第4話
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楽しんで読んでくれたらうれしいです。
2階まで降り左へ進み突き当りを曲がりそのまま実習棟へ行った。下にはかなり広めの中庭が見えるも気にせず真護はそのまま向かった。
床も天井もすべて木造上から電球がぶら下がる昭和感漂う古き良き内装。教室に比べて少し古いが綺麗にされている。
タブレットを取り出し地図を開き、補修教室を確認。以外にも近くにあった。
扉の前に立ちノックをする。返事がありそのまま入る。
「失礼します」
部屋はプリントや本が乱雑に積まれかなり散らかっている。資料や機材の入った棚なども掃除が最低限しか行き届いておらずわずかに埃っぽさが残っている。
部屋の中央に置かれた大きな机の奥半分くらいに積まれた本の束が見える。補習に合わせて急遽整理したのであろう事がわかる。
「あら~竹宮君!どうかしましたか?」
奥の教員用の長机のところに腰掛けているアリス先生に対し言いにくそうにもじもじするもすぐに切り替えた。
「先生、この辺で食事ができるところってありますか?」
「この辺でですか?」
視線を上に向け思い出す。
「食堂は1階にありますが、今日は開いていませんし…外に出ればコンビニやファミレスはありますが、時間までに戻って来られますか?」
「場所がわからないので、多分無理ですね」
キョトンと困り果てた真護を見てアリス先生はなんとなく察し恐る恐る聞いてみた。
「どうかしましたか?」
「いや…その~…昼飯持ってきてないですよね~」
(やっぱりかーーー)
予想は的中した。2人とも困惑するもすぐ打開案をアリス先生が出す。
「では、先生の少し分けますよ」
「え?いいんですか?」
「いいですよ」
カバンから弁当を取り出し、蓋によそった。「あ、ありがとうございます」真護は受け取り目の前にある椅子に座った。アリス先生は机の引き出しからプロテインバーのようなものをいくつか取り出し1席離れ一緒に食した。
10分ほどで食べ終わった。食後すぐは避ける事にし、アリス先生は準備し始めた。真護椅子に座っている。
「あの先生質問いいですか?」
「ええ、いいですよ」
アリス先生は長机に色々な資料を置きながら話す。
「俺以外に補習受ける人いないですか?」
「はい。先生が受け持つ生徒は竹宮君だけです」
その瞬間心の中でなぜか身構え凍り付くように一瞬固まった。
「あ、あの~もう一ついいですか」
「はい、いいですよ」
今度は真護の方を向き答えた。
「この補習って俺が実技試験受けてないからですよね」
アリス先生は一瞬言葉が詰まる。
「いや、それに関してですが――――――――――」
長机の下から1枚のプリントを取り出した。
「確かに入試の時に起きた事故のせいで実技試験はできませんでした。しかしあの時けがをした生徒や先生たちを助けた事で実力を見せてくれました。それで学園側からの推薦を取りましたよね?つまりその時ある意味では実技試験はクリアしていたんです」
「いえ推薦とかそこへんは知らなかったです」
「そ、そうですか…」
知らないことにきょとんとしながら真護にプリントを渡した。
「『特別補習』?」
「はい。そうです。」
そこには内容と担当教諭の名前と場所が記載されていた。
「って何ですかこれ?」
「これは普通の補習は少し違います。今から説明しますね」
ホワイトボードの前に立ち説明を始める。
「この補習は生徒の任意で参加でき、自分の能力向上を目標にしていて内容にそれに応じて生徒が 集まり行うものです」
「何でそんな事…」
疑問に思った真護にアリス先生は話を変え。
「竹宮君はこの学園が何のために開校したのかご存じですか?」
視線を上に向け思い出す。アリス先生は腕を組み待つ。
「確か『魔術を社会福祉やスポーツなどの競技に生かすために教育・研究を作られた人工島』それがこの島で、そこで『教育』の部分を行うためにあるのがこの学校ですよね」
前日ネットでザラっと見た知識を何とか思い出しながらしゃべる。
「はい正解です。よく覚えられましたね」
「まあ、入学する学校のことは多少調べますし」
アリス先生は少し虚ろな表情をするも瞬時に切り替える。
「そのためこの補習があるんです。
授業にやっとのことでついてきている子やもっといいところに就職するためにね」
「え?あるんですか?そんな所」
「はい。衛生科ですと医療や介護がほとんどですけど」
疑問が解決した真護だが再び問いかける。
「なるほど~わかりました。
でも、まだ腑に落ちないんですけどいいですか?
「でも先生…」
「はい何ですか」
「さっき『任意』って言いましたよね。俺参加するって言ってないのに何で呼ばれたんですか」
アリス先生は真護の右斜め前に座るも少し距離を取られた。
「それはですね」
咳払いをし、真護を見つめる。蛇に睨まれた蛙のように膠着する。
「先生は竹宮君の才能を信じてお呼びしました。」
「はぁ~」
拍子抜けと言うか驚きながらもあきれたようにため息をつく。
「入試の時見たあの能力。おぼつかないながらもあれほどできる生徒はそうそういません。
それであの時もし入学してくれたら絶対誘うって決めていたのです」
勢いしかない熱弁に少し引きながらも心配も解け安心する真護。
「なるほど分かりました………」
数刻考え込む真護を見てアリス先生が問いかける。
「やっぱり迷惑でしたか?勝手な事をして………」
「まあ、そうですけど………」
答えが決まり先生の方を向く。
「分かりました。この補習に参加します」
「え!いいんですか?」
「いいですよ。
ただでさえみんなと差があるし、どうせ帰ったところでやることありませんし」
「あーーー!!!ありがとう竹宮君!!!!!」
半泣きで両手をつかみ感謝するも、あまりうれしくない真護であった。
「それで、まずは何をすればいいんですか?」
その手をさりげなく振りほどいた。
「そうですね~」
アリス先生は棚をあさり始めた。
「まずはこれですね」
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