第13話:パーティー当日その2、飛行石のペンダントが欲しいと思いました
パーティー会場は、水瀬家が開催するにふさわしい、体育館並の大きさのホールを擁する会場に入ると
「おばあ様への挨拶はホールに入ったらすぐですが、大丈夫ですか?」
な訳ねーだろ
とは言えないので
「大丈夫ですよ」
というか、廊下の随所にウチの警備員が立っていて大体が顔見知りだから自分の目が死んでる気がする
当主様方によれば
「母上は厳しい人と言われるけど、それは本当に礼儀のない人限定だから、夕ちゃんなら大丈夫じゃないかな」
「そうですよ私も良くしていただきましたから、それはよく分かります」
ということらしい。
そんな会話をするうち、ホールの扉の前につく。扉の前にはドアマンが立っていて、招待状を渡すとインカムで何かを伝える。なんぞや、と思っていると
『水瀬家当主ご夫妻、並びにご子息、朝日奈家ご令嬢』
アナウンスが流れて扉の向こうがざわめくのを感じて慌ててお母さん直伝の微笑みを貼り付ける。扉が開くと向こう側の照明で一瞬目が眩んだけれど、隣に立つ穹サンのエスコートで進みでる。
途端、ざわめいていた会場が静まり返った。まるでモーゼの如くザッと人垣がわれ、前当主夫妻が居るであろう場所まで一直線の道ができた。
早速微笑みが引き攣りそうになったが、何とか堪えて進む。途中で有象無象の視線が私に突き刺さったけれど、さも気にしていない風を装って前を向いていると、一際面白そうな視線に気づいたが、素知らぬ顔で通り過ぎる。
前当主夫妻の前について早速現当主夫妻の挨拶が始まった。
「母上、お誕生日おめでとうございます。父上はお久し振りです。」
「お義母さま、お誕生日おめでとうございます、お義父さまふた月ぶりでございますね、お変わりないようで何よりです」
「2人ともありがとう、嬉しいわ」
「久しいな、2人とも。ところで後ろのお嬢さんが噂の朝日奈家ご令嬢かな?」
おお、ついにラスボスとの戦い(※違います)ですね!
「おじい様、お久し振りです。おばあ様、お誕生日おめでとうございます、紹介しますね、学園では同じクラスに所属している縁で招待しました、朝日奈家ご令嬢です。」
「前当主夫人、お誕生日おめでとうございます。朝日奈 夕と申します招待いただき、ありがとうございました。」
「あら、これはご丁寧にありがとう。孫が誕生日パーティーにこんな美人さんを連れてくるだなんて嬉しいわ、ゆっくりしていらしてね」
「はい、また後ほど伺いたく思います」
「楽しみにしているわ」
第一関門クリアですよ、後は招待客の挨拶が終わったあとにちょっと会話っぽいことをすれば任務終了ですよ奥さん(←誰だよ)
離れたテーブルの近くまで移動して、ほう、と息をつく。
「お疲れ様でした、中々様になった挨拶でしたよ夕さん、この調子で後のおばあ様やおじい様からの質問を乗り越えたら完璧ですね」
「ありがとうございます、そういえばまだ水瀬家の縁者の方しかいらっしゃらないのですね」
純粋に疑問に思って聞いてみる
ああ、と間を置いて説明してくれた
なんでも、水瀬の縁者だけで相当いるので、始まってから間を置いて順次ほかの招待客を案内するのだとか。その方が色々スムーズに済むらしい。
なるほど、と納得していた時それはやってきた
『火累家ご当主夫妻、並びにご子息、分家より火雀家ご令嬢』
『風雅家ご当主夫妻、並びにご子息両名』
___一瞬心臓が止まったかと錯覚した。
それほどの驚愕だった
次回、パーティー当日その3、
やべえ超逃げたい