表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
間違いメール  作者: 閃天
31/65

第三十一通 昼休み

 授業中、僕は安奈の誕生日の事を考えていた。

 今日が誕生日だと言う事がわかったが、やはりプレゼントはあげたいと思ったのだ。しかし、彼女がどこに住んでいるのか、分からないためどうしたものか、考えていた。

 そんな僕の頭に、一人の人物が浮かび上がった。それは、和彦だ。和彦は安奈と同じ中学だったから、安奈の通う高校とか分かるはずだと、思ったのだ。

 僕は、昼休みに和彦を呼び出した。


「珍しいね。ユキが俺と昼食をとるなんて」


 和彦は笑いながらそう言って、箸を口に運ぶ。流石に、切り出し難かった。安奈と付き合っているかもしれないと、思っていたからだ。そんな僕に、和彦が口を開いた。


「もしかして、鈴木の住所が知りたいとか?」

「エッ!?」

「分かりやすいよな。ユキは」


 和彦はそう言って笑ってみせる。多分、僕の安奈に対する気持ちを、すでに悟っていたのだろう。いつから、ばれてたのか分からないが、やっぱり和彦は凄いと思った。


「鈴木の住所教えるのはいいけど、結構遠いぞ?」

「そ、そうなの?」

「あぁ。実家は近いけど、今は高校の寮で生活してるらしいからな」

「そうなんだ……」

「まぁ、そんなに気を落とすなって、プレゼント渡すなら今から行った方がいいぞ」


 そう言って和彦は笑った。和彦は僕の恋を応援してくれているようだ。何だか、嬉しかった。


「ありがとう。でも、授業もあるし……」

「授業より、恋の方が大切さ。一度チャンスを逃せば、もうチャンスは回ってこないぞ」

「そうなのかな?」

「そうだって。授業なら、後で俺がノートかしてやるからさ」


 和彦は僕の背中を叩いてそう言った。気持ちはとてもありがたいが……、僕と和彦は違うクラスなのだ。まぁ、その事は言わずに気持ちだけを受け取った。


「ありがとう。わかったよ。行ってみるよ」

「よし、それじゃあ、これが寮のある場所だ。行って来い」

「うん。行って来るよ」


 僕はそう言って、和彦に手を振りながら学校を後にした。後先も考えずに、学校を飛び出したが、肝心のプレゼントを買ってない事に後になって気付いたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