4/5
秘密
夏休みの終わり、遥は突然学校を休んだ。
1日、2日、3日・・・一週間。
心配でたまらなくて、LINEとか電話をしたが、遥からの返事はなかった。俺は意を決して、住所を頼りに彼女の家を訪ねた。
ピンポン、と玄関のチャイムを鳴らすと、
扉を開けたのは、遥の母親だった。
「どちらさま?」
「あ、あの・・・遥さんのクラスメイトの一ノ瀬と言います。最近、遥さんが学校に来ないので心配になり・・・」
そういうと、彼女はなにかを思い出すように、
「あなたが遥の...さあ中へ入って」
そう言われ、俺はリビングへと案内された。
「あの子から…なにも聞いてないのね」
リビングで聞かされたのは、信じがたい話だった。
遥は、難病を抱えていた。
普通の生活ができるのは、ほんの数年と告げられていたという。
高校へ通うのも、無理をしていた。
俺はただただ呆然と話を聞くことしかできなかった。