第十五回 鼻毛の大きさのロボ
アルファー星の国際会議場が暗くなったかと思うと、スクリーンに写真が投影された。集められた国家元首たちがどよめく。
「これが先日捕獲された、ベータ星の惑星探査ロボです」
「恐ろしい……なんというテクノロジーだ」
「皆様も御存知の通り。我ら以外にも高度な文明を持った人類の住む、ベータ星が発見されてからというもの。ようやく我々もベータ星へ惑星探査ロボを送り込む予定でした」
「次の資料を御覧下さい。えー、このベータ星製惑星探査ロボが捕獲された際の状況ですが。メメリカ国ヲパイヨ州の農夫サム四十三歳が畑で農作業中。呼吸に違和感を覚えたので耳鼻科へ運ばれたところ、鼻毛に絡んだ惑星探査ロボが発見されたとのことです」
「そうなのです。我らですら身長の何倍もあるスケールでないと、惑星探査ロボを開発できないというのに。ベータ星では同じ性能のロボを、鼻毛に絡んでしまうまでの小型化に成功させてしまっているのです」
「すさまじく精巧だな」
「この有様では、一体どれほどの数のロボがアルファー星に送り込まれているか。分かったものではないぞ」
「ああ、これはベータ星への侵略どころか、交流も止めておいた方が良いかもしれん」
ベータ星の国際会議場が暗くなったかと思うと、スクリーンに写真が投影された。集められた国家元首たちがどよめく。
「皆様も御存知の通り、これぞ我らがアルファー星に送り込んだ惑星探査ロボです」
「にわかには信じがたいな」
「君、ロボが捕獲された際の状況を説明してくれたまえ」
「えー、このベータ星製惑星探査ロボが捕獲された際の状況ですが。アルファー星のどうやら農夫が呼吸をした際に……鼻毛に絡んでしまったとのことです」
「信じられん!」
「皆様も御存知の通り。この惑星探査ロボは、我々の身長の何倍もある、巨大なものです。それが彼らの鼻毛に絡んでしまうということは……」
「ベータ星の人類は、とてつもなく巨大だということか」
「この有様では、ベータ星と関わり合いになったら、一体どれだけの破壊が行われるのか。分かったものではないな」
「ああ、これはベータ星への侵略どころか、交流も止めておいた方が良いかもしれん」
かくしてアルファー星とベータ星はその文明が滅ぶまで、交流を持つことなく、平和に過ごしましたとさ。
小説書き仲間の紅月赤哉さんによる悶死確実な無茶振りお題、第三回目になります。
お題を出されたのが昨晩。翌日の仕事中にプロットを考えて。仮眠後に執筆。完成して一作はUPし終わってから、更に当作品をイチから執筆して、またUPした。……という超々即興ショートショートになります。
正味、もうしんどい。