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悪役ではない...けど、コレはどう考えてもおかしい。  作者: マタタビ師匠
第3章 始動編
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第24話:夏休みの『魔』物VII

出発した私たちは、幸くんの探査で発見した魔を狩りつつ三十分程で市街地と森林地帯を分断するバリケードにたどり着いた。バリケードはまず2m程の高さの金網の上に有刺鉄線が設置されたものの内側にコンクリートで作られた5mを超える壁のあるかなり重厚なものだ。上部には歩哨も立てられている。



「とりあえず、ここから北上しましょう。」

「しかし、魔の数が少し多かったのが気になるが、前の討伐が二年前だからか?」

「かもしれませんが、何かあるならそれも視野に入れて探査せねばなりませんね...」


幸くんと充さんが話しているのを背後に、私はあるものから目が離せないでいた


「姉様?何かありましたか?」

「お嬢、どうかしたのか?」


「うん、あのね?言いにくいんだけど...」


スッとソレ(・・)に向かって指を指す



そこには()がいた。バリケードの外側(・・)に。10歳前後の白髪で着物を着た少年(?)が木立の間からこちらをぼんやりとした目で見ていた


幸くんと充さんも気がついて固まった。


端的に言うと有り得ない、人がバリケードの外にいるなど。ましてやもう夏の日没の後だ、時間はかなり遅いそれに着物。しかし、それを置いてもその少年(?)はある意味異様だった。


頭からぴょこりと 生えた(・・・)フサフサの耳───


「……ケモミミ...だと……?!」


充さんが一番イイ反応だった。


幸くんは黙り込み、私は手がさっきからワキワキしてる。


よく見れば少年(?)からは耳だけでなく尻尾も生えているようだ。興味を示してかユラリユラリと揺れるしぐさがホンモノですと訴えている。


「チッチッチッ」

「姉様、それはちょっとどうかと思います」


幸くんの冷静なツッコミが入ったけど予想に反して少年(?)はフラフラおぼつかない足取りで寄ってきた。その少年(?)が近くに来たところで抱き上げてみた。


「姉様、どうなさるつもりですか」

「一応保護、と言いたいけど...」


抱き上げて改めてその異様な風貌を近くで見る。


白い髪は後ろは短いものの、顔の両脇部分は胸の上あたりまでありそうな長さ。そして印象的なのは大きな金色と蒼色のオッドアイ。右側が蒼色で左が金色だ。そして髪と同様真っ白な獣耳は時たまピコピコ動いている。白い尻尾の毛はサラサラしていて、とてもモフりがいのある...コホン。

手触りがいい。着ているものは銀色の着流しで、上から紺色の羽織をはおっていた。けど、足だけは何故かレトロな白と黒のブーツを履いていて、そこだけ洋風だった。


一瞬私の封印した自前の容姿が浮かんだけど、頭を振ってその映像を追い出した。


ここまであまりに反応が無かったので不思議になって顔をのぞき込むと、私の上着を握って寝ていた



「...」

「どうしようか」

「...俺、一応当主様に連絡入れるわ...」

「「オネガイシマス」」


まともな意見だったので年長者に一任する

無線を取り出すと連絡を取り始めたのを見守る



「──はい、了解です。オーバー」

「どうって?」

「尾鈴山に着いたら詳しく説明を、だとよ」

「連れてこいって事だよね...」

「ですね...」


「誰が背負う?」

「私が。...それに離してくれそうにないし...」

「しっかり掴んでますね」

「懐かれてんのか?」

「知りませんよ」


ガッツリ掴まれているので離すのは面倒だ


「ならとりあえず進むぞ。まだ予定の範囲を終えていない。」

「なら早めに今日の範囲終わらして拠点(ベース)を作ってからあとは考えよう。」

「分かりました。姉様、重かったら僕が代わりますからね」

「りょーかい」


抱き抱えた少年(?)を非常用で持ってきていたロープで固定してまた進み始める。


後方に下がって充さんと幸くんが魔を倒したあとをついていく形で進む。魔と遭遇する確率がやけに増えた気がしたけど、とりあえず今日の範囲を終了させるべくペースを上げて進んだ。



少年(?)が起きたのは小川の近くに拠点(ベース)を作ってしばらくしてからだった。



次回、森の少年I

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