第九十七回 目覚まし時計と雨の夜
「おはよう。どうやらお互いに寝不足みたいだね」
「晩の三時くらいだったのかしら。いきなり豪雨が降り出して、部屋の中に吹き込んだらいけないから、起きて窓を閉めてまわったわよ」
「ウチもだよ。だからといって蒸し暑いから、閉め切って寝るわけにもいかないし」
「梅雨だしね。仕方ないわ」
「こっちは雨に気付くのが遅れてさ、床がべしょべしょ。拭くのに手間がかかったよ」
「その点、こっちは雨の降り始めで起きたから、被害はなかったんだけど」
「へえ、寝起きが良いんだ」
「違うのよ、ちょっと不思議なコトがあってね」
「?」
「こないだ買った目覚まし時計がヘンでね。セットもしてないのに、いきなり真夜中に鳴り出すことがあるのよ」
「そりゃ不良品じゃないのか」
「だけどね、目覚ましで叩き起こされた時に限って、雨が降るのよ。そんな機能、説明書には書かれてないのに」
「あら、ある意味で便利な」
「でも気味が悪いのも確かでね。ねえ、どうしたら良いと思う?」
「後は普通の目覚まし時計なんだろ? だったら捨てないで、時計だけに……その時計は置いとけい!」
小説書き仲間の、と~か君からのリクエストになります。