第1話
誤字・脱字などありましたらぜひ、ご指摘・アドバイスください。
※もともと一人称視点で書いていたものを変えたので、おかしなところがありましたらご指摘ください※
西暦2025年4月1日、9時半過ぎ。真護たちは渋滞にはまっていた。
真護は何をするでもなくただただ窓の外を眺め、運転手の執事は黙々とただ動くのを待ち、右斜め前に座っているメイドは気まずそうにしている。
外は白を基調としたオフィス街。桜の花びらがちらほら散らばっている。サラリーマンや学生、スモックを着た子供などいろいろな人が歩道を歩いているが、それほど混んではいない。
「そ…それにしても渋滞長いですね~」
車内の静かなとした空気に耐えかねた早海 若葉がどうにかしようと話しかける。
黒のワンピースでカチューシャやエプロンは身に着けていない。黒髪シニヨンで整った眉。青色でキリっとそれでいてどこか優しい丸い目をしている。
「そうですね……」
不愛想に真護は返事をした。若葉は苦笑いしながら話題を変えた。
「そ、そういえば真護様。スマイルカンパニーの一件、ようやくかたがつきましたね。
はじめはすぐ終わるものかと思いましたが、結構長引きましたね~。確か名前は大空 ハジメでしたっけ?」
「そ、そうっすね………」
(話が続かない………)
困り果てた若葉の後ろから咳払いが聞こえた。それとほぼ同時に車が動き出した。
真護は再び外を眺めた。
約十分で目的地に着いた。
「さあ真護様。国立魔導学園に到着いたしました」
若葉が手を学園の方へ向け、執事の川崎 正一郎がドアを開けた。真護はトートバックを片手に車外に出て見上げた。
赤い屋根の巨大な城のような建物。校門はアーチ状の鉄柵で、どこかのお屋敷の庭の入り口を連想させる造りになっている。外壁はどこにでもあるような不格好なコンクリート製。そのせいか見た目のミスマッチ感が絶大。
(前見たはずなのに…)
何か言いたげそうにしている中、若葉が声をかける。
「それでは真護様。お迎えの時は携帯の方へ」
そう言い残しお辞儀し車は去っていった。
真護は校門を潜った。すると目の前に髪の長いブロンドの見覚えのある女性がいた。
「あ!竹宮君!」
手を大きく振り走って近づいてくるが、おびえる真護を見て数歩手前から歩いて着た。
「お久しぶりですね竹宮君入学おめでとう。入試の時以来ですね」
「そ…そうですね…山田先生……あ、ありがとうございます」
そよそよしく話す真護。すぐに依然あった時と違うことに気が付く。
「どうかしましたか?」
「いえ。前会った時となんか雰囲気が違うなと思いまして・・・」
「今日は入学式ですからね。黒のスーツでキメてきました。アクセサリーも着けて来たかったですが、さすがに…」
アリス先生笑顔で自分の兵法の手の甲を前に出した。そしてすぐに何か言いたげそうに雑談の途中で話を切り替えた。
「話は変わりますが………」
アリス先生は感謝を述べていた笑顔が少しづつ悲しそうな表情になった。
「入試の時はありがとうございました。」
「あ…いや、それほどでも」
「あの時、竹宮君がいてくれたおかげで何人もの生徒が助かりました。改めてお礼をさせてください」
アリス先生は深々と頭を下げた。
「いやいや頭を上げて…てか、俺はそんなに役にたってませんし」
「いえ、それだけではありません」
顔を真護に向け話をつづける。
「竹宮君。本当は『普通科』か『総合科』への入学希望だったのに、話の流れで『衛生科』への入学になってしまいまして、そのことも謝りたくて」
アリス先生は謝罪の言葉を述べ再び頭を深く下げる。
周りから何かあったのかとザワザワし始めた。
「いや、だから頭を上げてください。こんなところでやめてください」
どうにか頭を上げてほしいがしかしなかなか上げてくれない。次第にざわつく人が増えていった。
「別に怒ったりしてませんよ」
「え?」
真護の意外な言葉にアリス先生は顔を上げた。
「別に、俺はこの学校に入りたくて入試を受けたんですよ。
最悪どこの科でもいいです。だから頭を上げてください」
さっきまで全く動こうとしなかった頭がゆっくり上がった。
「ありがとうございます。やっぱり優しいですね」
「いや、別に…。
ただ、周りの空気が………」
アリス先生はあたりを見回し赤面する。
「本当にごめんなさい」
「だ・か・ら………」
そんなやり取りを30秒くらいしたのち、アリス先生が深刻そうな表情で真護に話しかけた。
「た、竹宮君」
「はい?」
「ちょっと話しにくい内容ですが、聞いてもらえますか?」
「いいですよ」
数秒目を閉じ、真面目な顔で口を開いた。
「実はですね――――――」
「あ!いたいた山田せんせ~~」
話の途中で、別の教師がやってきた。
黒のスーツを着たアリス先生とあまり変わらないくらいの歳の女性、短い黒髪で名札には山下 菊野と書かれている。
「こっち手伝ってもらえますか?」
「えぇ、いいですよ。すぐに行きます。
それでは竹宮君。また後で」
そう言い残し、2人は走って去っていった。
(な…何だったんだ……話って……ま、後で聞けばいっか)
話を打ち切られたことはあまり気にせず、真護はトートバックからノートサイズのタブレットを取り出し事前にもらっていたスケジュールを確認した。
(昇降口にクラス分け張り出し…とにかく行くか!)
タブレットをバックにしまい足早に向かう。
昇降口に近づくにつれ真護はありことに気が付く。なぜか周りの人が自分の方を見て何かつぶやいていた。
(さっきの校門でのことがもうここまで広まっていたのか)
そう考えている中「あの人が例の?」「この間の自己の時の!?」「ああ、実習等での爆破事故の時一番に生徒を助けようとしてた…」といろいろ飛び交っていた。
(あ~。心配して損した…)
真護は何も考えず歩き、クラス分けの掲示板前に来た。
結構な人数が集めっており、一緒のクラスに慣れて喜んでいる新入生や、子供の晴れ姿に喜ぶ親が集まっていた。
白く黒板くらい大きい電光掲示板が数枚設置しており、上の方に科名が書かれている。
(衛生科…衛生科…あ!あった)
自分のクラスの掲示板の前に行くが、数えるくらいしかいなかった。そのためすぐに確認ができた。
(あぁあったあった~~~~~~~~~~あ!?)
真護は恐ろしいことに気づき絶句した。さっきまで冷静だった表情は崩壊し青ざめ、冷や汗が滝のように流れてきた。
(も、もしかして………クラスメイト………俺以外全員女子………?
いや、まさかな。それっぽい名前のやつが多いだけで、何人か男子もいるだろ)
冷静を取り戻し、昇降口へ入っていった。
タブレットを再び取り出し、教室の場所を確認する。靴のまま上がってよいことになっており、そのまま教室へ向かった。
(ったく早海さん下駄箱がどうこうってそんなもんなかったし…まあいいや)
階段を上がり3階左へ曲がってすぐに教室がある。しかし、右の方はやけににぎやかだった。
(何かあっちの方やたらとにぎやかだな…)
気にせず教室へ向かう。真護は心なしか少しうれしそうにドアを開け入った。
教室には――――――――――女子しかいなかった。
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