第七十六回 蝙蝠と綿飴とピンクの光で満たされた天界
あるところに人間と仲良くしたい蝙蝠がいました。
ですが人は朝に目覚めて、夜は眠ってしまうもの。対して蝙蝠は、夕に起き出して、夜に動く。互いが交わることはない。
どうすれば人と仲良くなれるのだろう。分からないので蝙蝠は仕方なく、人の畑を荒らす虫を食べていました。
そんな蝙蝠と、実は人も仲良くなりたいと考えるようになっていた。そんなある日のこと、人は一計を講じます。
蝙蝠がいつものように空の散歩にでかけると、どうも今夜は様子がおかしい。どこからともなく聞こえてくる、囃子に笛太鼓。騒がしいと思ったら、夜なのに大勢の人が寝ずに起きている。人の村には縁日と篝火が並び、明々と照らされていた。
人は蝙蝠と仲良くなれるよう、これからは祭りを夜に行うことにしたのだ。
蝙蝠が来たと気付き、集まってくる人の子ら。蝙蝠は子らに伴われ、祭りの輪の中に入っていった。途中で屋台の旦那から、綿飴を貰う。
さっそく食べてみると、綿飴の向こうに見える光景が、まるで雲上の世界。篝火で茜に桃に染まって見える。蝙蝠は嬉しくなった。ようやく願いが叶ったのだ。
とはいっても、人と遊べるのは祭りの日だけなのだが。蝙蝠はもう寂しくなかった。
以来、蝙蝠の食べるものは、畑を荒らす虫と、それに甘いものが好物になりましたとさ。
ちゅーん君からのお題リクエストになります。