第3話
誤字・脱字などありましたらぜひ、ご指摘・アドバイスください。
楽しんで読んでくれたらうれしいです。
教室へ戻ってきた真護は再び突っ伏していた。さっきの一件のせいで余計目立った。
「やっぱりすごいね竹宮君!」「結構魔力を取られていたみたいだけど全く問題ないなんて!」
称賛の声を連呼されながらクラスへ戻って来た。評価が爆上がりな事に少し恥ずかしさを感じている。
しばらくするとアリス先生が教室へ入ってきた。
「それではHRを始めます」
先生が代わりに号令をした。
「せんせ~しつも~ん」
「はい何でしょうか?」
「さっきの会長の一件でどうなったんですか~」
先生は言葉に詰まる。言いにくそうによそ見をする。
「そ、それにつきましては先生たちの方で検討しますのでこの話は気にしないでください。あとあまりしないでください」
渋々了承した生徒は黙る。
「それでは、続きをします。」
ホワイトボードに書きながら話を続ける
「今から自己紹介をしてもらいます。出席番号順でお願いします。
名前のほかに趣味・好きな食べ物・座右の銘など言っておきたい事は何でも構いませんが、この中から1つは言ってくださいね」
自分の名前を書き終わり皆の方に振り向いた。
「それでは、先生から行きます。」
咳払いし、再度皆に目を向ける。
「知っている人もいると思いますが改めて自己紹介をします。山田アリスと言います。
日本とアメリカのハーフです。趣味はアクセサリー作りとか~手芸とかです。
何かありましたら気軽に質問等しに来てください」
お辞儀をし終えるとクラス一同拍手をする。真護は少し出遅れるも、気かれることはなかった。
「それでは出席番号1番の人お願いします」
自己紹介が始まると真護は恐怖と不安で混乱し始めた。さっきまで何ともなかったのにいきなり汗だらだらになった。さながら間欠泉のように。
(どどどどどうする…自己紹介つったって何言えばいいのかさっぱり――――――。
そういえば昨日早川さんと自己紹介の練習したんだっけ。それをすれば)
教室の方では一悶着ありながら少しづつ進み、徐々に落ち着きを取り戻していく。自分の番になる頃にはとほとんど冷静になり、勇気を出し渋々立ち上がる。女子は「待ってました」と言わんばかりにザワザワし始めた。
「は…初めまして…竹宮 真護です…
趣味とか特にな…無いです。得意教科とか特になくて、勉強はそこそこです」
下を向き暗く弱弱しく聞こえるギリギリの大きさで喋る。周りは別の意味でザワザワしている
「あ…あと、自分……その~………」
女子は予想と反しかなり暗めの奴なことが分かり少々幻滅する。
「じょ」
(((((じょ!)))))
「女性が…苦手で………それだけなんですが……………よろしくお願いします」
煮え切れ切れない中話を終わらせ席に着く。(え?終わり?)疑問や驚きの表情を浮かべる人もいた。
「で、では次の人~」
困り顔のアリス先生をよそに自己紹介は続き、全員つつがなく終わった。
「はいそれでは皆さん仲良くしましょうね~」
この発言にさっきの事で真護はドキッとした。しかし、周囲に気づかれず少し安堵した。
「皆さん疑問に思う方もいますが、何でこんなに早く入学式をしたのと言いますと――――――」
先生はさっき書いた名前を消し、色々走り書き始めた。ホワイトボードには『補習』と簡単な説明が書かれている。
「それでは説明します。この補習は高等部へ入学又は編入して来た方が対象になります。
内容としては中等部の設定教科で習うものです。これを受講しておかないと高等部での実技」
そう言いタブレットを慣れた手つきで素早く操作し確認し前を向く。
「対象者の竹宮真護君です、後で実習等の補修教室へ来てください」
いきなりの事に真護は唖然。理解の追い付かいない事だらけで処理が間に合わない。
(え?何で俺だけ?)
ゆっくり手を上げ(今度こそ…)と意気込み先生を呼ぶ。
しかし、またもやタイミングが悪く、チャイムが鳴った。
「それではHRを終了します。次回の登校日は1週間後の7日です。忘れずに来てくださいね。」
号令をし、先生は教室を出た。
(またかよ………)
呆気にとられた真護ではあったがすぐに落ち着きを取り戻し肘を着き窓の外を見ていた。そんな中まだ半分以上の生徒が教室にいた。
「ねぇ誰が話しかける~?」「あんた行きなさいよ~」「いや、あんたが声掛けに行ったら~」
さっきの自己紹介で真護が言ったことを完全に忘れた女子たちが誰が話しかけるかもめている。
(だ・か・ら俺は女性が苦手なのに~)
テンションはダダ下がり。余計教室が出にくくなった状況で声をかけられた。
「あ…あのさ~。ちょっといいかな?」
渋々顔を上げるとやはりと言うか女子生徒だった。
平均的な身長で長い黒髪で吊り目で猫っぽい瞳をしている。腕を組み立っていて、両人差し指に銀色の指輪が光っている。少し着崩した制服からはラフさが際立っている。
ある程度予想していた真護は少し避けるように椅子の端へ寄った。少し懐かしさを感じながら口を開いた。
「な…何か用ですか?」
「用があるから読んだんじゃない。ちょっと顔を貸しなさい」
強く怒っているようではなかった女子生徒。真護は席を立ち2人は教室を出て階段を上がり屋上の入口へ着いた。やはりと言うか結構な人数の女子に少し騒がれた。
真護は少女から少し距離を取ったところで「な…何か?こい…|春園『はるぞの』さん」と話しかける。
「何か他人行儀だね。昔みたいに恋花って呼んでよ」
気まずさを感じる真護は目をそらす。
「ってかさっきの自己紹介の時、なんかあったみたいだけど?」
教室で起きていたことについて質問をする。恋花は何で知らないのか疑問に思う。
「ああ、あれね。私の名前がおかしかって言われたのよ。『愛花』』じゃなくて『恋花』って書いてあったから……。いつものことだけど、正直面倒なのよね~」
「いや、別に知らんし」
「あ、そうだったの?」
たわいのないやり取りをした後、数秒の無言が続く。最初に破ったのは真護。
「そういえば、春園さん昔とだいぶ印象変わったな」
「え?そう?」
「昔はそんなんじゃなかったじゃん。なんかぎゃるっぽいと言うか」
「え?ジャルっぽい?どこが?別に普通じゃない?」
再びの沈黙。しかしすぐに恋花が話し出した。
「じゃなくて、真護君もこの学園に来たんだね」
「ああ、まあな………」
「何でこの学園に来たの?」
その問いに言葉に詰まる。何とか答えようとするも口に出ない。
「ごめんいきなり変なこと聞いたね。」
恋花は話題を変えた。
「もう1つ聞きたいことがあるんだけどいい?」
「あ!そういえば俺先生に呼ばれてんだったわ。それじゃあな」
真護はすぐに会話を打ち切り階段を下りて行った。
恋花は両手を力強く握り―――――――――――――――――すぐに離すと静かに涙を流した。
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