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第三十四回 オチが「カーテンには勝てん」という駄洒落
新婚夫婦がインテリアショップにやってきた。結婚と共に新しくマンションへ引っ越したばかりで、まだ何も調度品が揃ってなかったからだ。
奥さんがある品に目を取られる。
「見て見て、このカーテンとカーペット。素敵じゃない?」
「揃いの柄になっているんだ。へえ。なかなかに品質も良さそうだね。じゃあ両方とも買っちゃうか」
「そうね」
旦那さんの了承を得た奥さんは、だが値札を見てしまった。そこで思い出すところがあったらしい。ちょっと待ってね、と財布の中を確認する。
「御免なさいアナタ。さっきの店でタンスを買ったでしょう。だからカーテンとカーペット、両方買うには所持金が足りないみたい。どちらか片方しか買えないわ。どうしましょう?」
「そりゃ仕方ないね。う~ん。やっぱり今のままだと外から中が丸見えになってしまうし。プライバシーってモノが守られないといけないからさあ、だから……」
「だから?」
「今すぐ必要かと考えたら、カーペットでカーテンには勝てん!」
決められた駄洒落をオチに持ってくる、というお題による短編になります。