第四十一通 クリスマスの予定
12月に入り、随分と日が経った。学校で色々あったから気付かなかったが、すでに街はクリスマス一色に染まっている。
すっかり忘れていた。と、言うか今までクリスマスとは、無縁だったため気にも止めていなかったが、今年のクリスマスは今までとは、違うクリスマスにしたいと思っていた。まぁ、そうは思っても、実行に移す事はできないだろう。現実はそんなに甘くないのだから……。
ため息を吐きながら、ベッドに座っていると、携帯音が鳴り響いた。その音からすぐに安奈からのメールだと気付いた。携帯を取りすぐにメールを確認した。
『久しぶり。元気だったかな? 実は、修学旅行に行ってました。しかも、携帯を寮に忘れたまま。ごめんね。もしかして、私からのメール楽しみにしてたかな?』
と、まぁこんな内容のメールだった。修学旅行か、僕の高校は修学旅行は無いため安奈が羨ましかった。去年まではあったのだが、先輩達が事件を起こしたため、今年から修学旅行はなくなったのだ。何て最悪なんだ……。
『いいな〜。修学旅行……。僕の学校は修学旅行無いからな』
僕のメールにすぐに安奈がメールを返してくれた。
『そうなんだ〜。マサの高校、修学旅行無いのか〜。残念だね』
もちろん、僕もすぐに返事を返した。安奈とメールをしてから、メールを打つのが速くなっていた。
『そうなんだよ。去年まではあったんだけど、先輩たちが何かやらかしてね……』
そんな風に、メールのやり取りをしていた。どうやって、クリスマスの事を切り出すか考えながら。だが、結局考えもまとまらないまま、時間ばかりが過ぎていった。
『それじゃあ、私そろそろ寝るね』
クリスマスの事は諦めて、僕は返事を返した。
『うん。オヤスミ。また、明日』
結局、クリスマスの予定を聞くことも出来ずに、僕はベッドに倒れこんでいた。ため息ばかりが、漏れ何だか暗いムードに包まれている。そんな暗いムードを吹き飛ばすメールが、僕の携帯に送られてきた。
『そう言えば、クリスマスは予定あいてるかな? もし空いてるなら、会えないかな? プレゼント交換とかしたいから』
僕は嬉しくて、ベッドから飛び起きて、すぐにメールを送り返した。
『大丈夫。クリスマスは空いてるよ』
『よかった。じゃあ、クリスマスプレゼント、忘れないでね』
『そっちもね』
そうメールを送り、僕はその嬉しさの余韻に浸っていた。