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悪役ではない...けど、コレはどう考えてもおかしい。  作者: マタタビ師匠
第2章幼少期・下地作り編
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第4話:攻略対象その5との邂逅

ほかのと比べてちょっと長め?

サブタイトルの表記を改めました

色んな事があってはや4年、晴れて6歳となりまして、桜花学園初等部に入学し、長年の鍛錬(しごき)のお陰で...かるーく暗殺くらいならできるようになりました。

流石に力じゃどうもならないので、不意打ち狙いでしばらくは隠形を鍛えて、今では気配を消すのもお手の物となりつつある。


が、ここで両親がまさかの話題をふってきた。というのも、母の実家は闇堂家の分家だったのである。そして本家の坊っちゃん、言わずとしれた攻略対象の1人である彼が、来年度より桜花学園初等部にご入学遊ばされるらしく、1つ年上とはいえ、他に歳が近い者が私しかいなかったそうで、表向きは話し相手として、そばに置かれる事になった。

まぁ、所謂(いわゆる)護衛としてお世話係もやりますよ〜という役割だ。私は設定として暗躍キャラなので、攻略対象と関わってもそこまで問題はないのだけど、やっぱり緊張はする。


___そして今日、顔合わせという運びになった訳ですが、今まで母がしてくれていた隠蔽は、私の並々ならぬ努力によって偽装が完成したことにより、お役御免となった。それによって完成した私は、どこからどう見ても黒髪黒目で、闇堂家の親戚っぽさを出している。私の本来の色彩は、両親しか知らない。私が、3歳頃生まれた弟は、その頃には隠蔽が掛けられていたため、私のことを黒髪で黒目だと思っている。



そんな回想をしていたら、どうやら闇堂本家に到着したみたいです。立派な門を潜って(さり気に門を登録)玄関に入ると、侍女さん(!?)が出迎えてくれた。案内された客間には、ご当主と子息が待機していてビビったけど、気合を入れて微笑みながら挨拶する。

「ご当主さま、子息さま、お初にお目にかかります。朝日奈 夕ともうします」

決まった。謎の達成感。

「初めまして、夕ちゃん、これから息子の幸成(ゆきなり)をよろしく頼む」

予想外にフレンドリーなご当主様だけど、若干腹黒そうな人だと直感的に感じた。

それに対し幸成少年は

「はじめまして、ゆうおねぇさん。これから、よろしくおねがいします」

ピシァァアン!と雷に撃たれた気がした。5歳児が、真面目に挨拶するなど、健気さが半端ではなかった。というか、幸成少年はこの頃から真面目キャラなのか、と衝撃を受けながらも

「これからよろしくおねがいします」

お母様の教育の賜物で反射的に返すことが出来たが、私にはある疑惑が浮かんだ。

「夕姉様とよんでもいいですか?」

こてり、と首をかしげながら聞いてくるその姿に、コイツは天然(..)だ!と確信した。

「は、はいっ、ええっと、ご当主様、よろしいんでしょうか?」

「いいと思うよ?本人が言い出したんだから、好きにするといい」

おおう、いいんだ。とまたしても衝撃を受けていると

「できれば、僕のことはなまえでよんでほしいです。」

キラキラした目にうっ、となりながらチラリとご当主様を伺ってみると、ナゼか腹黒い笑みでニコニコしながら頷いている。 いいんだろうか…うん、いいということにしましょう。

「では、これからは幸成様と呼べばよろしいのでしょうか?」

「いや、幸成(ほんにん)は、もう少しフレンドリーに接してほしいみたいだから、君には確か弟が居たね?そんな感じで接してほしい。」

ご当主様...ええいままよッ

ご子息様の前に行き、目線を合わせる。

「じゃあ、これから幸くんって呼んでもいい?」

そういうなり、飛びついてきて少しバランスを崩したけど、日頃の鍛錬(シゴキ)のおかげで一歩下がるに留める。

「嬉しいです...夕ねぇさま...」

私の心のHPがゴスっとえぐれた。クリティカルヒット...負けた。ウソだろ?なんだこの可愛さ...我が実弟に迫る可愛さ...だと!?おっといかん、手が勝手に頭を撫で始めた。


「__まぁこれだけ懐いているようだし、これからもよろしく頼むよ?夕ちゃん」

「っはッ、はいっ、こちらこそよろしくおねがいします!」

ヤベエ、心が洗われた...と思ってほのぼのしてたらバッチリご当主様に見られてた、しかもご当主様何気にクスクス笑ってたし! ...うゎぁあ...

我慢、我慢だ夕!抑えるのだッ

「じゃあ今日はこれから時間があるから、2人で仲を深めるといい。私はこれから仕事が入っているから、何かあったら第二秘書を置いていくからそちらに言いなさい」

それだけ言い残して出ていくご当主...

今は昼の3時頃、帰るには2時間ほどあるから...と考えていると声がかかる

「夕姉様、僕の部屋にきませんか?おはなししたい事がいっぱいあるのです!」

「お部屋に行ってもいいの?じゃあお邪魔するね?」

「はい!夕姉様ならいつでも来ていいのです!」

「じゃあ、案内してくれる?」

「はいっ、こっちですよ!」

手を繋いで歩く間、私はこの少年、幸成について考えていた。

『こんなキャラだっけ?』

と。幼いからとはいえ、彼は静かな一匹狼のようなキャラだった。周りとなじまず、秀才でもあった彼はゲームの中では遠巻きにされていた。でも今の彼を見る限りそんな感じは全くない、どういう事だろう?

