表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウィザードアドバンス  作者: イザヨイ
7/11

7話 宝求めて

情報収集を兼ねて遺跡へ宝探しをしていたハルトとグレン。

しかし、遺跡には何者かに食われたような魔物の死体ぐらいしか見かけなかった。

奥の部屋に宝箱と思われる箱を見つけるが、なんと突然動き出し牙を生やして二人に襲いかかってきた。

「…こいつ、なんなの?しゃべったけど魔物…?」

先ほど箱がしゃべったことが、いまだ信じられないハルトはつぶやく

「おいおい、俺様をその辺の魔物と一緒だと思っちゃ困るな…!俺はこれでも他のと格が違うからな!!」

ハルトの声に反応して大声で返す、箱の魔物。

「大声でよくしゃべるやつだな、こいつ…。とりあえず風の魔導書で…!」

光の魔導書を風の魔導書にしまっているポケットにしまって、すぐに持ち変える

「切り裂け!エアブレイド!!」

そこから風の魔法、エアブレイドを放つ

しかし、魔物は飛び回ってかわしていく。

「こんなの余裕で避けられるぞ!ほら、さっさと何とかしないと今度こそ噛まれちまうぞ!!」

そう言いながらハルトのもとへ迫ってくる

「え、ちょっと…来るな!ウィンドエッジ!」

徐々に近づいてくるのに、危機感を感じて何とかして攻撃を当てようとする。

焦って攻撃しているせいで狙いがうまく定まらず、外してしまっている

「ビビってんのかよ!?もうすぐ噛みつける距離まで近づいてるぞー!」

先ほど噛みつかれそうになったことが原因で、恐怖しているハルト。それを嘲笑い、より恐怖を煽ろうと箱がしゃべる

「来るな!来るなって!!」

「おいハルト!しっかりしろ!!」

グレンが声をかけるが耳に入らずにおびえてしまっている。

これまで相手にしてきた強力な魔物は、どれも巨大で動きがあまり早くなかったおかげで、魔法を当てることが簡単にあてることができたのでそれほど苦戦しなかった。

しかし、今相手にしている箱の魔物はあまり大きくなくて素早いせいで、思うように当てれず苦戦してしまう。

ついに、魔物がハルトの目の前まで迫る。

「やめろ…、来るな!…来るなって!」

途中で見かけた魔物の死体のようになるんじゃないかと想像してしまい余計パニックになるハルト。思わず腰を抜かしてしまう。

「それじゃ、腕一本丸ごとガブッといこうか!」

「うわあああああああああああ!!」

大声で悲鳴を上げるハルト。しかし体は完全に動けなかった

「っ…!ハルトー!!」

グレンが急いで駆け寄る。

しかし、箱はハルトの腕に噛みつこうと飛び掛かっている。

「間に合え…!」

そう言ってグレンは腕をハルトの前へと伸ばす。

そして、ハルトに噛みつこうとした箱はその前をにあるグレンの腕を噛みついた。

「…げ、硬ぇ」

箱が小さくつぶやき、吐き出すようにすぐにグレンの腕から離れる。

「…え、グレン?う、腕が…」

ハルトは目の前で起こったことに驚いて、グレンの顔と噛まれた腕を何度も交互に見る。

「…ぐ、大丈夫だ。これぐらい平気だ」

「そ、そんなこと言ったって!」

「しっかりしろ!!こんなとこでビビッてどうする!!元の世界に戻るんじゃなかったのか!」

グレンがハルトの両肩に手を置いて、目の前で怒鳴る。

「…」

「いい加減しっかりしろ!このままビビッて食い殺されたいか、あぁ!?」

言い終わった後、しばらく沈黙が続く

ハルトが顔をyっ栗とグレンの方へ向きなおし、口を開く

「…グレン、俺はこんなところで食われてしたくない。だ、だから…!」

ここまでずっと黙って見ていた魔物のほうに向きなおって、魔導書を持ち替える

そして、ページを開く

「爆ぜろ!『フレアブリット』!!」

ほとんど命令のような詠唱を叫び、本から火炎弾が放たれる

