第二十七回 『パチンコに勝つ』でドンデン返し
給料日までは、あと二十九日。大穴単勝を狙ったのがマズかったよなあ。握りしめた千円札三枚が俺に残された全財産だ。電気水道はとっくに止まっている。家賃は先々々々月から振り込んでいない。マズいな。このままでは屋根のある場所で生活ができなくなる。
というわけで俺は最後の賭けに出た。現在いるのは、出ると評判のパチンコ屋だ。駐車場は妙に閑散としていて、店構えもボロっちい。ところどころ、電飾が壊れていた。中に入ると店員がひとりいるだけで、他に誰もいない。客は俺だけだ。
ふうむ、奇妙だな? まあ構わない。最終的に、俺が勝てれば良いんだから。
なけなしの三千円を玉に換えて、さあ最終決戦だ! 燃え上がれ俺の(中略)。やったー、俺は勝ったぞー!
山のように積まれたパチンコ玉を押して、俺は換金することにした。楽しみだなあ。この量ならば十万や二十万どころの話ではないはずだ。
ところが店員が俺に手渡したのは、たったの三千円だった。
「おいコラっ! こいつはどういう了見だ?」
怒鳴りつけると、店員は床にひれ伏して、大声でおいおいと泣き出した。ちょっと待ってくれ。俺はそこまで強いつもりで起こったんじゃないんだぜ? 事情を訊くと店員は、顔中を鼻水と涙でぐしょぐしょにしながら説明してくれた。
当店は御客様のためとサービスしたのは構わないが、どうもサービスし過ぎてしまったらしい。用意していた金は、みるみるうちに尽きてしまい。その三千円が当店に残された最後の現金であるという。
良く良く見ると、渡されたその千円札三枚は、俺が入店時にツッコンだ三千円と同じものだった。