第2話 異世界入門
「ま、マジか。ということは異世界チートで俺TUEEEEか!」
「まって、そもそもここどこ?どうやったら帰れるの?」
「…」
早速、明は異世界&勇者という言葉から興奮気味、咲は普通にパニック、陽子は何やら考え込んでいるようだ。
「まった!とりあえず、そこの人!特別な力っていうのはどんなもので、どの程度のものなんだ?それと、元の場所への戻り方は?」
零はここぞのリーダーシップを発揮して、さっきから話している偉そうな人に詰問する。
「そこの人か。儂はこの国の国王である、アデル・メギス・フェルグランド・キングじゃ。能力の種類や程度は個々人によって大きな差がある。帰還の方法は我々に知りうる限りでは見つかっておらぬ。」
王様か、となるとここは王宮?または王城の中だろうか、確かにクラスメイト40人、王様とその脇に控える文官風と騎士風の男、そのさらに横にそれぞれ文官風も騎士風の人達が数十人近くいるが、まだまだ広さには余裕があるし、部屋の端に垂れている真っ赤なカーテンの様なものもとても高そうだ。
「そんなの横暴じゃない!」
「俺たちを元の場所に戻せよ!」
「うぅ、帰りたい、、、、、、」
はやくも、クラスメイト達は怒鳴る者、泣き出す者が出てきて収集がつかなくなってきている。
「静まれぃ!!国王の前にて無礼であるぞ!!」
最初から王の傍に控えていた2人のうち騎士風の男が叫んだ。
「よい、好きに言えばよい。」
騎士と王の言葉によって場は水を打ったように静かになる。
「…王様、突然俺たちを呼んで、どうしようと思われているのですか?」
多少口調が変になりつつも零が的確な質問を投げかける。
「先にも言った通り、我が国を救うためにエルフとの戦争に協力してもらう。バルク、国の現状の説明を」
「はっ!現状我が国は急激な人口の増加による家、砦の建築、食物の不足等により、人手が足りず、労働力、及び技術力の確保が急がれております。これ以上の詳細は後の座学にて説明します。」
バルクと呼ばれた、王の傍に控えていたもう1人の文官のような人が説明をした。
「なる、、ほど、、、とりあえず状況はなんとなく分かりました。それで、貴方がたは俺たちに何を望んでいるのですか?労働力や異世界の知識ですか?」
「なかなか頭の回る者よの。確かに勇者のステータスによる労働力は魅力的だが、それよりも、労働者を増やす方に働いてもらう。まぁ、異世界の知識についてはおいおい聞くとしよう。」
何故か労働者の増やし方については不自然に説明を逸らしたようだが、隣にいる騎士の目がその質問は許されないと告げている。
「やっぱりここにもステータスがあるのか!」
ステータスというキーワードに再び明が食いつく。
「おい、それは今聞かなくても──」
「よい、それは今から説明しよう」
零が止めようとしたが上手く話を逸らされた。
「まず、お前達のステータスを確認する方法はいくつかある。一つ目は信頼できる鑑定スキル所有者に鑑定してもらう。二つ目は教会のクリスタルを利用する。三つ目は鑑定紙を利用する。大体はこのくらいだ。今回は身分証の代わりにもなる鑑定紙で行う。」
「それでは、皆さん3列に並び、素手でこちらの紙に触れてください。」騎士風の男がそういうと同時に、数人の侍女っぽい人達が部屋に入ってくる。
そして、前の方に居たクラスメイト達から順に、素早く鑑定を済ませて行く。
「それではここでの話はこれまでとする。メリウス、勇者達を各部屋に案内してさしあげろ」
「はっ!」
騎士風の男がそれに応じるが、部屋にかかっていたカーテンの袖から出てきた侍女が、クラスメイト達を4人ずつ部屋へと連れていく。当然、近くにいた明と零はもちろん、運良く咲と陽子も同じ部屋に案内された。
「四人部屋だから合宿所みたいなのを想像してましたけど、思ったより広くて、ベッドもふかふかみたいですね。」
急に連れてこられたことにショックを受けたらしい咲をベッドに寝かせ、眠ったのを確認すると、陽子は部屋を見てそんなことを呟く
「てか、俺の鑑定紙、見せてもらえなかったな。」
「俺もだよ、明。恐らく、国の方でも厳重に把握しておきたいんだろうな。」
「え、それってなんだか危ない雰囲気って事ですか?話してる時も所々に不自然な所がありましたし、、、なにより、戦争って事は危ないし、、その、殺める事もあるって事ですよね。」
陽子が不安そうに尋ねる。
「まぁ、国の命運をかけてるんだろうから、その相手の強さを見極めたいってのはあるだろうな。自分達の情報が相手にだけ見えるっていうのは抵抗あるけどな、、、」
「エルフと言ったら魔術だよなー。まぁ、転生された俺らはみんな強いみたいだし、大丈夫だろ。俺のはどんなチートなんだろーなぁ、成長力の強いやつかな、それともバーサークだろうか、、、」
明は自分に与えられた力について考え込み始めたようでぶつぶつ言っている、
「明、なんかこっちに来てから変じゃないか?」
「そうか?まぁ、異世界転移といえばチートだし、小説とりあえずで読んでるから不安も少ないし、むしろワクワクしてるけどな。」
「ま、まぁ、程々にな。」
そのあと3人は取り留めのない話をしたあとベッドに入ったが、実は起きていた咲も含め、みんなそれぞれの思うことや考えることがあり、あまりよく眠れなかった。