第七十二回 量より質と質より量
とある町に仲の悪い兄弟がいました。その町にはレストランが一軒もありません。兄弟はふたりともコックだったので、町にレストランを開店することにしました。
ところが兄弟は仲が悪い。どんな店を開くかで、意見が分かれてしまいました。
兄「ともかく量より質だ。多少は高価でも、美味いものを食べに客は来るんだよ!」
弟「それじゃあ来る客は金持ちに限られてしまうじゃないか。やっぱり質より量だよ。安く、たくさん食べられれば客は満足してくれるさ」
結局、ふたりの意見が合うことはなく。兄弟は別々にレストランを作って、互いに競い合うことにしました。
かくして二軒のレストランが町に開店します。
最初のうち、兄の店は確かに金持ち客で溢れました。味の評判も上々です。
しかし、ともかく量の少ない割に、値段が高すぎる。これでは店に通える客は限られてしまいます。
結果、客足は段々と遠のいて行きました。
一方、弟の店はお金のない客で溢れました。安くて、たらふく食えると評判も上々です。
しかし、値段が安いのは構わないのだが、ともかく不味い。さすがに金がないからといっても、不味いのでは外食する意味がない。
結果、客足は段々と遠のいて行きました。
そこへ町に新しく開店した第三のレストラン。値段はソコソコ安いのに、値段以上の美味い料理が食べられる。
あんな中途半端な店、きっと潰れるぞ。サービスし過ぎて、儲けなんて出るもんか。兄弟は笑いました。が結果は大繁盛。実は開店前に兄弟のレストランを調べ、ちょうど良い値段と味を決めていたからです。これが大当たり。
とうとう兄弟たちのレストランは潰れてしまいました。兄弟はくやしがります。
兄「くそう、やっぱり質より量だったか」
弟「くそう、やっぱり量より質だったか」
津久ヶ原シャログくんからのお題リクエスト。三連発の一発目になります。