第九十一回 甘い飴なめた
とある家庭で、ドラ息子と両親とが言い争っていた。
「だから大学受験はどうするんだっていうんだ!」
「けっ、下らねえ。オベンキョーなんかじゃ教科書で教えてくれないノーヒューチャー。俺様はソウルでクリエイターを目指すのさヘイヨー!」
結局、話が噛み合わない。親が怒鳴る中、バカ息子は部屋を飛び出した。
すると目の前に祖母が立っていた。祖母は飴玉を差し出す。
「飴ちゃんでも舐めるかい?」
「おいおい婆ちゃん、飴ちゃんとかガキじゃあるまいに。ちょうど小腹が減ってたから貰うけどさ」
ひょいと飴玉を口の中に放り込む。瞬間、衝撃が走った。
「なっ……なんて美味い飴。既に感動の域だ。こんな世界もあっただなんて、俺は知らなかったぜ。そうか。知らなかったのではない。俺は知ろうとしなかっただけじゃないか。俺は自分で勝手に、世界は下らないものと決めつけていたんだ。だとすると、この飴の甘さは、俺の考えの甘さ。俺が舐めたのは単なる飴なんかじゃない。人生を舐めていた俺自身に違いない。
はっ……もしかして婆ちゃんはそのことを俺に教えようとして、この飴を食べさせてくれたんだね!?」
「飴ちゃん舐めるかい?」
「婆ちゃん、飴ならさっき食べたでしょー」
twitterの診断メーカーをやった際に出てきた、ランダムな文字列から短編を作ってみました。