第8話:生徒会のアイツ
桜花学園の生徒会とは、ぶっちゃけ信任投票だ。中等部で生徒会役員が選出されたなら、よっぽどの問題がない限り高等部でも生徒会役員となる。
で、今年の役員はそのまんま攻略対象。不信任票なぞ一票も無かった。私ももちろん空気を読んで信任票です。無闇に目立つ真似なんかしませんとも。
ただ、一口に生徒会と言っても、6人だけで運営ができるわけはなく、他にも下部組織として、委員会がある。またそれも風紀、保健、図書、環境と分かれる。なんの委員会にも入らないのは勿体ないのて私は図書委員になった。
のだが、桜花学園はマンモス校、一学年6つもあるクラスの中、図書委員は一学年3人となるので、必然的に生徒会の役員から書類を渡される人は近いクラスの人か、同じクラスの人間に限られてくる。となると困るのは私だ。例の締めるのが得意な水瀬さんとちょいちょい話すようになる。
ある日の一幕、
「朝日奈さん、少しいいですか」
「はい、何でしょう?」
「図書副委員長にこの用紙に記入の上、生徒会室に提出するように一言頼んで頂いていいでしょうか」
「構いません」
ある日は
「朝日奈さん、少しいいですか」
「はい、何でしょう?」
「個人的な事なのですが、○○○という本は置いてありますか?」
「ありますよ、ただ、貸出中なので、3日後なら返却されていますが」
「ありがとうございます、ああ、そうでした
この後生徒会室に来ていただいていいですか?書類が図書委員関連でいくつか来ていたので、受け取りを。」
「...分かりました」
ある日は
「朝日奈さん、少しいいですか」
「...はい、何でしょう?」
「朝日奈さんのご実家は確か警備会社で宜しかったですか?」
「...?はい、そうですが、何か?」
「いえ、少し小耳に挟んだので、ちょっと気になりまして聞いてみただけです」
「はあ、そうですか」
...何なの?最初はまだいい。最初はね、その後からだんだん気安くなってない?最後とか完璧に個人的な話だし...まてよ?
気づいたことがある。
このクラスで一番会話するの
コイツかもしれない
......い、嫌だぁぁあああ!こんな現実知りたくなかったぁぁあああ!知りたくなったよぉ!
___机に突っ伏して悶えていた私は、ちらりとこっちを見ていた視線に気づくことは無かった。