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少年少女革命  作者: 四ノ宮凛
phase 1
1/32

"落ちる"

世界は退屈で排他的だ。

誰もが今の安寧だけを望んでる。大きな流れに交わって紛れることだけをしている。今に満足が行かなくったって今を変えようとはしない。誰かと同じがいい。違うものは叩き出せ。そんな世界で満ちている。

『星』が落ちてから8年経った。ほぼ同時に落ちた7つの星は7つの街を壊滅させた。7つの街はまるでそこが初めから有りもしなかったかのように消え去った。人も、建物も、自然も、何もかも。

僕はその街で唯一生き残った。不自然に僕だけが生き残った。大人達は天文学的な確率だの奇跡だの色々な言葉を投げたけど僕が未知の力を発現した時から僕に投げられるものは恐怖と怪奇の目に変わった。

寄せる。突き放す。僕が星に『当たって』から得てしまった力。大人達は僕を怪物やら異星人やら化物だとして痛めつけて、汚い言葉を投げて、追い出した。故郷も失って僕は街を転々としながら、盗みやら何やらしながら何とか生きてる。

大人達は厳しい統制と監視の中、つまらなそうでありながらものうのうと死んだひびを過ごしている。『七星連邦』小さい頃、父親から聞いた話だけど、僕たち人類は太古の昔、住めなくなった母星に別れを告げ、複数に分かれ新天地を目指し星の海を彷徨った。旅路の果てにシャングリラを見つけ、そこを新たなる人間の住処にすることとした。その時に乗っていた船が連邦首都ノアになっている。しばらくは人種や、かつての国ごとに分かれて治めていたけれど、僕があった『七星災害』、『異常地殻磁波』、『神隠し』といった不可思議な現象の数々を襲われて自治機能が崩壊した後に、治安統制の名の元、ノアの貴族たちから『七星都市国家連邦自治軍』が生まれた。七星連邦は発掘人型兵器イージスを用いて、『七星への立ち入り制限』『強制的な治安維持』『ノアへの入国制限』などを行い、崩壊した自治機能を無理やり正した。その結果、ノアの中に住む上流階級と外のスラムとの差が広がりきった。今日も街をじゃ憲兵が立ち回り、イージスが巨大な銃を持って監視している。それでも大人達は今あるものを変えようとはしない。今の最低すらも失いたくないならなんだ。

どこかで流星をトレードマークにした半連邦ゲリラの話は聞くけれど、辺境の街じゃ風の噂程度だ。誰も変わりたがらない大人だけの場所じゃそんなもの。

僕は変わりたい。こんな退屈な街で、希望も何も感じられなくて、特別でも除け者にされる世界から飛び出したい。もっと刺激的で、鮮やかに広がる世界と最高の日々を送りたい。そんな幻想を抱きながら、盗んだボロの電磁浮遊式バイクでスラムを駆け抜けていく14歳の少年「シエル・アドロック」、それが僕。

力は無いけど『力』のおかげで盗みは慣れた。ガラクタからボロ探して無理やり使ってたらそのうち機械も有る程度いじれるようになった。知識は学校やらなにやらから教科書なりなんなりを盗んだりして学んだ。災害にあった時点で文字が読めたのが幸いだったと思う。今根城にしてるゴミ山の基地にはかすめてきた壊れてる作業用イージスもあって、最近どうにか動いた。中の電子回路はさっぱりだけど幸いガワだけ直せば動いてくれた。用途は思いつかないけど、最近これを動かすのがちょっとした趣味だったりするんだ。かっこいいからね。

今日もいつものようにどこかから飯をかすめて基地で食べて、日が暮れてゴミ山に誰も居なくなったらイージスでひとしきり遊ぶ。変わらない大人達が嫌いだけど僕もこんな変わらない日々から全く抜け出せないんだ。

最近やっとイージスの電磁制御装置が直って電磁浮遊が出来るようになった。シャングリラは特殊磁場が発生していて、地殻反応磁石を組み込んだ円形の『エンジン』を使えば、電流を流すだけで色々な方向に力を加える事ができる。それを制御してイージスの足の裏に装着すれば高速で走行出来るし、背部にも装着すればまるで空を飛ぶように上空を飛ぶ事もできる。軍用のは宙返りしたり、高度を急に落としたりトリッキーな事も出来るらしい。直したとは言ったけどエンジンの作りは正直よく分からなくて軍用機のをかすめてパーツを交換したんだ。これがまた凄くてびっくりしたんだ。磁力がケタ違いで、あまりに磁力がつよくないこの辺りでもかなり浮くんだ。あんまり良く動くもんだから楽しくなってしまって少し遠くの荒野まで出てしまった。

その時だった。


「居たぞ!例の反応が出てる産業用イージスだ!」


けたたましい高音を『エンジン』から鳴らし、こちらへと高速で向かってくる軍用イージス。1、いや2…いや3機だ。ヤバい。ヤバいヤバイヤバイヤバイやばい!軍用機なんだから管理くらいされてるに決まってるじゃないか!いくらザル警備のド田舎駐屯地の連邦軍だって高い軍用エンジン盗まれたらそりゃ焦るよ!何やってんだ僕!


「大人しく投降しろ!お前がイージスのエンジン盗んだのはわかってるんだ!」


ああ、そんな考えてる場合じゃない。とにかく逃げるッ!全速力で!エンジンへの電流を最大まで流して前方へ強烈に加速する。体感したことの無いような圧力に意識が飛びそうになるけど、そうはしていられない。とにかく逃げるんだ、それから考えるんだ。

アレは軍用イージスでも旧型で陸上機のASA-18ビバンダムだ。太くて分厚くてエンジンはやたらデカいけどこの辺りの磁場じゃ30cm浮くので限界なヤツだ。だから上からは来ないし地上で巻けば逃げ切れる!ここから少し先に異常磁場のゾーンがあるけどあそこは抜け道があるんだ!そこでアッチが異常磁場に巻き込まれて足を取られてるうちに逃げ切る!


