第二十通 文化祭の準備
――文化祭前日。
一人寂しく教室に残っていた。
外はすでに暗くなっていて、木の葉が宙を舞っている。
漫画喫茶をやろうと、提案した言い出しっぺは、そそくさと帰てくし、こっちはいい迷惑だ。
ただ、ジャンケンに負けただけなのに、こんな時間まで……。
そんな事を思いながらも、一人作業を進めていく。
作業と言っても、教室の飾り付けと漫画を並べるだけなのだが、一人だと全く進まない。
始めの内は、何人もいたのだが、用事があるなど部活の出し物があるだので、結局僕一人になったのだ。
折り紙の輪を繋げて、鎖状にしていると、ポケットの携帯が激しく震えた。
メールだ。もちろん、安奈からの――。
『うう〜っ。今日は疲れたよ〜(泣)
何で練習試合なんてあるのよ!
でも、明日は休みだし、ゆっくり出来そう(笑)
マサは、明日はどう過ごす?』
作業を止めて僕はメールを打った。
『実は明日文化祭で、今日は一人で居残りです(泣)
早く帰りたいよ〜(泣)』
『明日は文化祭なんだ。いいな♪
でも、何で一人で居残りなの? 何か悪い事したの?』
と、すぐにメールが返信されてきた。
そのメールを読んでいる時だった。
別のメールが届いた。
それは、美樹からだった。
『あ…あの……。教室の電気が点いているようですが……。
まだ、文化祭の準備をしているのですか?』
安奈に先に返事を返そうと思っていたが、早めに美樹に返事を返す事にした。
『まだ、飾り付けしてるよ。
でも、もう少しで終ると思うから、明日はお互い頑張ろう(笑)
生徒会の準備頑張れ』
この様な内容で美樹に返信した後、安奈への返事を書いた。
『別に悪い事した訳じゃないよ(泣)
ジャンケンに負けて、それで居残り……(泣)
他にも残ってる人が居たけど、皆先に帰って結局一人……』
作業を再開しようとした時、安奈からのメールが送られてきた。
『大変だね……(汗)
それにしても、無責任なクラスだね(笑)
明日は暇だし、マサの学校の文化祭見に行ってみようかな?』
焦った。
安奈が学校に来れば、クラスの皆に安奈とメル友と言う事がばれてしまうからだ。
それに、健介に知られたら、どうなるか分からない。
何としてでも、とめなくては……。
そんな事を、思いつつも内心嬉しかった。
安奈が文化祭に来てくれれば、一緒に色々と回れるからだ。
色々悩んでいると、メールが届いた。
それは美樹からのメールだ。
安奈と違って、メールを打ち慣れていないのだろう。
結構、返事を送るのが遅い。
そんな美樹からの返事は、
『生徒会の方は、大分準備が済んだんで……。
私もクラスの出し物の準備を、手伝いに行きますね』
何て優しい人なんだろう。
他の連中は、十分もしない内に帰っていったのに……。
生徒会も忙しいのに、こっちの準備を手伝うなんて……。
その後、美樹が教室にやってきて、飾り付けを手伝ってくれた。
この時、僕はすっかり忘れていた。
安奈への返事を返す事を……