第二十七通 乗り越えた中間テスト
中間テストが無事に終了した。結果の方はまだわからないが、とりあえずやるだけの事はやった。そう思いながら僕は、自分の席でうつ伏せになっていた。
すると、ポケットで携帯が激しく震えた。多分、安奈からのメールだろう。僕はそう思いながら携帯を、ポケットから取り出した。案の定、安奈からのメールが届いていた。
『確か、今日でテスト終わりだよね? どう赤点は免れそう?』
暫く考えてみたが、赤点をとらない自信は無かった。と、言うか全て赤点をとるんじゃないか、と言う不安で押しつぶされそうだった。
『いや……。微妙だね……。多分、赤点とると思うね(笑)』
疲れ切った(テストで)体で、ゆっくりと返事を打ち送信した。数分後、すぐに安奈からのメールが届いた。
『何か、疲れ切ってるって感じだね? って言うか、もっと自信もってよ。
一生懸命やったんだから、きっと成果は出るはずだ』
このメールで、何となく気持ちが楽になった(気がした)。メールを見て気付かなかったが、いつの間にか僕の前の席には、いつもの様に健介が座っていた。
それに気付いた僕は、驚いて椅子まま後ろに倒れてしまうかの、勢いで仰け反った。
「何、ニヤけてるんだ?」
「エッ?」
僕は気付いてなかったが、僕は安奈からのメールを見ながら、自然と顔が綻びニヤけていたのだ。健介に言われて気付くなんて……少し気が緩みすぎていた。
そんな事を思いながら、携帯を閉じてすぐに机の中にしまった。
「そ、それで、何の用?」
焦りながら僕は健介にそう言う。深刻そうな顔をしながら、健介がため息をついた。何があったか分からないが、こう言う時友達なら相談に乗るべきだろう。
「どうかしたの?」
「ああ、実はな……」
意味深に言葉を詰まらせる健介。僕は息を呑み、喉を鳴らした。ゆっくりと健介の口が開き、言葉を発した。
「実は、お金貸してほしいんだ」
「エッ?」
流石に愕然とした。あんなに深刻そうな顔をしていたから、てっきりテストの心配かと思えば……よく考えれば、分かる事だ。健介はテストなんて、気にするようなタマじゃない。
深いため息をことしたが、健介には聞こえていない。
「それでさ。五千円なんだけど……」
「五千円!? 五千円も持ち歩くわけ無いじゃない」
「何だよ。貧乏人」
健介はそう言い残しその場を後にした。
その貧乏人にお金を借りようとしたのは、どこのどいつだと、思っていたが絶対に口が裂けても、そんな事は言えない。言えば確実に殴られているからだ。そんなこんなで、テストは終った。
その後、テストは返却され、何とか僕は赤点を出す事無く、中間テストを乗り切ったのだった。