第二十一回 トカゲと責任
トカゲ村のトカゲ村長は、トカゲの若者トカ下郎に言い放ちました。
「トカ下郎、お前は村を追放じゃ」
「そっ、そんな! ぼくが一体何を悪いことしたっていうんですか!?」
「うむ。確かに、トカ下郎は何も悪いことはしちょらんよ」
村長は表情を曇らせる。
「じゃがな、トカゲたちはその昔、村を作る際にひとつの掟を作ったのじゃ。あまりに食いしん坊が過ぎると食べ物が尽きて、村全体が困ってしまうからの」
「すると、ぼくが村を追放されるのは、食いしん坊だったから、というわけですか? たったそれだけのことで乱暴だよ!」
トカ下郎も必死で村長に食い下がる。
「もうこれからは小食にもなるし、村の仕事だって倍やるよ。だからお願い、村に置いてください」
だが村長は心底残念そうにいった。
「すまぬが、もう遅いのじゃよ……なんせトカ下郎、そっから成長して大きくなることはあっても、もはや小さくなることはあるまい?」
村のトカゲは普通で数十センチほどの体長。大きくても1メートル。ところがトカ下郎は歩くたびに地面が揺れるほど。体長は二十メートルもあった。
「おぬし、そこまでデカいと、もうトカゲとはいえん。誰がどう見たって恐竜じゃよ」
「トカ下郎……せめて恐竜の村を探して、そこで幸せになるのよ」
トカ下郎のママは涙を堪えて、別れを告げたのだった。
「うわーん! やっぱり嫌だよー!」