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第九十四回 首と野菜
新人OLが何やら困っている様子。そこで上司の課長が、相談に乗ることにした。
「わたし、嫌いな人の前だと……上手く喋れなくなるんです。このままだと……仕事に支障も……出ちゃいますよね。どうしよう……」
「なるほど。それは単に緊張しているだけなんだよ。よく、大勢の前に出て緊張したら、人間の頭をドテカボチャと思え、っていうだろう。君も嫌いな相手と話す時は、相手をドテカボチャとでも考えれば良いのさ」
「なるほど、分かりました。試してみます!」
そして後日。
「どうだい。どんな相手とでも緊張せず話せるようになったかい」
「あっ、課長。アドバイスありがとうございます。おかげで、どんな相手とでも話せるようになりました! もう今じゃ嫌いな相手をカボチャと思うのが、癖になってますよ~」
とOLはデスク前に置かれたカボチャに話しかけている。
「あっ、いけなーい。課長はコッチじゃなかった!」
「ああ……僕も君に嫌われてるのね……」