第十五通 二学期の初日
二学期が始まった。
席に座っている僕の前の席に、例のごとく健介がやってきた。
健介は機嫌が悪そうだったため、僕はあんまり関わりたくなかったが、そんな事はお構いなしに健介が言った。
「なぁ! 聞いてくれよ!」
別に聞きたくは無いのだが……。断る事も出来ずに、
「な、何?」
と、顔を引きつらせながら健介の顔を見る。その瞬間、健介が僕の机を激しく叩き、大きな音を響かせた。
その音は教室中に響き渡り、生徒達は驚きの表情でこっちに注目している。
もちろん、僕も驚いた。放心状態で健介の顔を見ると、健介は言う。
「俺の良さが分かるのは、お前だけだぞ!」
「はい?」
全く訳が分からない。何が言いたかったのだろう。と、言うより僕にも彼の良さは分かっていないんだが……。
しかし、そんな事を口にした瞬間に、確実に半殺しにされるだろう。
そんな事を考えながら、一応愛想笑いをしながら、彼の話を聞く事にした。
「実はな……」
とりあえず、彼の話はよく理解できないため、省略しよう。
そんなこんなで、二学期の初日は幕を閉じた。
『学校って、やっぱり疲れるね。
でも、友達と会えるからいいよね』
学校が終わり、家に帰る途中で安奈からメールが届く。
歩きながらメールを読んでいたら、電柱に頭をぶつけた。
痛みにうずくまりながらも、彼女にはちゃんとメールを返信する。
『そうかな? こっちは友達の愚痴に付き合わされてさ……。
まぁ、ちゃんと聞いてなかったんだけどね(笑)』
『大変だね。二学期の初日から愚痴聞かされるなんて……。』
『そうなんだよ。すぐに殴るからさ、逆らえなくてね……。
けど、いい奴なんだよ』
僕は健介をフォローするつもりでそう返信する。
暫く、メールが来ないので、いつまでもうずくまっている訳にもいかず、立ち上がり家に向って歩き出す。
家の近くの公園の前を通り過ぎようとした時、僕のポケットの携帯が激しく震えだす。
安奈からのメールだと、思った僕はすぐに携帯を出して開いた。
『マサ! 聞いてくれよ!(以下省略)』
そのメールは、健介からだった。期待はずれもいいとこだ。
学校が終わったのに、メールで愚痴を聞かされる何て……。最悪だ。
「ただいま……」
玄関を開きそう言って靴を脱いだ。別に誰かが家にいる訳でもないのに……。
家は両親が共働きで、朝早くに仕事に行って夜遅くに帰ってくる。
そのせいか、両親と顔を合わせる事は滅多にない。
一つ下の妹が居る。名前は恵利。
恵利はソフトボール部に入っているため、夕方までは帰ってこない。
ため息を吐きながら、階段を上がる僕のポケットでまた携帯が激しく震えだす。
今度こそ、安奈からだと期待を抱きながら、ポケットから携帯を取り出して携帯を開く。
が、それは、健介からだった。
本当にしつこい……。
そんな事を思いながら、健介には適当に返事を返信した。
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