第二十一通 文化祭当日
――文化祭当日。
昨日は遅くまで残って飾り付けをしていたが、二人では最後まで終わらせる事が出来ず、朝早くから学校に来ていた。
もちろん美樹も一緒だった。
どのクラスも朝から準備をしている。
まぁ、それが普通なのだろう。
それじゃあ、僕のクラスは普通以下?
それはそれで、かなりきつい。
そんな事を考えていると、ため息が漏れた。
「ど…どうかしましたか?」
「い…いや……。別に……」
心配そうな顔をしている美樹に微笑んだ。
しかし、物凄く眠い……。
昨日は10時まで残り、家に着いたのは11時ちょっと過ぎだ。
その後、食事を取り、風呂に入って寝たのは結局12時30分。
そんでもって、起きたのは5時。
睡眠時間は4時間30分。
美樹もその位しか寝てないはずなのに、やっぱりデキが違うのだろう。
そんな事を思いながら欠伸をした。
「あと少しですね」
「――そうだね」
欠伸をしながら僕はそう答えた。
もうすぐ七時になる。
それまでには、飾りつけも終りそうだった。
そして、文化祭が始まった。
僕は午前中に仕事が入っているため、教室に残っていた。
漫画喫茶と言うだけあって、客がいるのに滅茶苦茶静かだ。
しかし、結構な人が入っている。
意外と漫画喫茶もよかったのかも知れないな。
「雅之。コーヒーの注文だ」
「はい」
ウェイトレスの女子生徒が僕にそう言って紙を渡した。
僕は殆ど裏方で、注文された品を作って出すだけ。
だが、裏方は今僕独りしかいない。
他の連中は全員サボりだ。
僕はコーヒーを入れてウェイトレスの女子生徒に渡す。
この時、僕の携帯が激しく震えた。
だが、注文が次々と入るため、中々携帯を見る事が出来なかった。
暫く続いた注文もようやく無くなり、裏方の仕事が楽になった。
僕は、椅子に座り携帯を見た。
メールが届いている。
それも、安奈からのメールだ。
『来ちゃいました』
タイトルにそう書いていた。
そのタイトルを見た瞬間、何か嫌な予感がした。
そして、その嫌な予感は的中した。
『実は今、マサの学校らしき所に来てまーす。
アレからメールの返信が無かったから、結構探すのに苦労したよ(泣)
それでさ、マサの教室ってどこかな?』
正直驚いた。
メールを読み終わったあと、携帯を落としてしまった。
その音は静かな教室内に響き渡る。
「ちょっと。なにしてんのよ」
ウェイトレスの女子生徒がそう言って僕の方にやってきた。
すぐに携帯を拾った僕は、笑いながら答えた。
「な、なな何でも……」
物凄く焦った。
「それなら、いいけど。一応、仕事中なんだから、携帯はいじるなよ。
私達だって我慢してんだから」
「は、はい……」
僕がそう言うとウェイトレスの女子生徒はいってしまった。
メールが届いたのは、一時間くらい前だったが、一応返事を返した。
『返事遅れてごめん。
今、仕事中で中々、携帯見る事出来ないから……。
暫くしたら、休憩入ると思うから、その時メールするよ』
とメールを送るとすぐに返事が返ってきた。
『仕事中だったの。ごめんね。
それじゃあ。休憩時間になったらメールしてね』
僕は早く休憩時間が来ないかと、何度も時計を見ていた。