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ドタバタ学園生活~裸のハーレム王~

作者: 夢見長屋

「なぁ、どうやったら王様になれるんだ?」

昼食時間に目の前に座り、購買で買ったアンパンを頬張りながら親友が唐突に聞いてきた。

「王様?それは土地があって、民がいて、法をしっかりと施行して、国を治める力があれば王様になれるんじゃないか?」

本当なら国連から認められるなどいろいろ面倒臭い手続きが必要なのだが、この馬鹿な親友に難しいことを言っても通用しないと思うので、一般的なイメージで王様になる方法を伝えてみる。

「そんな簡単なことか」

案の定親友はすぐに信じた。

「それにしても、いきなり王様になりたいなんてどうした?」

「いや何、そろそろ本格的に目指してみようかと思ってな」

そこで満面の笑みで高らかに宣言する。


「『ハーレム王』に!!!」


「……そうか、弁当の卵焼きやるから頑張れよ」

いつものことなので、俺は冷静に受け止めて流す。

「ちょっと待てよ。なんかいつもより反応が冷たくないか?」

「そうか?いつも通り俺は、離れた位置から生温かい視線で応援するだけだよ」

近くにいると俺も同類と思われるからな。

「ブラザー、俺のことを応援してくれるのか、ありがとう。俺は頑張ってハーレム王になるよ」

単純馬鹿な親友は、俺の言葉をあいも変わらず前向きに受け止める。

そんな前向きな所が、こいつの憎めない所なのだが…、そんなことを弁当を食べながら思っていると、親友は俺のそんな視線も気にせず話を一人で進めて行く。

「そうだな。まず王様になるにあたって、手始めにこのクラスを俺の王国にすることを宣言しよう!!」

その言葉を親友の馬鹿が吐いた瞬間、それまで無視していたクラス全員が近くにあったものを投げつける。

筆箱や教科書、箒や黒板消し、机に椅子などが親友に派手な音とともに着弾していく。

いつものことなので俺は弁当を持って素早く距離をとり、自分の身の安全だけは確保しておく。

最後に投げられたお守りについていた鈴の音がチリーンと寂しげに教室に響いたところで、親友がその場に倒れているのを確認し、クラスメイト達は何事もなかったかのようにまた昼食に戻る。

……本当にこんな時のクラスの一致団結の良さには毎度のことながら感心する。

机の角が頭に当たって、少しふらつきながらも立ち上がる親友に一言声をかけてあげる。

「建国した王国にいきなり革命が起こったな」

「なんでだ?いい考えだと思ったのだが」

親友は本気で頭をひねっている。

「さぁ、裸の王様だからじゃないか」

見栄を張り、有りもしないない服を見えると言い、裸で街を練り歩いた愚か者の王と、愛すべき単純馬鹿の親友を同じに例えて言った言葉なのだが、親友は違った風に受け止めた。


「なるほど、裸じゃないから王様と認められないわけか!」


そう言うと、おもむろに服を脱ぎ始めて下着一丁になり机の上でポージングをつける。

「どうだ、今日の俺は勝負下着をつけて人一倍かっこよさを増しているぞ、これで俺は今日からこのクラスの王様だ!!」

赤ふんどしを穿き、無駄に引き締まった筋肉でポージングをとる親友に、再びクラスメイト一同から、手近にあったものが投げつけられ、再びその場に倒れることになる。


この日この教室で二回の建国があり、二回の革命が起こり王国は建国後すぐに滅びることになる。

だがたとえ王国が滅んでも、愛すべき馬鹿の名前は永遠にクラスメイトは忘れないだろう。合掌―。


「いや、死んで無いから!!なにかっこよく終わらせてるの!!!」

親友は起き上がりながら大声で叫ぶ、これもまた俺達の学園生活の日常。


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