第十八通 色男?
美樹からアドレスの書いた紙切れを渡され、二日が過ぎた。
まだ、メールは送っていない。
どうするかベッドに寝そべって悩んでいると、携帯の着信音が机の上で鳴り響いた。
着信音で安奈と気付いた僕は、ベッドから精一杯手を伸ばし机の上の携帯を取ろうとした。
が、例の如く僕の視界が一回点し、頭から床に落ちた。
何度も何度も懲りない自分。
そんな事を思いつつ、立ち上がり机の上の携帯を取り開いた。
『最近、ちょっと疲れを感じるんだよね。
別にマネージャーの仕事が辛いって訳じゃないんだけど……。
歳なのかな?(なんちゃって)マサは疲れってどうやって取る?』
『疲れか……。僕の場合は、寝れば疲れなんてなくなるかな?
まぁ、帰宅部だしそんなに疲れないんだけどね(笑)』
確かに、帰宅部の僕はそんなに疲れる事は無かった。
やっぱり、サッカー部のマネージャーをしている安奈は、大変なんだろうと思いながらメールの返事を待った。
暫く、何気ないメールのやり取りをしていたが、やはりあの事を相談する事にした。
『相談があるんだけど、いいかな?』
『相談?もしかして、恋の相談?
それなら、私得意だよ(笑)」
恋の相談なんて出来ない。僕は安奈が好きなのだから……。
まぁ、それは置いといて、早速相談をする事にした。
『恋の相談じゃないんだけど……。
実はさ、この前クラスの女子からアドレスを書いた紙をもらったんだけど……。
返事を出すか出さないこうか、迷ってるんだよね。どうしたらいいのかな?』
『なーんだ。恋の相談じゃないんだ。つまんないなー。
それで、何だっけ?メールを送るか送らないかだっけ?
私は送った方が良いと思うよ。きっと、その子マサの事好きなのよ。
キャッ!色男(笑)なんだから』
色男って……。
でも、何だか嬉しかった。色男なんて、この先冗談でも言ってもらえないだろう。
そんな事を思いながらも、何だか切なかった。
安奈にとって、僕はただのメル友で、恋愛の対象に入っていないのだと、実感したからだ。