夜10時。復習は終わったが魔術の方ができず、水晶の代わりになるものがないかネットで調べている。
「あーーーね~~~な~~~」
ダラダラとベッドルームへ行き飛び込むように顔をベッドにうずめる。靴を脱ぎ捨てモーフの中へいも虫のように潜っていく。
「は~~~。水晶意外にも色々あるみたいだけど、今からじゃあ買いに行けね~し………」
数秒考えるも答えが出ずあきらめて明日のために早めにそのまま眠りについた。
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