第二通 メル友になりませんか?
学校に着くと、早速友達の健介が、僕の席にやって来た。
フルネームは加藤 健介。僕よりも体が大きく、野球部に入っている。
僕と健介は同じ中学で結構仲のいい友達だ。
そんな彼が、僕の前の席に座り顔を覗きこんだ。
そして、鞄から教科書を出している僕に質問を浴びせた。
「なぁ、何でメールしなかったんだ?ずっと待ってたんだぜ!」
やはり、メールの事だった。間違った何て言える訳も無く、僕は苦笑いを浮かべながらそれに答えた。
「ごめん。アドレス書いた紙を無くして・・・・。」
「何やってんだよ!」
そんな僕の答えに健介はそう言って深いため息を吐いた。そして、僕に右手を差し出した。
なぜ、右手を出したのか分からなかったので、僕は彼の右手に自分の右手を置いた。
すると、健介は驚きながら手を退けて、僕に怒鳴り散らした。
「何やってんだ!気色悪い!」
「いや、右手を差し出されたから・・・・。」
「違うだろ!携帯だよ!」
そう言われて、僕は渋々携帯をズボンのポケットから出した。その時、メールが来ている事に気付いた。
マナーモードにしていたせいで、メールが届いているのに全く気付いていなかった。
ここで、メールを見る訳にも行かないので、僕は何とかごまかそうと思い、携帯を健介に渡した。
「あれ?メール届いてるけど、見ないのか?」
やはり、健介はメールに食いついてきた。しかし、僕は慌てずに対処した。
「どうせ、母さんからだろうから・・・・。」
「ふ〜ん。そっか。」
そう言いながら健介は自分のアドレスを登録した。登録を済ませると、携帯を返して席から立ち上がり、僕の顔を指差しながら言葉を発した。
「今日こそ忘れるなよ!いいな!」
「うん。わかったよ。」
僕は一応そう言って軽く微笑み、健介を見送った。健介が自分の席に戻った事を確認して、僕はメールを読んだ。
『これも、何かの縁ですし、よかったらメル友になりませんか?』
そう言う内容のメールだった。この時は、あんまり、乗り気じゃなかったが、取り合えずOKを出しておいた。