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水平雪枝の異世界の扉1
私は水平雪枝、37歳の平凡な主婦だ。結婚して11年目、夫の春樹と9歳の息子・秋人との3人暮らし。
平凡ながら、朝食の食卓の笑い声、夕方の公園でのキャッチボール、週末の家族での買い物——そんな小さな幸せに満ちた日々を送っていた。
ある夜、雪枝は不思議な夢を見た。柔らかな光に包まれた空間で、優しい声の「神様」と名乗る存在が現れ、「抽選で異世界への扉の鍵が当たった」と告げたのだ。夢の中とはいえ、その感覚は鮮烈で、目が覚めても胸の高鳴りが収まらなかった。
ところが翌日の午後、玄関には見知らぬ小さな木箱が置かれていた。
中には、古びた銀色の鍵と、手書きの手紙が入っていた。




