第四十二通 プレゼント選び
僕は健介と和彦と一緒に、デパートに来ていた。僕は安奈へのクリスマスプレゼントを買うために、健介は彼女へのクリスマスプレゼントを買うために、そして、和彦は僕等にアドバイスするためだった。
僕も健介も女性に、プレゼントを買う経験がなかったため、和彦について来て貰ったのだ。一応、和彦は彼女が居るらしいが、随分と遠距離なため、中々会うことが出来ないと言っていた。
「何買ったら喜ぶかな?」
僕はそう言いながら、ガラス越しに並ぶアクセサリーを見ていた。どれもキラキラと煌き、結構値段が高かった。その僕の横に健介が並んで立って、ガラスケースの中を覗き込んでいる。
「結構、高い物ばっかりだな……」
「まぁね。そこは、高級アクセサリーショップだから」
後ろから和彦にそう言われ、僕は初めて高級アクセサリーショップだと気付いた。健介も、そうなのだろうが、いかにも俺は知っていたぞと、言わんばかりの顔をしていた。まぁ、僕等が、そんな高級アクセサリーに手を出す事も出来ず、他のアクセサリーショップに移動した。
そこも、結構値段の高い物ばかりが並んでいて、僕等は結局アクセサリーは諦めて、屋上で一休みしていた。
「なぁ、普通。この時期は、クリスマス用に値下げするもんじゃないのか?」
健介はベンチの背凭れに、凭れながら空を見上げてそう呟いた。まぁ、僕も始めはそう思っていたが、多分値下げしてあの値段なんじゃないかと思い始めていた。
「いっその事、自分で作ったらどうだ?」
何気ない感じで、和彦はそう言ったが、クリスマスまでもう一週間も無いため、手作りの物を作る時間なんてある筈が無かった。健介も、僕と同じ事を思っていたらしい。
「和彦。簡単に言うけど、クリスマスまで一週間しかないんだぜ。手作りの物を作ってる時間なんてあるわけ無いだろ?」
「そうかな? とりあえず、学校休めばある程度余裕は出来ると思うけど」
そう言って、和彦は持っていた缶コーヒーを口に含んだ。意外な言葉に、僕は少し混乱していた。その時、僕の横に座っていた健介が立ち上がって叫んだ。
「そうか! その手があったか! 学校を休めば、時間に余裕が出来るな」
「あとは、何を作るかだけど、オルゴールなら作り方教えてくれる人知ってるぞ」
和彦はそう言って、笑っていた。結果、僕と健介はオルゴールを作る事に決めた。プレゼントは、商品の値段で決まるわけじゃない、と和彦は言っていた。僕もその意見に大賛成だった。
そして、その日から僕と健介は世界で、一つだけのオルゴールを作るために、和彦の知り合いの家でオルゴールを製作していた。
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