第5話
今回から少し書き方を変えてみました
誤字・脱字などありましたらぜひ、ご指摘・アドバイスください。
楽しんで読んでくれたらうれしいです。
棚から10枚近くA3用紙を取り出し真護の横に置いた。
「え?…これ何ですか…?」
「テスト用紙です」
「何で?」
「今から学力テストをします」
予想外な発言に真護は驚く中アリス先生はドヤ顔で腕を組み仁王立ちしている。
「…え?いやいや…え?これって『魔法』の補習ですよね?何で学力テストをするんですか?」
「それはですね――――――――――ただの興味です」
「は?」
またもや突拍子もない事に声をなくすほど驚く真護。先生はただ表情を崩さずに椅子に座る。
「まあ、それは半分冗談です。
残り半分は現在の学力を知りたかったからです」
「え?何でまた?」
「入試の時学力の筆記テスト全教科満点でしたよね?」
「いえ知りませんけど」
瞬時に否定され、驚きながらも話を続ける。
「それでですね、もう一度現時点での学力を知っておきたいのです。どれほど勉強できているかもこの補習にかかわってきますし」
「なるほど~。学力が高ければ、自ずとこっちの方も良いって事ですか?」
「いやま~一概にそうとは限りませんが大体合っています」
いやいやながらもプリントを自分の前に置きカバンから筆箱を取り、中からシャーペンと消しゴムを出した。
「じゃあ、準備もできたようですので始めてください」
前ふりなくいきなりの事に戸惑ったがすぐに始めた。
「ぜ…全問正解です」
開始1時間少々で全て解き終わりアリス先生は採点し終わった。
「ま、前より学力上がっていませんか…」
「え?いや別に」
「だってこれって高等部1年から3年生の学期末のですけど………」
「え!?何でそんなもんやらせたんです」
「入試で満点取る人ってそんなにいなくて、少し興味がわきまして」
混乱する先生を尻目に真護はきょとんとしていた。
「いや…ぶっちゃけやる事なくて結構勉強してはいたんですけど。」
「ああ、だからですか…。まさかここまでだったとは………」
落ち着きを取り戻しそれと同時にあることにはっと気づく。
(じゃあ…もう高校分の勉強終わっているって事ですか~)
即座に気持ちを切り替え再度真護へ首を向ける。
「では、肝心の魔術の方へいきます」
さっきの棚から少し茶色く濁った水晶と台として座布団を机に置いた。
「これをどうすればいいんですか?」
「魔力を送ると光ります。ですのでそうしてくれればいいです」
真護は袖をめくり大きく深呼吸をした。
「あぁ、その前にそれ外してもらえますか?」
アリス先生は真護が身に着けている腕輪を指さす
「え、何でまた?」
「いいから早く」
急かす先生のお願いを渋々了承し外すし軽く振る。
「ふ~。準備いいです」
「それではお願いします」
両手に力を入れ、始める。
「何でこっちは~………」
「あぁ~はい………」
「は~。こっちはこっちで水晶は全く光らなかった………」
結果は失敗。それに愕然するアリス先生。
「何でこっちはあの時から全く変わってないのですか~」
「いや、その~勉強する機会がなかったといいますか………練習できなかったと言いますか………。
どう勉強すればいいのかわからなくて~」
「それでも教科書等はその後送られていたはずですし小規模の魔術や魔力のコントロールくらいならどこでもできます」
呆れながらも今後の方針を決め真護に伝える。
「とりあえずは基礎からやっていきます。ですがどれくらいかかるかはわかりませんが少しづつ頑張っていきましょう」
「はい先生」
するとアリス先生は陳列された本の塔から教科書を引き抜いた。そのせいで一瞬にして崩れた。
取った教科書を小脇に抱え真護と一緒に直し席に着いた。
「ではここからやっていきましょう」
「『魔力コントロール』ですか」
「はい!基礎の基礎です。
ところで話は変わりますが竹宮君は魔法についてどれくらい知っていますか?」
「いや、まあ…あまり………概要程度しか………」
「では『魔法』と『魔術』の違いは分かりますか?」
真護は思い出しながら話をする。
「え~っと~確か、『魔法』は一言で『奇跡』ですよね?
