表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役ではない...けど、コレはどう考えてもおかしい。  作者: マタタビ師匠
第2章幼少期・下地作り編
6/36

第2話:対の相棒(?)

ふよふよと浮いている刀を前に、私は完全に停止していた。


「なんか出た」


唖然としながら刀を改めて眺めてみる。

全体的には白い。兜金(かぶとがね)から柄覆輪(つかふくりん)覆輪(ふくりん)(こじり)は金、(つか)に付いた目貫(めぬき)は、八重桜を模していて、私好みではあるが、如何せん私は2歳児。身長と同じくらいの大きさの刀など扱えない。しかし、


「いちおう、もってみよう。持つだけ持つだけ」

そこは置いといて、興味がないでは無いので、もってみることにしたのだが


『軽い...?』

これだけの大きさにも関わらず、普通に持ててしまった。その気になれば片手で振り回せそうな程、印象も、軽いというより、扱いやすい重さと言った感じ。どうなっているのか分からなかったので、事情を知ってそうなケサランパサラン(精霊)に聞いてみようとしたとき、頭に直接聞こえるような声が聞こえた。


___......聞こえているか?_新たな鍵守__

「え?どこから?」

キョロキョロと見回すが、当然何もいない

___聞こえているなら、現れた武器(ソレ)を地面に突き立てるといい。__

「どういう?...まあ、指示には従いましょう。」

__早くした方がいい。

「そうですかッ」


混乱してちょっとだけヤケ気味に勢いよく刀を地面に突き立てる、と、地面に突き立てた部分から波紋が広がり、1メートルほどに広がったとき、とぷん、と私は沈んだ。

相当混乱していたのか、固まっていた私はなす術なく吸い込まれた。














『そろそろ起きてもいいと思うのだが、』

「ッはっ?!」

起きたそこは真っ白な空間だった。

『ほうほう、ここに来た鍵守の中では一等幼(いっとうおさな)いようだ。』

はっと目が覚めると、そこには黒いガーデンテーブルと白と黒のガーデンチェア、黒いガーデンチェアには、対比するように私とそっくりな男の子が座っていた。私はいつの間にか白い方のガーデンチェアに座っていたようで、自然と目の前に座る男の子と目が合った。


「あなたは、誰?」

『誰、か。我等はこの空間を管理し、記録を取り、()ぎの鍵守を、ここの守護者と成らせんがために存在する者』

「どういうこと?」

『我等は初代の鍵守の頃より存在し、彼等彼女等が役目を継ぎ、役目を終えるまで寄り添い、歴代の鍵守達の辿った道のりを記録し、次代の鍵守がその力に目覚めた時、ここに呼び寄せ教え、導いてきた。』

「私にそっくりなのはどうして?」

『我等は鍵守がその力に目覚めた時、鍵守と対の姿を取る。』

「我等ってどういう意味?」

『記録はあるが、歴代と共にあったものとは、我と似て非なるもの。故に一個体としての《我》ではなく《我等》というのが相応しいのだ』

「そういうこと...分かった。ということは、これからはあなたが先生役をしてくれるの?」

『大まかには相違(そうい)ない。』

「あなたの名前はなんというの?」

『歴代は各々、対に名前を与えていた。』

「私が、あなたに名前をつけるのね?」

『そうなる。』


最初は驚いたけど、どうやら彼は私のサポートをしてけれる存在のようだ。それにほとんど表情がないけれど、名前と聞いた時少しだけ嬉しそうな雰囲気になっていた。責任重大だ、でも、実は一目見た時からイメージは固まっていたのだ。


「じゃあ、あなたは『夕凪(ゆうなぎ)』。私はあなたと出会った時、どこかホッとする気持ちになれた。だからあなたは夕凪。」

『夕凪、夕凪、うむ、いい名前のようだ。対の感情を込めた名前は、なかなかに力がこもっている。』

どういうこと?

『歴代の中にはその場のノリとういうやつでつける者もいたが、力のある名前を持つものと持たないものでは、大分扱える事柄に幅があるようなのだ。特に感情がこもった名前は力を持つ』

ほえー、そんなことがあるんだー

と感心していたが、

『要するに、技術・武術その他もろもろ最大限に詰め込むことが出来るという事だ。』

ビキッとアホヅラのまま固まった私は悪くないはず。だって今まで無表情だったのに、いきなり意地悪そうに、ニヤニヤ笑い始めたのだから。ダラダラと止まらない脂汗と徐々にひきつる私の顔。対照的に凶悪なイイ笑顔を浮かべる夕凪は、とても、とても(たの)しそうだった...






とぷん、と白い空間...夕凪曰く『白領(はくりょう)』と言うらしい...から、行った時と同じように帰ってきた時、私は詰め込まれた情報の多さに真顔になっていた。


午後の稽古を終わらせたあと、今日1日の濃ゆさに疲れきった私は、お風呂や夕食を済ませると早々に寝てしまった。




ゲームの中とは、ここから少しずつズレていきます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