「ぶっ壊れるなよぉ…全速前進!」


装甲が無いから同じ軍用エンジン乗ってけてたら軽いこっちの方が速いんだ!鈍重なビバンダムじゃすぐに突き放され…


「投降する意志が無いとして発砲を許可する!発砲!」


大地を削り取るような弾丸のイージス用巨大なマシンガンが僕のイージスを掠める。しまった、装備があっちにはあるんだって事を忘れてた。こっちに何か対抗策は…策は…作業用アームと切削用ドリルでどうしろっていうんだよ!!!

ドリルならビバンダムの装甲もブチ破れ…ダメだ装甲もないこっちのイージスで白兵戦挑むなんて無茶なんてレベルじゃない。第一コクピットが覆われてるあっちに対してこっちは頭が付いてないスケルトンなんだぞ!当たったら即死じゃないか!

そうこうしながらもビバンダム3機は僕を追いかけ回しながらマシンガンをぶっ放す。時折、フレームをかすめては軽い音を鳴らし恐怖を与える。思いつくことなんて無い、ただ当たらないように逃げるしかない。そう思うもつかの間、マシンガンが右脚部フレームにクリーンヒットして破壊され、バランスを崩した僕のイージスは一回転して背から転げて止まった。


「イージスはもう動けないぞ!投降しろ!」


僕はボロがさらにボロボロになったイージスから降りて両手を頭に付けてビバンダム達の前へと出る。ビバンダムのコクピットからワイヤーを伝ってアサルトライフルを持った軍人達が降り、僕に銃口を向けながら話し始めた。


「堪忍しろ!エンジン泥棒め!そのイージスも盗品だな?」


中年の少し太った軍人がそう話しかけてきた。階級は…確か大尉?年の割に階級が低いな。続けて奥のビバンダムから降りた細身の若い軍人が近寄り話す。


「大尉、どうします?基地に連絡してガキを更生所に送り飛ばすってところですが…」


「やめろ。面倒だからな。それにこんなガキにエンジン盗まれただなんてノアの奴ら共にバレたら俺やこの基地が笑い者にされるわ!こんなスラムの汚えガキさっさと殺して隠蔽だ!殺れ!」


ああ、クソッ。こんなとこで死ぬのか。軍人は銃を構えてセーフティを外しトリガーに指を掛ける。死が近づく。まだこんなところで終われない。つまらない日々を壊して、灰色の世界を変えるんだ。やり方は分からないけどいつか僕はこんな退屈な世界から抜け出すんだ。そうだ。死んじゃいけないんだ。


「『突き放す』_____」


星が僕だけに与えた力。生き残った事への祝福か、またはその罪への罰か。僕はそれを最大限に使い、軍人と銃弾を僕から『突き放す』。死んじゃいられない。まだ死ねない。こんな鉛玉で死んでたまるか。


「コイツ…『スター・ミュータント』だ!コイツをさっさと捕まえろ!絶対に捕まえろ!"生きて捕まえろ"!コイツらはノヴァク研究所に見つけたらすぐに研究対象として送れって言われてんだ!ノアからだ!ノアの本部からの命令なんだ!」


全力で僕は『突き放す』。けれども、もう力が持たない。銃弾の雨は止んだが、全力で軍人が向かおうとしてきている。3人目の軍人は何かを呼んでいる。このままではどこかへ連れて行かれる。アイツの言うことはよく分からないがそれだけは分かる。今よりも自由がなく希望もなく色のない世界に連れて行かれるんだ。燃えたぎるような熱い感情に揺らされる体験するなんて叶わなくなるんだ。その時、『それ』は降ってきた。


「子供1人に大人3人。卑怯じゃない?」


純白を基調とした見た事のない軍用イージス。スラリとしながらも強さを感じさせるシルエットは人間が母星にいた時代、その大昔の大昔に居たらしい『騎士』を絵に起こしたかのようで。たった1本の巨大な剣を持ってそこに現れた。


「『流れ石』?『流れ石』だッ!早く基地に連絡しろ!『半連邦ゲリラの流れ石』だッッッ!!!」


流れるように、舞うように空から電磁浮遊でビバンダムに肉薄し、急いで搭乗して迎撃を試みるが大きな剣で一刀両断される。男らしからぬ悲鳴を上げながら闇雲にマシンガンを放つ2機目も華麗に交わした末にコクピットのある首を切り離し、大尉の乗った機体も剣を取り出し白兵戦へと持ち込むが、『騎士』の高出力なマニュピュレータによって弾き飛ばされた後に回り込まれ、背中から斜めに両断される。

僕は目前に起きたたった数十秒の事に理解が追いつかなくなりながら騎士を見つめる。

『流れ石』、半連邦ゲリラ。白い騎士。


「なにしてるの。」


騎士の頭部にあるハッチが開く。厳重に密封されたハッチが開く空気の音が鳴り、パイロットが中から立ち上がってヘルメットを外す。その姿はとても


「来て。」


綺麗な少女だった。


これは恋をした少年の物語。燃えたぎる感情と惑星(ほし)の物語。星に選ばれた少年少女たちの


"世界を変える物語"

授業中に書きました。気が向いたら続き書きます。

なんちゃら詩篇なんちゃらセブンみたいな雰囲気になったらすごく楽しいと思います。

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