と考えている間に着いたようだ

「夕姉様着きました、ここが僕の部屋です」

案内されたのはベッドと勉強机、本棚とカーペットが敷かれただけのさっぱりした部屋だった。机に向かって黙々と勉強する幸成少年が見えた気がした。

「へぇーちょっとだけ私の部屋と似てるかも...」

「そうなんですか?姉様もお勉強をよくするんですか?」

「うん、私は趣味で精霊様の事を調べたりしてるから、本棚は割とそんな感じのが多いよ、あとは、そうだなー、うちは警備会社でしょう?だからかは知らないけれど、道具を使った護身術とかもあってね?その道具が置いてあったりするよ?」

「そ、そうなんですか?行ってみてみたい気もします...」

「ご当主様に聞けばもしかしたら許可をくださるかもしれないけど、まずは置いといて、何か聞きたいこととかある?」

「そう...ですね、じゃあ精霊について聞いてもいいですか?」

「もちろん良いよ、どこから聞きたい?」

「じゃあ最初からお願いしていいですか?精霊については、まだ勉強したことがあまり無いので...」

「分かった。じゃあ、この世界には、火・水・風・光・闇・無の精霊がいるのは知ってるよね?」

「その当たりは常識ですから」

「うん、じゃあその各精霊が最上位の精霊王、上位、中位、下位の精霊に分かれているのは知っている?」

「いえ、ただ僕らの闇堂家は闇の精霊の加護があるとしか知りません」

「そうなの、じゃあどの闇の精霊かは聞いてないの?」

「そうなります」

「そっか、あのね?闇堂という一族は、闇の精霊王から永久の加護が約束された一族なの」

「そうなんですか?」

「うん、他の精霊王も、それぞれ加護を与えた一族があるの、どこか分かる?」

「火累、水瀬、風雅、光峰ですよね?」

「そう、このうち火累、水瀬、風雅は私と同じ年のご子息がいらっしゃる家で、光峰は幸くんの一つ下に当たるご子息がいるの」

これは攻略対象ですね

「では、無はどこの一族に加護を与えたのですか?」

これがゲームの重要なキーだった。

「それは分かっていないの」

いや、正確にはヒロインの高等部編入の際明らかになるのだが

「そうなんですか?」

「うん、無の精霊の力は他の精霊の力と違って精霊の力を増幅する、と言われているの。だから見つけたのなら各家がこぞって囲いこもうとするでしょうけど、まだどの一族からもそんな話は聞いたことがないから、見つかっていないの。」

「そうだったんですね...」

ちなみに私は鍵守の性質上、どの精霊とも親和性が高いけど、一応闇の精霊と親和性があることになっている。

「姉様は、何か精霊に関して出来ることがあるんですか?」

「もちろんあるよ?一応今回の件では先生役も頼まれているから、期待してくれてもいいよ」

「そうなんですか!?」

「うん、私が精霊のことを熱心に調べていた、というのも今回呼ばれた要因の一つでもあるからね、」

「姉様が、先生役...ご迷惑ではないですか?」

「ううん、そんなことないよ、私...そんなに友達とか...いないから...」

「そ、そうなんですか、」

妙な雰囲気になってしまった

「ま、まぁそういう事だから、分からないこととかは、どんどん聞いてね!」

「分かりました、そういうことなら...。そういえば姉様、姉様は桜花学園に通ってらっしゃるんですよね?」

「そうだよ?」

ちょっとあがり症で気配をだいぶ消しているから、学園では、ああ、いたの。程度の認識だけどね、

「では、学園について教えてくださいませんか?」

「もちろん。来年度から通うんだもの、やっぱり気になる?」

「はい、...(だって姉様も通ってるからね)」

「何か言った?」

「いえ」

「そう...?じゃあ、大まかに説明するね、桜花学園は、小・中・高一貫のすごく大きな学園、これは知ってるよね?」

「はい」

「なら、進学校ってことは?」

「知りませんてでした」

「ならそのへんを説明するね、小・中はそんなことないんだけど、高等部になると、外部から受験して来る人たちがいるの。その人たちっていうのが、一芸、多くはお勉強に秀でる人達で、その影響もあってか、高等部からは途端に難しい内容になるらしいの」

そこで入って来るのがヒロインちゃんという事だ。

「そうなんですか、じゃあ一貫だからといってそれに甘えたマネは出来ないんですね...」

「そういうこと」

返事を返しながらも、私は感心するばかりだ。だってこの子はまだ5歳。私みたいななんちゃって6歳児とは訳が違うというのに、話題についてくるどころか、話の先まで読んでくる。


と、もうそろそろ時間だ。

「幸くん、そろそろ迎えの時間だから続きはまた今度ね」

「もうそんな時間ですか...、」

寂しげな顔になる幸くんに、ちょっとクるものがあるけど、ここは堪えて「大丈夫、またすぐ会えるから」と言いおいて例の第二秘書さんに、帰宅の旨を告げる。


「次は、いつ来てくれますか?」

「ふふ、そんな心配しなくても、実は明日も来るんだよ!」

ちょっとだけいたずらっぽくいえば、うつむけていた顔をガバッと上げて信じられないものを見るような顔をする

「...ほ、本当に...明日も?」

「来るって言ってます。」

段々と嬉しそうな、泣きそうな顔になっていく幸くんを正面から抱きしめる

「約束...ですよ?夕姉様、本当の本当ですからね?」

「うん、約束。また明日会おうね、絶対来るから」

ぎゅっと回した手に力を入れると、おずおずと手を回して、ゆっくり抱き返され、ほうっと息をついた。




帰りの車の中、私はひとりで悶えていた。

「私は、ショタコンではないハズっ、、ううぁー

セリフが、セリフがくさいよぉ〜!」

パタリと座席に伏せてつぶやく

「約束は、守るよ。」



次回、番外編

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