「おい!?この流れで攻撃すんのかよ!」

突然の攻撃に驚く魔物は、そのまま火炎弾に当たってしまった。

着弾すると火炎弾は爆発を起こすして、壁へ大きく吹き飛ばされる魔物。

そこからハルトは魔導書を持ち替える。今度は光の魔導書だった。

「照らせ!『フラッシュ』!!」

ライトの時よりも、強い光が当たりを照らしていく

「げぇ!?ま、眩しすぎる!ぐわぁあああああああ!!」

光を浴びた魔物は苦しんで断末魔の叫びを上げた

魔物の声が聞こえなくなるまで照らし続けて、何も聞こえなくなったら光を消した

「…はぁ、はぁ。…グレン、やったよ」

「ああ、よく頑張ったな」

そう言いながらハルトの肩を軽くたたく

「…あのさ、正直言ってあの魔物より、キレたグレンの方が怖かったんだけど」

「…そ、そうか」

「今は大丈夫だから」

「…なら、いいんだが」

「そ、そんなことより、結局お宝ってなかったのかな…。…今回は無駄足だったりして」

「…そうだな。結局魔物しかいなかったしな…」

何もなかったことにがっかりする二人

「…あー、まだ頭がボーっとする」

倒したと思った魔物が再びしゃべりだす

「お前…!?さっき倒したはずじゃ…」

「あの程度で簡単にやられねぇよ。と言っても思いっきり油断してあんな目にあったけどな」

「…この際だからあんたに聞くけど、ここにお宝とかってないの?」

「お宝?それだったら別の部屋にあるぞ」

「別の部屋…?そんなの途中で見なかったけど」

「…あー、仕掛けで閉まってるのか。開けてやるからついて来い」

魔物が飛び跳ねつつ部屋を出ていく

「ついて来いって言ってもな…。先程まで戦っていた相手だぞ。ハルト、どうする?」

「でも、ほかにあてがないし。とりあえずついて行ってみよう。また襲ってきたら倒せばいいんだし」

ハルトはそう言って魔物の後について行った

グレンも心配しつつもそのあとを追いかける

ある程度来た道を戻っていくと、突然魔物が止まる

「ここだ。ちょっと手を貸せ」

「えー、なんで」

「この体でどうやって仕掛け動かすんだよ」

「…動かし方知ってるんだよね」

「知ってるぞ。動かせねぇけど」

「…今頼れるのはあんただけだし言う通りにしてみるか」

「おい、ハルト!さすがに危険だ!!」

「もし、何かあったらまたグレンが助けてくれればいいじゃん」

「…はー、とりあえず気をつけろよ」

「…うん。それで、どうすればいいの?」

「ここら辺の壁で出っ張っているのを押せ。そうすれば開くはずだ」

「わかった。探してみる」

魔物の言うとおりに壁に出っ張っている部分を探して押してみる。すると、向かいの壁の一部が上に上がって道が開いた

「開いた!」

「…嘘ではなかったようだな」

「…今更嘘をつくか。奥にお前たちが捜してるお宝があるはずだ」

魔物の言葉を信じて新しくできた道を進んでいく。

奥の小部屋に両手で持つのが難しそうな程大きな宝箱が置かれていた

「…あれが。さてと、中身は…」

先ほどのように魔法で光を生み出し、中を照らして調べる

中には宝石や金貨が大量に入っていた

「こんなにたくさん…」

「でもこんなに箱が大きいと運ぶのが大変だな…」

宝を見つけて喜ぶも束の間、どうすればいいのか考える二人

「なら、俺に任せな」

魔物が突然言いだし、何かの魔法を発動する

魔物の姿が突然大きくなり、宝箱を飲み込めるほどの大きさになった

二人が驚いてるのを気にせず、そのまま宝箱を飲み込む

そして、再び魔法を発動し今度は手のひらに乗るるほどの大きさになった

「…あんな魔法ができるなんて、下手したらあっさり丸呑みされてただろうなー…」

あっという間に出来事に茫然とし、ハルトがつぶやく

「丸のみだと食ってる感じがしねぇから、やらねぇよ」

「…そ、そうなんだ」

