閑話:攻略対象その2の思惑
水瀬サンの一人称
僕→私 に変更します。
何か書いてて合わねーな、と思って変えました。他は特に話の内容に変更点はないです
side:S
私は、水瀬家の一員として、どうしても解せない事がありました。
それというのも、同級生である朝日奈 夕さんの事です。
彼女とは、初等部の頃から実を言うとクラスがずっと一緒でした。
しかし、不思議な事に彼女とは高等部に入るまで1度として会話したことがありませんでした。
その事に気づいたこと自体が最近で、気づいた時は愕然としました。
生徒会に所属する都合で、生徒名簿を閲覧する機会があったからこそ気がつけたというのもありましたが、それにしても不自然でした。
だって有り得ないでしょう?9年です。その間 只の1度も会話することがなかっただなんて、クラスが同じである以上、不可能に近いことです。
だからこそ興味が湧きました。
そうして意識して観察していると、大変に不可解なことにも気が付きました。
私は、水瀬家に生まれたため水と大変相性が良いのですが、加護を受けた血筋の影響なのかは定かではありませんが、他人の力の循環までを知覚することが出来ます。
そうすると彼女、朝日奈 夕さんは、どこかおかしかったのです。
確かに表層は彼女の血筋を物語るように闇と親和性が高いかのように思われますが、そのうち側は全くと言っていい程、これといって親和性の低いものが無い、正直に言って異常でした。
まるで体全体に仮面を被っているような、そんな印象でした。わかり易く言い換えたなら、テーマパークにいる着ぐるみを被った人、でしょうか。
___面白い、
そう、思いました。
そしてそんなことを思った自分に驚愕を覚えました。
私は、元来『女』という摩訶不思議な生物に、興味を抱くような思考回路を持っていなかったはずでしたから。
女何てイキモノは、只ルックスと私の持つ『水瀬』という特大の付加価値をチラつかせればまるで砂糖に群がる蟻のような反応しか見せない、一顧だにする価値すらないモノでしかありませんでした。
だと言うのに、何故か彼女にそういう感情を向けた事がないのに今更ながら気が付きました。
気づいてからは、自然と彼女の事を目で追うようになりました。生徒会に所属していて話しかける機会があったのも僥倖でした。それをダシに彼女に個人的に話しかけるまでに至ったのですから。
そして転機は突然訪れました。
私の祖母の誕生日パーティーです。
私の両親や親族は、以前から私が女性へと向ける感情に気がついていてその事に気を揉んでいたのでしょう。祖母はそのパーティーに女性同伴で、と課題を出してきたのです。
最初に思いつくのはもちろん彼女の事。そして、適当な女を選んだ場合のデメリット。正直適当な女を選んだ場合のデメリットは無視出来ないものでした。
彼女に自分を意識させようという打算がなかったとは言いませんが自分にとって都合がいいのも事実だったため、断る選択肢を無くすのには正直骨が折れました。
違和感なく、彼女にそれと悟らせることの無いよう慎重に事を運びました。彼女の実家の家業が警備会社だったのは、大変都合が良かったです。外堀から順番に埋め立て、ようやく彼女に直接お願いをし終わった時の達成感は、実に心地よかったです。
ああ、今から実に楽しみです。
次回、パーティー当日その1