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第八十七回 耳と水
太郎はぐっすり眠っているようだ。次郎は太郎の耳の穴に、スポイトで水を入れた。途端、スポイトを持っていた腕を捕まれる。
「驚かせようとしたんだろうが、残念だったな」
「なんだ狸寝入りしてたのかよ」
太郎は水で濡れた耳を拭きながら、起き上がった。
「なあ次郎、なんで俺が寝耳に水を入れられても驚かなかったのか、わかるか?」
「そりゃあ寝たふりしてて、実は起きてたからだろ」
「じゃあ、なんで寝たふりしてたか、ってことだ」
「あっ、もしかして俺が驚かせようとしたのを、三郎に聞いたんだな」
「その通り」
太郎はそこでフフンと鼻で笑って。
「つまり俺は寝耳に水を入れられる前に、先に情報を耳に入れていたのさ!(ドヤァ)」
「えっと……寝なきゃいけないトコ、まさしく水を差してしまったようだな。もう大人しく寝てくれ」