「それより、これなら簡単に運べるだろ」

「…確かに。ていうか、いいの?こんなことしてもらって…」

「お前たちにやれたんだし、ホントに荷物入れになろうかって思ったから気にするな」

「そ、そう…」

あれ冗談のつもりで言ったんだけどな…、と心の中でハルトはつぶやく

「目的の宝は手に入ったから外に出ようか」

グレンがここから出ることを提案する

「…そうだね。それじゃ、ポケットに入れるけど…えっと、お前…名前なんて言うの?」

魔物の名前を呼ぼうとするがわからないので尋ねる

「名前?魔物にそんなものはねぇよ。好きに呼んでくれ」

「じゃあ、いっそここで付けてしまおうか。…えっと」

何て名前にしようかと考え始めるハルト

数分後、下を向いて考えていた状態から魔物へと視線を向き直す

「…えっと、お前の名前は『ギャスパー』ってことでいい?」

「ペットみたいな名前じゃないからいいぜ」

魔物の文句がなかったので、名前はギャスパーということになった

「中々面白い名前だが、どこから思いついたんだ?」

名前の由来が気になったグレンが質問する

「あー…えっと…、そういうの全然考えないで直感でー」

グレンが納得したようになるほど、とうなずく

だが実際の理由は…

(…元居た世界の漫画のキャラに似たような奴がいたから、そいつの名前とか言えるわけがない)

遺跡を後にして街に帰ろうとした途中、二人の前に狼の獣人が立ち塞がる

「お前らが手に入れたお宝…寄越してもらおうか!」

びしっという効果音が付きそうな勢いで指をさす狼獣人

「…いきなり出てきてなんなのこいつは」

「…さぁ」

小声でひそひそ話し合う

「おいお前ら!こっちを向け!!」

話し合っているのが気に障ったようで、短剣を取り出し構える

「…。まぁ、ちょっと待って。お宝欲しいんでしょ?今出すから…」

「おい、ハルト!?」

突然のハルトの発言に驚くグレン

「…大丈夫こっちに任せて」

ハルトが小声で耳打ちをする

「最初から素直に渡してくれるとわな。さっさと寄越しな」

「はいはい…。」

そういった後にギャスパーにこっそり指示を出す

「…ってことで、いい?」

「…ひひ、わかったよ」

ギャスパーを元のサイズにして、狼獣人に渡す

ギャスパーはただの宝箱の振りをしていた

「さーてと、中身は…」

宝を早く確認しようと、宝箱に化けているギャスパーの中へ頭を突っ込む

深く入り込んだところで、ギャスパーが牙を生やして思い切り噛みつく

「いだだだだだだ!何が起こったんだよ!?」

何が起こったのかわからずに慌てる狼獣人

「風でふたが閉まったんじゃないのー…?」

ハルトがそう言ってごまかす

「な、なんだ風か…。さてと、今度こそ…」

もう一回頭を突っ込む狼獣人。そして再びギャスパーが噛みつく。

狼獣人が驚いて文句を言うがそれをごまかすの繰り返された。

そして最後は

「いででででででー!!もうなんなんだよこれ!?中身は入ってんのかもよく見えなくてわかんねぇし、こんなのならもういらねぇよ!!」

そう言って、目から涙を見せつつ走り去ってしまった

「あっははは!見た!?今の見た!?涙流してたよ!」

いたずらがうまくいって大笑いするハルト

「人が手に入れた宝を横取りするのもどうかと思うが、あんないたずらをするお前もどうなんだ…。次に会ったときはどうするんだ…」

グレンが呆れて咎める

「まぁ、うまくいったんだしいいじゃない。

ギャスパー!もういいから小さくなってくれない?」

「はいよ」

再びギャスパーが小さくなって、ハルトのローブのポケットの中にしまわれる。

ハルトとグレンは再び街へと戻るために歩き始めた

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