第二十九通 寒い朝
今日は寒くてなかなか、起きる事が出来なかった。風で窓がガタガタと揺れ、隙間風が入ってきていた。
布団からなかなか出れないでいると、頭の上で携帯が着信音を、発しながら激しく震えていた。着信音ですぐに安奈からのメールだと気付いた。
暫く、風邪でダウンしていた安奈だが、もうすっかりよくなったと言っていた。実際、どうなのかはメールでは分からない。
とりあえず、布団からゆっくり手を伸ばし、携帯を取り安奈からのメールを見た。
『ヤッホーッ! 今日は朝からハイテーションです。なぜかと言うと、今日は私の誕生日なのですね♪ 私もついに17歳に、大人に向って一歩前進♪』
そのメールを見て僕は飛び起きた。初耳だった。今日が、安奈の誕生日なんて、全く知らなかった。プレゼントとどうしようと、思ったがよく考えたら、僕と安奈は別に付き合っているわけじゃない。
少し気落ちしながら、安奈への返事を送る事にした。
『誕生日おめでとう。そっか今日が、安奈の誕生日だったのか……。全然知らなかったな』
僕はそう返事を返して、洗面所に向った。洗面所から戻ってくると、すでにメールが返信されていた。
『あれ? 教えてなかったっけ? 確か教えた覚えがあったんだけど……。私の勘違い? やっぱり、歳かしら? 物忘れが激しいわ(笑)』
メールを見ながら笑みを浮べて、僕はすぐに返事を返した。
『歳って……(汗) 17になったばっかりじゃないか……』
メールを送信すると、僕は制服に着替えて1階に下りた。リビングに行くと、いつもの様にテーブルの上に、朝食がラップをして置いてあった。
恵利は朝食を食べ始めていた。
「おはよう。お兄ちゃん。今朝はいつも以上に遅かったね」
「まぁ、こうも寒いとな……」
「もっと体鍛えたら?」
ため息を吐きながら、恵利はそう言って冷たい視線を送ってきた。流石にこれには凹んだ。
気落ちしながら、僕は朝食を食べた。
朝食を済ませ部屋に戻ると、安奈からのメールが届いていた。
『そうだよね。17になったばっかだもんね。まだまだ、若いよ(笑)それじゃあ、今日も一日頑張ろう!』
そのメールに僕はすぐに返事を返した。
『それじゃあ、また後でメールしようね』
部屋でそれを送信し、すぐに鞄を持って玄関に向った。今日は朝から調子がよさそうだった。