第四十九通 鍋
補習も終わり、ようやく冬休みをゆっくり過ごせるようになった。
今日も外は雪が降っている為、僕は部屋でゆっくりと読書(漫画)を楽しんでいた。まぁ、する事がなかったから、そうしていただけなのだが――。
最近、安奈は忙しくてあんまりメールを送ってこない。僕も、あんまり迷惑を掛けないように、メールを控えていた。
そんな僕は読書をしている内に、眠ってしまい目を覚ましたのは、携帯音でだった。
「んっ? 誰だ?」
ボソッと独り言を口走り、机の上の携帯に手を上した。そして、携帯を何とか掴かんだ。今回は何とベッドから落ちる事はなかった。流石に毎度毎度落ちると、少しコツを覚えるらしい。と、油断した僕は、ベッドの手摺を掴む手が滑り、ベッドから落っこちてしまった。油断大敵とはよく言ったものだ。
「ううっ……。今日はうまく行ったと思ったのに……」
頭を摩りながら僕は立ち上がった。携帯にはメールが届いていた。
『起きてるか? って言うか、一緒に鍋しないか?』
メールは健介からで、一緒に鍋をしようと言う事だが、まさか僕の家でやる訳じゃと、思っているともう一度携帯が鳴り響いた。
『今日、親居ないから俺の家で、やろうと思うんだけど……。俺、料理できないし、一人で鍋は何だろ? だからさ、俺とお前と和彦でどうだ?』
ホッと肩を落とした僕は、ある事に驚きメールを見た。僕が驚いたのは健介が和彦を誘うと言った事だった。しばし、呆然としていたが、何とか我に返って返事を返した。
『わかった。それじゃあ、今から健介の家に行くよ』
『なら、食材買ってきてくれ。お金は後で払うからさ』
『うん。それじゃあ』
僕はそう送り返して、出かける準備をした。
その後、買出しをして、途中で和彦と合流した。
「まさか、健介が俺を鍋に誘うと思わなかったよ」
「そうだね。僕も驚いたよ」
僕はそう言って笑った。楽しく会話をしながら、僕と和彦は健介の家に向った。健介は僕等を笑顔で迎え入れた。
「おう。遅かったな」
「そうかな?」
僕はそう言って和彦の顔を見た。和彦は首を傾げて、息を吐いた。
そして、僕は買ってきた食材を適当に切り、鍋の準備をしていた。その時、携帯音が響いた。もちろん、僕の携帯だった。音に気付いた健介と和彦が、僕の方を見ていた。
「電話か?」
健介がコンロを準備する手を休めてそう言う。僕は携帯の画面を見て、メールだという事を確認して答えた。
「ううん。メールだよ」
「そっか……。あっ! まさか、安奈ちゃんか!?」
確かに、健介の言うとおりメールは安奈からのものだった。何と言う恐ろしい勘なんだ。何とか誤魔化そうとしたが、結局誤魔化す事は出来ず、メールは健介と和彦に読まれた。
その後、茶化されながらも、安奈とメールのやり取りしていた。鍋の方は和彦が代わりに、食材を切っておいしくいただいたのだった。
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この話で、49通目になるのですが、未だに告白できないと言う状態が続いておりますが、皆さん気長に2人の恋を最後まで見守ってください。
これからも、どうぞ宜しくお願い致します。