『魔術』は動力源の『マナ』を使って魔法を起こすための『術』つまり方法ですよね」
「はい正解です!少し訂正するところもありますが概ね合っています」
嬉しさのあまり『よし』とガッツポーズをする真護を見てアリス先生は微笑み話をする。
「ですが竹宮君はその魔力のコントロールがと言いますか…
魔術そのものがうまく発動していないのです。なぜでしょうか~?とんでもない量の魔力があるのに~」
疑問を浮かべるアリス先生に「え?そうなんですか?」と自覚がなさすぎる発言に温厚なアリス先生も切れ気味に言う
「そうですよ!まさか自覚がなかったんですか?
いいですか!?『魔力量=その人の才能』なんです。なのになぜこんなにも……」
呆れた様子見た真護はなぜか申し訳なくなって「す、すいません」と謝罪の言葉を述べた。
「いや、別に怒っているわけでなないんですよ」
誤解を解こうと謎の必死さを見せるアリス先生。
「でもまず座学からやっていきましょう。とりあえずはこの教科書通りにやっていきましょう」
「はい!」
さっそく開いたページを読みそれ通りに行い始めた。
座学自体はすぐに終わった。真護が思いのほか飲み込みが早くアリス先生も驚いた。
そしてすぐに実技の方へ移行したが、開始から約2時間半経過し現在15時前。全くうまくいかなかった。
アリス先生は色々アドバイスをするもあまりうまくいかず、真護もそれを聞きそれ通りやっているつもりでぜんぜんうまくいかない。
「少し休憩しますか?」
2人は椅子に座りぐったりした。
「何でうまくいかないんでしょうか~?」
「一応先生のアドバイス通りにやってはいるはずなんですが………」
「『一応』とか言い訳ではなく………まあ、仕方がないですね……………」
アリス先生はため息をつく。
「竹宮君ってこれまで出れくらい魔術を使ったことがありますか?」
「いや…ほとんどないです。2・3回くらいですかね~。」
「え!?たったそれだけ」
「いや練習とかだったら何回か…でもほとんどないです」
(だからか~)
あまりの少なさに仰天するもなぜできないかわかったアリス先生は、ほかの方法を考える。
「今日1日で1年分驚きましたよ竹宮君」
「あ、はい…どうも…」
「ほめていませんよ」
たわいのない雑談をする中思いついた。
「竹宮君はどういった時に魔術を使いましたか?」
「あ~それはですね~」
眼が泳ぎそわそわし始めた真護も見たアリス先生は「言いにくい事でしたら無理しなくていいですよ」と優しく言った。
申し訳なさそうに「あ、はいすいません」と謝る真護に
「ああ、たいしたことではないですよ。
ただその時のことを思い出してみればいいと思います。だって入試の時は粗削りですがうまくいったんですから」
温厚な先生から助言をもらった真護は瞼を閉じその時のことを思い出す。
いやなことも思い出しながらも水晶の前に両手を突き出す。
(フッ!)
目をゆっくり開くと不規則ながらも光っていた。
「よくできました竹宮君」
感謝の言葉をくれたものの深刻な表情に瞬時になった。
「ですがまだまだ不安定です。このままでは次のステップに行けませんので今日中にある程度まで安定させるのを目標に頑張りましょう」
「はい!」
うまくいったことに喜びながらも気合を入れなおし、先ほどのアドバイスを思い出しながら挑戦しようとした時。
「あ!でも休憩しましょう。
その感覚を忘れないうちやるのも大事ですが、気合を入れすぎるのもあまりよろしくありませんから」
水晶を台ごと奥へ引っ張りずらす。席に座るとアリス先生がお菓子をくれた。
「いい時間ですしお茶にしましょう。ですがこのことは内緒ですよ」
唇に人差し指を添えささやく。首を上下に軽く振ると数本のスイーツバーをくれた。
「え?これってさっき先生が食べてたやつですよね…。あ、でもなんか違う」
「よく見てましたね。これは先生のお気に入りです。食べたことないんですか?」
「はいあまり…」
ゆっくり袋を剥がし口へ運ぶ。
「おいしいですか?」
「はい。ありがとうございます」
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