表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/11

第二話:現状把握?

 最初現状を理解する事は出来なかった。

 何故かと言うまでもなく、つい先ほどまで玄関で生きるか死ぬかの瀬戸際だったはずが、目の前には身なりが良さげな人物が数人何語かも分からないような言語で喋っていて、自分の真下には見たこともない模様が床一面にぼんやりと光って描かれており、すぐそばでは自分と同様に床に座り込んで呆然としている人物が三人いるのだからこんな状況理解出来るわけがないだろう。

 

 称号“勇者の卵”獲得

 称号“召喚されし者”獲得


 なんて意味分からない言葉が頭の中に突然入ってきたりしたら、俺にはもう現状を理解するにはお手上げだった。

 とりあえず、目の前の奴は何をしゃべっているか分からなかったので、俺と一緒の処遇であるであろう床にへたり込んでいる三人に目を向けると。


 いやいや、その耳なんですか?すぐ隣にいた男は頭の上に獣耳が生えていた。とりあえず意味が分からず獣耳をガン見していると目の前で何かが開いた。


 リュク Lv:22


 スキル

 肉体強化

 牙爪術

 解体技術


 ユニークスキル

 限界突破

 暗黒幕間

 

 称号

 勇者の卵・召喚されし者・期待の新人・牙狼族の民


 ……これはいわゆるステータス画面と言うやつだろうか。いろんな人のステータス画面を見る事が出来るのだろうか。獣野郎の隣に同じくへたり込んでいるローブを着た奴を凝視してみると。


 藍翼のローブ


 ……うん、まぁローブを着こんでて、肉体部分が見えていないからローブの情報しか入手できなかったのだろう。隙をついてローブの顔を後で覗き込んでやろうと心のメモ用紙に書いておく。


 最後の一人は赤い鎧を着こんでおり、どうせステータスを見る事は出来ないだろうと諦め、他の周りの人物を一通り見まわしていく。恐らく王様であろうもの、姫っぽいやつ、王族を守る護衛騎士か?が数名に、いかにもな杖を持った魔術師も数名。レベルの幅としては5~32で平均は20台ってとこだろう。スキルは全員が持っていたがユニークスキルは最初に見たリュクと言う人物だけであった。ちなみに最低レベルの5は姫っぽいやつであり、最高レベルの32は王に一番近い所にいる騎士ルックスの者だ。流石は騎士様と言ったところか。


 一応念のためにと赤い鎧の人物をもう一度見てみるとちょうどヘルムを外したところだったのだが、思わず驚いてしまった。そこにいた人物は今まで見たことがないぐらい顔が整った女性であった。簡単に言うととてつもなく美人だった。騎士のような真っ赤な鎧を着こみ、それまたその鎧にも負けないほどの腰まで伸びた紅の髪にルビーの瞳は思わずため息をついてしまうほどの容姿であった。


 だけれども、俺が驚いたのは容姿ではなくその紅の瞳、まるで死んでいるかのような絶望を含んだ眼をしていたからだ。何もかもを諦めている。その瞳を見てしまったほとんどの者がそう感じてしまうであろうぐらいに。

 

 どうしてそんなにも諦観しているのかと気になり思わず声を掛けようとしたとき、彼女のステータスが目に入り止まってしまった。

 

 アセリア Lv:122


 スキル

 剣術

 槍術

 弓術

 指揮

 挑発

 疾走

 縮地

 詠唱術

 紋章術

 …………


 ユニークスキル

 紅炎の世界

 

 称号

 極者・人殺し・魔物殺し・魔族殺し・美貌の持ち主・殺戮者・一途な想い・勇者の仲間・ユニーク殺し・真の英雄・勇者・召喚されし者・カオスの守護者・流浪者・旅人・…………

 

今までのステータス情報とは、一線を画すほどの情報量の多さに思わず目をそらしてしまい、全てを確認する前にステータス画面が消えてしまった。チラッと見ただけでも他の者とは違うレベル、明らかに物騒な称号があったせいか声を掛けるのを躊躇ってしまった。もう一度ステータスをしっかり見ようと彼女の方を向くと眼があってしまった。その時、声が広場に響き渡った。


「●▼◆●■▲◆●▼◆●■▲◆●▼!!」


 思わず声を向く方に目を向けると、王様らしき人物が声を張り上げ何か叫んでいた。もう一度恐らく同じような事を叫んだ後に魔術師らしき人たちに指示を出していた。魔術師が俺を含む4人に何かを手渡す。


 万能言語の指輪


 渡された指輪を見てみるとその指輪の名称を確認出来た。なるほどと指輪をつけようとした瞬間、思わぬ衝撃が隣からぶつかり上半身を維持する事が出来ず床に仰向けで寝転ぶ形になってしまった。


「●■▲◆●!!●■▲◆●!!●■▲◆●!!」


 俺の身体の上には何故か先ほどまで見ていた紅の女騎士が胸に抱きつき、知らない言語をしゃべりながらぼろぼろと涙をこぼして泣きじゃくっていた。


 うん、意味が分からない。だけど、彼女の眼は先ほどまでの全てを諦めきった瞳ではなく、人形のような瞳ではなく、涙を思いっきり流していたがその瞳には生きていると実感出来るような光が入っているように感じる事が出来たから、まぁいっかと思うことにした。


 王様や周りの人物が何事だと思っているだろうと簡単に思わせるぐらいに驚いた顔をしているが、俺にも何がなんだかさっぱりである。どうせ泣き止んだら、説明してくれるだろうと現状を打開するのを諦め、今のうちに指輪をつけようと自分の掌をじっと見つめたときそれが開いた。


 川越優 Lv:2


 スキル

 紋章術

 契約術

 破棄術

 鑑定

 索敵術

 

 称号

 勇者の卵・召喚されし者・美貌の持ち主・正義の欠片・色男・八方美人・女泣かせ


 ……想像していた以上に低いレベルに、意味が分からないスキル、ユニークスキルは無いのかとか、待てと言いたい称号と、突っ込みたいところはいろいろあった。


 恐らくは召喚されて、王の前で、いろんな人が見ている中、女騎士が胸に抱きつきながら泣き、思った以上にしょぼそうな自分のステータスにため息をついている。どんな状況だよと自分で自分に突っ込みながらこれから前途多難だろうなと思いつつ指輪をつけた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